活動報告

研究活動

基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。

2026年8月24日〜26日

APSN-FAONS-HKSN 2026 Neuroscience Conference(香港)

「APSN-FAONS-HKSN 2026 Neuroscience Conference」が「United for Advancing Neuroscience in Asia-Pacific」をテーマに、アジア太平洋地域におけるさらなる神経科学の発展を目的として、香港大学医学部のCheung Kung Hai Conference Centreにて開催されました。本学会は、第19回アジア・太平洋神経化学会(APSN)、第6回アジア・オセアニア神経科学会連合(FAONS)シンポジウム、および香港神経科学会(HKSN)年次学術集会を兼ねた、アジア・太平洋地域の神経科学分野における合同学会です。第一線で活躍する研究者によるプレナリーレクチャーや学術シンポジウムに加え、若手研究者によるポスター発表など、神経科学に関する基礎研究から応用研究まで幅広い内容で構成された充実したプログラムが実施されました。
当室からは野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授、博士課程3年の加納正暉が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。報告者は、「Effect of α7 nicotinic acetylcholine receptor stimulation in social behaviors in juvenile mice exposed to social defeat stress」と題して発表を行いました。発表では様々な国の研究者の先生方からご質問をいただき、α7ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬の投与時間や、α7ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットと恐怖記憶との関係性など、研究のデザインから薬物治療の機序まで活発な議論を交わしました。聴講したシンポジウムでは、パーキンソン病、多系統萎縮症およびレビー小体型認知症など、神経変性疾患に関与することが報告されているα-シヌクレインについて学びました。α-シヌクレインタンパク質の発現パターンおよび構造・形状は、各疾患によって異なることが示されており、これらの違いが生じる原因を追究することは、診断バイオマーカーや新たな治療法の開発に繋がる可能性があることを学びました。
国際学会への参加は今回が初めてでしたが、世界各国の研究者と直接討論する機会を得ることができ、その研究に対する姿勢や活発な議論に大きな刺激を受けるとともに、非常に貴重な経験となりました。本学会を通して精神疾患をはじめとする神経精神疾患の病態解明や新たな治療法の開発は世界共通の課題であることを改めて認識しました。今後は、本学会での講演や研究者との討論を通じて得られた知見や課題を今後の研究活動に活かしていきたいと思います。
なお、本学会において、加納正暉はトラベルアワードを受賞しました。今回の受賞は、日頃の研究成果が評価され、大変喜ばしい成果となりました。
(報告者:加納正暉)

【ポスター発表】
野田幸裕
「Involvement of α7 Nicotinic Acetylcholine Receptor-Signaling in Social Behavior Impairments in the Stressed Mice」
𠮷見 陽
「Neuroprotective Effects of Clozapine Against Phencyclidine-Induced Cytotoxicity in SH-SY5Y Cells」
加納正暉
「Effect of α7 nicotinic acetylcholine receptor stimulation in social behaviors in juvenile mice exposed to social defeat stress」

2026年8月22日~23日

第11回日本薬学教育学会大会(大阪)

「第11回日本薬学教育学会大会」が大阪医科薬科大学薬学部(阿武山キャンパス)にて、「いまこそ薬学の再興、そして最高‼︎ ~みんなで薬学教育の基軸を語り合おう~」をテーマに開催されました。薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)では、習得した知識を課題解決に活用できる総合的な能力を有する学生の育成が求められており、シンポジウムや一般演題において、これに関連する多くの発表がありました。1日目には、薬学教育・研究におけるがん疾患をテーマとした演題が多数発表され、今後の薬学教育および薬剤師教育を考える上で大変参考となりました。
2日目の一般演題では、「2025年度 第17回 薬学共用試験OSCEの結果解析および薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に対応したOSCEへの取組」と題してポスター発表を行いました。改訂コアカリの導入に伴い、薬学共用試験の内容も変更されることから、現行のOSCEとの違いを比較しながら説明し、今後の対応や準備について情報共有および意見交換を行いました。また、改訂コアカリでは多職種連携が推進されていることから、学部教育にとどまらず、医療現場における教育機関と医療機関との連携・協力体制を構築していくことが重要であると感じました。今回の学会参加を通して、今後求められる薬学教育の方向性について理解を深めることができ、有意義な学会となりました。
(報告者:野田幸裕)

【一般演題】
野田幸裕(8月23日)
「2025年度 第17回 薬学共用試験OSCEの結果解析および薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に対応したOSCEへの取組」

2026年7月17日

令和7年度助成研究発表会(東京)

京王プラザホテルにて開催された「令和7年度助成研究発表会」において、当研究室の野田幸裕が令和7年度の研究成果を発表しました。また、「喫煙と精神機能・行動 E-2」セッションでは座長を務めました。
小児期のいじめや虐待などのストレス経験が青年期における精神疾患の発症リスクを高める一方で、既存の抗うつ薬では抑うつ症状に対して十分な治療効果が得られない場合があるという課題があります。本研究では、この課題の解決に向けた新たな治療戦略として、脳内のニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット(α7nAChR)を標的とした研究成果を報告しました。
発表後の質疑応答では、「モデルマウスにおける精神行動障害の持続期間」や「炎症性サイトカインとