活動報告

活動報告の紹介

研究活動

基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。

大学・研究室行事

大学行事として、学生フォーラム、ソフトボール大会、オープンキャンパス、卒論発表や卒業式などが開催され、こうした行事には積極的に参加しています。研究室行事として、鶴舞公園での花見、ゼミ旅行、スポーツフェスティバル、新年会など、1年を通して楽しいイベントを開催し、メンバー同士の親睦を深めています。

国際交流活動

名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターは、学術交流協定を結んでいる米国をはじめとする海外の大学教員や臨床研修生を受け入れ、講義への参加、関連医療施設の見学、症例検討を通し、研究・教育の交流を行っています。 名古屋大学医学部附属病院での臨床研修は、名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターサテライトセミナー室を拠点として、当部門のアドバンスト学生や配属学生が薬剤部と協力して実施しています。アドバンスト学生は病棟・薬剤師外来や関連医局での活動を中心に、臨床研修・症例や研究内容を英語で紹介します。また、日米の薬学教育や文化も紹介し、交流を深めています。

社会活動

くすりを通じて社会を知ることで社会に貢献できる医療人の育成を目指して、地域での「くすり教室」や「研修」活動を積極的に実施・参加しています。中でも、特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)は、国民にくすりを安全に安心して使っていただくために薬剤師や国民に対する教育講演や学会を開催しています。その活動の一つとして、小学生にもくすりのことを知ってもらう講義や体験実験(くすり教室)を行っています。2014年度からは、薬物依存に関連する講義や体験実験も行っています。

2020年11日12日

南房総臨床薬学オンラインセミナー

昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの講演会が中止もしくは延期となっていますが、「南房総臨床薬学セミナー」は双方向性のオンライン講演として開催されました。本セミナーは、千葉県病院薬剤師会の薬剤師や薬学部の先生方が対象となっています。

当室の野田幸裕が「医療連携の果たす役割〜薬剤師の観点から:薬剤師外来 (喘息 ・COPD 吸入療法外来)を通した医療連携」と題して、気管支喘息やCOPDの患者への吸入指導について講演を行いました。座長の舟越亮寛先生(亀田総合病院薬剤部部長)や参加した先生方と吸入指導の連携の在り方や難しさ、地域医療連携について意見交換をすることができました。今後、県の垣根を超えた吸入指導に関する最新の情報を交換しながら、地域連携システムを構築していきたいと思いました。(報告者:野田幸裕)

【招待講演】
野田幸裕
「医療連携の果たす役割〜薬剤師の観点から:薬剤師外来 (喘息 ・COPD 吸入療法外来)を通した医療連携」

2020年11日8日

ロナセンテープSpeaker’s Meeting 2020

「ロナセンテープSpeaker’s Meeting 2020」は、新型コロナウイルス感染症のリスクを最小化するため、Webシステムを介した双方向通信の形式で開催されました。

本会のSession 1では、ロナセンテープの基礎的・臨床的な情報をより深く理解してもらうために、3名の先生方から講演(①急性期統合失調症に対するロナセンテープの治療学的位置付け:系統的レビューの結果より、②ロナセンテープ国内第3相長期投与試験、③統合失調症治療におけるロナセンテープの可能性)がありました。Session 2では、ロナセンテープを適切に使用するために、「統合失調症の薬物治療における薬剤師の役割:新たな投与経路“経皮吸収型抗精神病薬”を使いこなす」をテーマとして、20名の薬剤師の先生方と相互ディスカッションが行われました。

当室からは野田幸裕が、Session 2ディスカッションのファシリテーターを務めました。「ロナセンテープが統合失調症治療にもたらした変化」「ロナセンテープの処方提案、治療導入、服薬指導におけるコツ」について、対象となる症例、副作用への対策等の意見交換と情報共有を行いました。本剤の有効性を最大限に発揮するためには薬剤師の担う役割が重要であり、今後も最新の知見、スキルについて集積し、共有することが必要であると思いました。(報告者:野田幸裕)

【ファシリテーター】
野田幸裕
Session 2ディスカッション:「統合失調症の薬物治療における薬剤師の役割:新たな投与経路“経皮吸収型抗精神病薬”を使いこなす」

2020年10月3日および18日

The New Approach to Schizophrenia from TokyoおよびThe New Approach to Schizophrenia from Osaka

「The New Approach to Schizophrenia from Tokyo」と「The New Approach to Schizophrenia from Osaka」が開催され、それぞれ東京と大阪からLIVE発信されました。

2019年9月10日に世界初の経皮吸収型抗精神病薬として、ブロナンセリンのテープ剤が本邦で使用可能となりました。本会では、ブロナンセリンの薬理学的特徴を振り返るとともに、発売から1年で得られたテープ剤としての最新の知見やその有用性について、統合失調症のエキスパートによる講演とパネルディスカッションにて議論されました。

当室からは野田幸裕が、Session1「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性 -ブロナンセリンの軌跡:非臨床試験のフルレビュー-」と題して講演を行いました。ブロナンセリンの開発の軌跡から、今日までに報告されている非臨床試験での有効性についてフルレビューし、今後の臨床における統合失調症をはじめとする精神疾患や精神症状に対するDSAの可能性について概説しました。講演後には、錐体外路系副作用とドパミンD3受容体、統合失調症のドパミン仮説とブロナンセリンに関する質問がありました。非臨床試験から臨床での貼付剤としてのブロナンセリンの理解を深め、今後の新しい薬物治療に役立つ内容でした。Web開催ではありましたが、いずれのLIVE発信においても1,000名以上の先生方が視聴されていました。

(報告者:野田幸裕)

【Session1:招待講演】
野田幸裕(10月3日および18日)
「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性 -ブロナンセリンの軌跡:非臨床試験のフルレビュー-」

2020年9月20日~9月22日(WEB開催での会期:10月24日~11月1日)

第30回日本医療薬学会年会

「第30回日本医療薬学会年会」が、名古屋国際会議場ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋にて「患者と医療を支える薬剤師力を磨く」をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を懸念して変更となりました。

超高齢社会において疾病構造が大きく変化する一方で、医学薬学の進歩に伴い、先端医療が次々と日常診療の中に組み込まれ、治療法は多様化・高度化しています。年会は、これらの変化に対応するため薬剤師力を「診療」「教育」「研究」「社会貢献」の4つの観点から議論し、令和の時代に求められる薬剤師力について理解を深めることを目的としています。

当室からは、野田幸裕教授がシンポジウム43薬学教育における薬学共用試験OSCEの現状と今後の課題においてオーガナイザー座長、シンポジウム56「統合失調症の社会復帰に向けた薬物療法の構築のために」においてオーガナイザー・座長に加えシンポジスト務められましたシンポジウム56では吉見 陽助教もシンポジストとして発表しました。

一般演題では野田幸裕教授、博士課程1年の中村真理子先輩、学部6年の長谷川真由ポスター発表を行いました。吸入操作の再指導を必要とする患者の要因の探索についての発表では、再指導までの期間薬剤師外来と薬局における吸入指導方法統一に向けた取り組みについて質問を頂き、薬薬連携を通じ吸入療法支援について再考する良い機会となりました。

本大会を通して、大学の講義では知り得ない発展した臨床疑問やそれに対する薬剤師のマネジメントについて、多方面から学ぶことができました。この経験を糧とし、より一層勉学に励み、患者と医療を支える専門性を持った薬剤師を目指していきたいです。

(報告者:長谷川真由)

 

【オーガナイザー・座長】
野田幸裕
シンポジウム43:「薬学教育における薬学共用試験OSCEの現状と今後の課題」
シンポジウム56:「統合失調症の社会復帰に向けた薬物療法の構築のために」

【シンポジウム56】
野田幸裕
「統合失調症の社会復帰に向けた薬物療法の概要」
吉見 陽
「統合失調症の病態解明と診断技術開発」

【一般演題(ポスター)】
野田幸裕
「名古屋大学医学部附属病院精神科外来患者における抗うつ薬や抗不安薬の処方状況に関する調査」
中村真理子
「地域コミュニティ啓発活動としてのくすりの適正使用に関する『くすり教室』の有用性」
長谷川真由
「吸入操作の再指導を必要とする患者の要因の探索」

2020年9月12日~13日

第5回日本薬学教育学会大会

「第5回日本薬学教育学会大会」が、帝京大学板橋キャンパスにて「未来を変える薬学教育の力 -医療の絆が新たなチャレンジを実現する-」をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行状況から、Web上で開催されることとなりました。薬学教育に関わる参加者との交流や、薬学教育・研究についての討議を行う貴重な情報交換の機会であったため、非常に残念でした。一方で、薬学教育や薬剤師の生涯教育においてもWeb上での情報発信、情報共有やICT教育の重要性が高まっている中、Webオンライン教育の在り方を考える良い機会となりました。

当室からは野田幸裕が一般講演のe-ポスター発表を行いました。2019年度の薬学共用試験OSCEの結果概要、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って2020年度に限り従来の6課題を3課題にした経緯、OSCE実施時の感染対策について紹介しました。

また、野田幸裕はシンポジウム11の医療系教育学会連携シンポジウム「共有し拡げよう!チーム医療教育の連携の輪」のオーガナイザー・座長を務めました。同時に「薬学教育の立場から」として、薬学教育における多職種連携教育(IPE)について概説しました。各教育学会(日本看護学教育学会、日本歯科医学教育学会、日本医学教育学会、日本保健医療福祉連携教育学会)の先生方からの発表後には、情報共有・交換として総合討論が行われました。多職種が連携するチーム医療教育のモデルの提示、カリキュラム作成の支援には、医療系の教育学会が横断的に討議し、協力する体制やプラットフォームの構築が望まれます。そのためには、将来の医療系共通のチーム医療教育カリキュラム作成などの教育学会の横の連携・協働していく必要があると思いました。

(報告者:野田幸裕)

【一般講演:(e-ポスター):臨床準備教育】
野田幸裕(9月12日~13日)
「2019年薬学共用試験OSCEの結果解析と2020年OSCE実施に向けた感染対策」

【オーガナイザー・座長】
野田幸裕(9月13日)
シンポジウム11:医療系教育学会連携シンポジウム「共有し拡げよう!チーム医療教育の連携の輪」
【シンポジウム11】
野田幸裕(9月13日)
「共有し拡げよう!チーム医療教育の連携の輪 -薬学教育の立場から-」

2020年8月21日~23日

第50回日本神経精神薬理学会年会/第42回日本生物学的精神医学会年会/第4回日本精神薬学会総会・学術集会 合同年会(仙台)

「第50回日本神経精神薬理学会年会/第42回日本生物学的精神医学会年会/第4回日本精神薬学会総会・学術集会 合同年会」が仙台国際センターにて「レジリエントな心をつくるDeveloping Resilient Mind」をテーマに3学会合同で開催される予定でした。しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響のため、現地開催でなく、Web開催となりました。本合同年会は、「脳と心の科学の探求と薬学への応用」という3学会の共通目標に向かって協力しながら、精神疾患の病態解明と新たな治療薬の開発を目指すこと、脳と心のメカニズムとそれに対する治療薬に関する研究・臨床・教育の最前線に臨むこと、2011年に起きた東日本大震災からの復興、さらには臨床と基礎の協働という、様々な意味における「連携」への期待が込められています。

本合同年会において、野田幸裕教授がシンポジウム14のオーガナイザー・座長とシンポジスト、および第1回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップの企画/運営を務められました。これまでは、抗精神病薬に関する減薬・減量のガイドラインを作成するため、減薬・減量の経験を有する薬剤師を対象としてワークショップを3回開催してきました。本合同年会ではWeb開催に合わせて少人数参加型の抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップとして開催されました。小さなグループに参加者を分けたグループワークでは、症例について減薬・減量の計画を立てるため、意見を出し合いながら討論が行われていました。一方、博士課程3年の内田美月、学部6年の佐治凪帆と吉田樹生がポスター発表を行いました。ポスター発表では閲覧した視聴者からコメントを頂き、後日フィードバックするため活発な討論とはなりませんでしたが、自身の研究を見つめ直す良い機会となりました。

新型コロナウイルス感染症により、研究活動が制限される中で開催された本合同年会では、最先端の研究成果を拝見・拝聴することで知識を深めることができ、今後の研究における糧となりました。新型コロナウイルス感染症の収束を願いながら、より一層研究に励みたいと思います。なお、本学会において、学部6年の佐治凪帆が2020年度日本精神薬学賞を、学部6年の吉田樹生が第4回日本精神薬学会総会・学術集会優秀発表賞を受賞しました。

(報告者:内田美月)

【ワークショップ】
野田幸裕(タスク/運営)、吉見 陽(タスク/運営)、内田美月(タイムキーパー)、中村真理子(タイムキーパー)、吉田樹生(補助)、佐治凪帆(補助)(8月23日)
「第1回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップ」
【シンポジウム】
野田幸裕(8月21日~23日)オーガナイザー・座長/シンポジスト(シンポジウム14)
シンポジウム14(座長):「神経発達障害による精神疾患の発症・病態に関わる因子」
シンポジウム14(シンポジスト):「新生児期プロスタグランジンE2(PGE2)曝露による発達障害モデルマウスにおけるPGE2の役割」

【ポスター発表】
内田美月(8月21日~23日)
「ストレス負荷マウスにおける社会性行動障害に対するニコチンの単回と連続投与の作用」
佐治凪帆(8月21日~23日)
「病院実務実習における精神疾患に対する薬学生の意識調査」
吉田樹生(8月21日~23日)
「グルタミン酸作動性神経伝達および神経形態に対する幼若期社会的敗北ストレス負荷の影響」

2020年3月25~28日

日本薬学会第140年会(京都)

「日本薬学会第140年会」が、国立京都国際会館にて「『創』と『療』の伝承と革新 そして新たな時代の幕開け」をテーマに開催される予定でしたが、今般の新型コロナウイルス感染症が拡大の兆しのため、中止となりました。薬学の幅広い分野からの参加者との交流と、薬学の教育・研究についての討議を行う貴重な情報交換の機会でありましたが、非常に残念でした。

当室からは野田幸裕教授が一般演題の口頭発表の座長を拝命され、学部6年の中村真理子は一般演題のポスター発表として「口腔内慢性疼痛患者における血中ユビキチン化セロトニントランスポーターの発現変化」、および学部5年の長谷川真由は一般演題の口頭発表として「薬剤師外来において吸入操作の再確認に係る要因の探索:再確認基準の構築を目指して」と題して演題登録していました。

プログラム集の発行、Web要旨の公開をもって本年会は成立したものとされ、Web要旨は1年以上公開される予定となっています。これらから最新の薬学情報を収集し、今後の研究・臨床活動に活かしていきたいと思います。

(報告者:中村真理子)

【座長】
野田幸裕(3月27日)医療系薬学:薬物治療(基礎)

【一般学演題(ポスター)】
中村真理子(3月27日)
口腔内慢性疼痛患者における血中ユビキチン化セロトニントランスポーターの発現変化

【一般学演題(口頭)】
長谷川真由(3月28日)
薬剤師外来において吸入操作の再確認に係る要因の探索:再確認基準の構築を目指して

2020年3月16~18日

第93回日本薬理学会年会(横浜)

「第93回日本薬理学会年会」が、パシフィコ横浜にて「薬理学を一つの舞台に」をテーマに開催される予定でしたが、今般の新型コロナウイルス感染症が拡大の兆しのため、中止となりました。様々な学問領域の研究者同士の交流と、それに触発される発想の転換を得る機会でありましたが、非常に残念でした。

当室からは研究員の肥田裕丈先生が一般演題として「精神疾患の環境的要因におけるプロスタグランジンE2の役割」と題してポスター発表に演題登録していました。

年会のプログラム集はPDFとして公表され、J-StageのWEB出版として英文抄録がWEB上に掲載される予定となっています。これらの情報から新たな研究奨励に活かしていきたいと思います。

(報告者:野田幸裕)

【一般演題(ポスター)】
肥田裕丈(3月17日)
精神疾患の環境的要因におけるプロスタグランジンE2の役割

2020年9月23日

アドバンスト活動報告会

本年度の「アドバンスト活動報告会」が、名古屋大学医学部附属病院内に設置された名城大学薬学部サテライトセミナー室にて行われました。例年、愛知医科大学病院、藤田医科大学病院、名古屋大学医学部附属病院、および名城大学薬学部ライフサイエンスホールにて同時開催されていた「遠隔教育システムを利用したアドバンスト学生による活動報告会」は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となりました。そこで、名古屋大学医学部附属病院でアドバンスト研修を行った学部6年生4名のみで活動報告を行いました。報告会には野田幸裕教授、吉見 陽助教、大学院生3名、およびアドバンストの学部5年生4名と4年生4名が参加し、多くの質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

皮膚科病棟で研修した河西初音は、悪性黒色腫の治療への介入について報告しました:悪性黒色腫の治療薬であるキイトルーダ®(ペムブロリズマブ)には免疫機能活性化に伴う副作用として皮膚の掻痒感があり、適正使用ガイドにおいて抗ヒスタミン剤や外用剤での対処療法が推奨されています。抗ヒスタミン薬の中には、腎機能に影響を与える薬剤があり、腎機能低下患者にも使用できる薬剤への変更を提案し、副作用発現を防止することができました。

消化器外科病棟で研修した河野彩香は、食道がんの治療への介入について報告しました:食道がんの術前術後化学療法に使用する抗がん剤(シスプラチン、ドセタキセルなど)には、末梢神経障害を発現するリスクがあります。患者面談やカルテ情報から薬剤の使用歴を確認し、末梢神経障害に対して眠気の副作用が少ないタリージェ®(ミロガバリン)を提案しました。この介入により、末梢神経障害は軽快し、アドヒアランスも向上し、化学療法を継続することができました。

精神科/親と子どもの心療科病棟で研修した佐治凪帆は、バルプロ酸の急速飽和療法への介入について報告しました:バルプロ酸による薬剤性カルニチン減少症が原因で高アンモニア血症を発現する場合があります。高アンモニア血症には、カルニチン欠乏症治療薬であるエルカルチン®(レボカルニチン)の投与やバルプロ酸を減量するためのTDMの提案があります。服薬指導では、治療薬の減量理由、減量に対する不安解消、エルカルチン内服方法の説明を行い、アドヒアランスの向上と症状改善に貢献することができました。

呼吸器内科病棟で研修した長谷川真由は、非小細胞肺がんの治療への介入について報告しました:抗がん剤治療として使用していたシスプラチンによる悪心、ビノレルビンによる血管炎、その他便秘、夜間頻尿や不眠がありました。悪心に対して追加制吐剤、血管炎に対して温罨法、不眠に対して睡眠衛生指導やゾルピデムからベルソムラ®(スボレキサント)への変薬を提案しました。夜間頻尿に対して抗がん剤や持参薬によるものではないことを確認して泌尿器科への受診勧奨し、多くの症状改善に貢献することができました。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月以降は病棟でのアドバンスト研修を行うことができず、非常に残念でした。しかし、実務実習から継続して名古屋大学医学部附属病院で臨床に携わっていたからこそ、入院患者へ長期にわたる薬学的介入ができ、活動を集約することができました。実務実習とアドバンスト研修での経験に加えて、自粛期間中に溜まった臨床へのフラストレーションを活力にして、患者の未来に寄り添った最高の薬剤師(アンサングヒーロー)を目指していきたいと思います。

(報告者:河西初音、河野彩香、佐治凪帆、長谷川真由)

【名古屋大学医学部附属病院】
河西初音(皮膚科病棟)
「ペムブロリズマブ治療中悪性黒色腫患者における化学療法及び支持療法への介入」
河野彩香(消化器外科病棟)
「化学療法施行患者における副作用・生活習慣病に対する介入」
佐治凪帆(精神科/親と子どもの心療科病棟)
「不安、焦燥感の強い患者にバルプロ酸を投与し高アンモニア血症となった一例」
長谷川真由(呼吸器内科病棟)
「非小細胞肺がん患者の化学放射線療法における薬剤師の介入」

2020年9月3日

2020年度 6年生の卒論の慰労会:感謝を込めた記念品の贈呈

「2020年度 6年生の卒論の慰労会:感謝を込めた記念品の贈呈」が、名城大学薬学部新3号館1階にて行われました。

例年、食事を楽しみながらの会でしたが、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、卒業論文発表会後の開催となりました。学部4・6年生は大学講義、学部5年生は実務実習の中ではありましたが、当室一同が久々に集まりました。最初に吉見 陽助教から学部6年生をはじめ、卒業研究・論文作成に関わった全員へ労いのお言葉を頂きました。学部4年生と学部5・6年生は8月4日以来の交流機会となり、初めて顔を合わせる学生の自己紹介の機会ともなりました。学部6年生から教員、大学院生、学部4・5年生へ、卒業論文完成の感謝を込めたプレゼントが贈られました。野田幸裕教授から今後の激励を込めた締めのお言葉を頂き、閉会となりました。

後日、学部6年生へ、昨年度の卒業生から薬剤師国家試験合格を祈願したお守りとメッセージ動画、学部4・5年生からそれぞれ携帯用アルコールジェル、先輩方のイメージカラーの名入りボールペンを贈りました。

これまでの当室での活動が先輩方に支えられていたことを改めて実感し、先輩方から引き継いだ活動や研究の更なる発展に向けて、学部4・5年生一同、気持ちを新たにして日々励みたいと思いました。

(報告者:小口智也)

2020年9月3~5日

令和2年度薬学部卒業論文発表会

「令和2年度薬学部卒業論文発表会」が名城大学薬学部新1号館2階、3階、4階、および7階にて開催されました。本年度は、口頭発表はなくすべてポスター発表でした。

発表会では、当室の学部6年の伊藤紗智子、岩見浩太郎、河野彩香、久保美穂子、佐治凪帆、および長谷川真由が新1号館4階、太田絵梨花、野口 健、吉開拓弥、および吉田樹生が新1号館7階、衛生化学研究室の河西初音が新1号館3階にて発表を行いました。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、3密の回避、手指消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保など徹底した感染対策のもと、それぞれが工夫を凝らして作成したポスターには、多くの先生入れ替わり立ち代わりポスターを閲覧され、様々なご質問やご意見をされました。基礎や臨床の枠にとらわれない広い見識を持つことは、今後薬剤師・大学院生として業務・研究を進めていく上で重要であることを再認識しました。この貴重な経験を活かして、高度な専門知識と研究能力を有する薬剤師、すなわちファーマシスト・サイエンティストを目指し、問題解決能力および科学的思考力をさらに高めていきたいです。

(報告者:佐治凪帆)

【ポスター発表】
伊藤紗智子 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスの海馬におけるクロザピン反応性タンパク質の同定」
岩見浩太郎 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスの社会的認知行動におけるドパミンD3受容体の役割」
太田絵梨花 (9月3日)
「ストレス負荷マウスの社会的認知行動におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体の関与」
河野彩香 (9月3日)
「クロザピンによる脂肪滴蓄積におけるアドレナリンβ受容体の関与」
久保美穂子 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスの側坐核におけるクロザピン反応性タンパク質の同定」
佐治凪帆 (9月3日)
「病院実務実習における薬学生の精神疾患に対するスティグマへの意識調査」
野口 健 (9月3日)
「精神科外来患者における抗うつ薬および抗不安薬の処方状況に関する調査」
長谷川真由 (9月3日)
「クロザピンによる血液毒性におけるリチウムの作用」
吉開拓弥 (9月3日)
「坐骨神経結紮マウスにおけるうつ様行動と血小板セロトニントランスポーターとの関連性:うつ様行動異常の予測因子としての可能性」
吉田樹生 (9月3日)
「幼若期のストレス負荷による社会性行動異常におけるグルタミン酸作動性神経機能および神経形態の異常に関する研究」
河西初音 (9月3日)
衛生化学研究室・アドバンストコース
「クロザピン治療中の統合失調症患者における血漿リピドーム解析」

2020年8月11~12日

2020年度 ゼミ旅行:新型コロナウイルスの感染拡大に伴い開催中止

「2020年度 ゼミ旅行」は福井・京都にて開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となりました。1日目は小浜(福井)にて箸作り体験やワイナリー見学、2日目は天橋立(京都)にて散策や川下りを予定していました。当室の仲間との絆が深まる最大のイベントが中止になってしまい非常に残念です。当室のメンバーと新配属された学部4年生は顔合わせする機会がほとんどなく、心のディスタンスはまだ離れたままです。現在、コロナ禍に合わせたリモートセミナーにて、WEBカメラを通して絆を深めながら、感染症収束後には例年を超える楽しいイベントを企画し、密な結束力を築いていきたいと思います。

(報告者:高橋礼貴)

2020年8月4日

2020年度 配属4年生との顔合わせ:初めての研究室訪問

「2020年度 配属4年生との顔合わせ」が、名古屋大学医学部附属病院内に設置された名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターサテライトセミナー室病態解析学Ⅰにて行われました。

2020年度は、当室配属4年生11名(アドバンストコース3名、研究コースA 5名、研究コースB 3名)と腫瘍分子医学研究室のアドバンストコース1名の配属が決定しました。

今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、当室メンバー全員で顔合わせをすることはできませんでしたが、学部4年生12名は全員参加しました。当室の吉見 陽助教から自己紹介と歓迎の言葉をいただき、続いて学部6年1名、学部5年1名、学部4年の順に自己紹介をしました。お菓子や野田幸裕教授が用意してくださったジュースを頂きながら、今後の研究室活動のことを話しました。学部4年生は当室に来るのが初めてということもあり、最初は緊張している様子でしたが、和やかな雰囲気で顔合わせを終えることができました。新型コロナウイルス感染症が収束していない現在の状況では、例年のように当室メンバー全員で親睦を深めることは難しいですが、新たな仲間とともに研究室で充実した時間を過ごすことができるよう、当室一同頑張っていこうと思います。

(報告者:鎌田朋見)

2020年4月18日

2020年度 第10回研究・大学活性化を目的とした学生フォーラム(名古屋)

「名城大学 第10回研究・大学活性化を目的とした学生フォーラム」が、名城大学薬学部にて、「Compass -自分の一歩が力になる-」をテーマに開催される予定でしたが、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となり、非常に残念でした。全学生が各研究室の行事・研究活動、各連携病院のアドバンスト活動などを直接知ることができる機会でありましたが、WEBによる研究室活動の情報提供となりました。

当室からは学部6年の岩見浩太郎が「社会的認知行動におけるドパミンD3受容体の関与」について、野口 健が「外来患者における抗うつ薬及び抗不安薬の処方状況」について発表を予定していました。また、研究室紹介のブースでは当室の熱意・魅力を学部1~4年生に向けて伝える準備も万全でした。

病態解析学Ⅰは、名大病院内に設置されていることから、八事キャンパスの学生に活動内容を身近で見ることが困難であり、学生フォーラムはその存在を知ってもらう絶好の機会であります。現在、テレワーク/リモートワークから情報の提供・獲得をする機会が増加しています。来年度、学生フォーラムが開催されるようであれば、テレワーク/リモートワークも活用しながら、当室の研究成果を発信していきたいです。

(報告者:野口 健)

【ポスター発表】
岩見浩太郎
「統合失調症様モデルマウスにおけるドパミンD3受容体と社会的認知行動」
野口 健
「名古屋大学医学部附属病院精神科外来患者における抗うつ薬および抗不安薬の処方状況に関する調査」

2020年3月17日

2019年度 卒業式・送別会:新型コロナウイルスの感染拡大に伴い開催中止

「2019年度 卒業式」が愛知県体育館にて、「令和2年度 学位記授与式・祝賀会」が名古屋マリオットアソシアホテルにて開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今年度は開催中止となりました。お世話になった先輩方にとって感慨深い思い出の一つとなる行事がなくなってしまったことは、在学生にとっても非常に残念でした。

当室からは6年制薬学部第13期卒業生として10名が卒業しました。このうち1名は博士課程に進学します。卒業される先輩方には今までの感謝の気持ちを込めてアルバムを作成し、プリザーブドフラワーとハンカチを添えて記念品としました。例年開催している送別会にて記念品を贈呈していましたが、こちらも中止となったため、今年度は郵送いたしました。また、卒業式に野田幸裕教授から卒業生へ贈呈しています記念品も、メッセージと共に郵送されました。各卒業生は、アルバムやたくさんのプレゼントを楽しまれたようです。研究室の一同が集まって先輩方を送り出すということはできませんでしたが、心に残る思い出になりました。

現在も新型コロナウイルス感染症の拡大はとどまることを知らず予断を許さない状況が続いておりますが、先輩方が当室で培った経験を糧に、各方面でのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(報告者:鈴木千晴)

2020年1月18日

2019年度 新年会・スポーツフェスティバル:寒さの中、体を動かし、深まる親睦

「第8回スポーツフェスティバル」が、名城大学薬学部体育館にて開催されました。
今回のスポーツフェスティバルは参加者23名が野田幸裕教授チーム、吉見 陽助教チーム、および博士課程3年の伊藤貴博先輩チームの3チームに分かれ、バレーボール、バドミントン、フリースロー、バスケットボールで競い合いました。昨年度(11月)とは違い、真冬の寒い時期の開催でしたが、試合が始まると徐々に身体は温まり、白熱した試合で汗をかくほどとなりました。最後までどのチームが優勝するかわからないほど接戦でしたが、バスケットボールの結果により、伊藤チームが僅差で優勝しました。普段は体を動かす機会が少ないですが、大きな怪我なく、全員がベストを尽くし、笑顔の絶えないスポーツフェスティバルとなりました。
スポーツで身体を動かした後は、八事の西遊記にて新年会を開催しました。会の始めに乾杯の挨拶として、野田幸裕教授から、昨年の振り返りと今年の奮起を期待するお言葉をいただきました。歓談と会食で盛り上がっている最中に、参加者のアンケ―トによって選ばれた「MVP賞」と「頑張ったで賞」、「今年一年で印象が変わった人」、「研究室を愛している人」の発表と記念品の贈呈が行われました。和やかな雰囲気の中、交流を深め、楽しい時間を過ごしました。会の最後には、吉見 陽助教から締めのお言葉をいただきました。
新年を迎えてから、はや1か月が経ちました。これから5年生は卒業研究や卒業試験・国家試験の勉強、4年生は実務実習が本格的に始まります。勉学、研究、社会活動など、実りの多い1年にしていきたいと思います。
(報告者:伊藤紗智子、久保美穂子)

優勝チーム:伊藤チーム(伊藤貴博、岩見浩太郎、佐治凪帆、長谷川真由、小口智也、鈴木千晴、細井香七)
MVP賞:細井香七
頑張ったで賞:野田幸裕
今年一年で印象が変わった人:小口智也
研究室を愛している人:野田幸裕

2020年6月4日

「令和2年度 Enjoy Learning プロジェクト」:募集中止となり申請叶わず

当室では出前講義の一つとして、「くすり」や「薬物依存」について高齢者や小学生に知ってもらう「おくすり教室」を特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)の協力の下に行っています。本学では、在学中の学生が課外において多様な経験をし、自主的な学びの活動を広げることを大学が支援する「Enjoy Learning プロジェクト(通称:Eプロ)」を実施しています当室から「おくすり110として応募した活動が2018年度より2年連続で採択され当室メンバーが主体となって活動してきました。今年度も既存の活動に加え、新規の活動を計画し、申請しましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため令和2年度の募集中止となりました

今年度の企画はおくすり教室2020自分の健康を守るセルフメディケーションとして、以下を目的としました病気の予防・治療にあたるセルフメディケーションの意義を広めること、地域の方々のセルフメディケーション実践の手助けをすること、新型コロナウイルス感染症に対する感染対策の一環として適切な手洗い手指衛生の方法とその重要性を理解し、身につけてもらうことですその目的達成のため、OTC医薬品を選択する際に薬剤師に相談すべきポイントを記載したチェックリストを用いた授業身近な薬の成分についての授業適切な手洗い手指衛生について動画を用いた授業などを計画していました。

新型コロナウイルス感染症が収束していない現在、例年のように出前講義を行うことは困難な状況です。地域の方々と触れ合い、地域医療への貢献に寄与できる貴重な機会であるため現在活動できていないことが非常に残念ですこの機に内容を見直し薬学生地域の方々への関わり方について考え、来年度つなげていきたいと思います。

(報告者:細井香七、北澤沙英鎌田朋見

2020年2月19日

くすり教室「天白区役所 愛知」

天白区役所にて「くすりと食品との相互作用、適正使用」「くすり教室:実験講座」の出前講義・E プロを開催しました200219NPO

2020年1月27日

くすり教室「名古屋市立栄小学校 愛知」

名古屋市立栄小学校にて「くすりの正しい飲み方:くすりと安全に安心して付き合う」「くすり教室:実験講座」「薬物乱用・依存」 の出前授業・E プロを開催しました。200127NPO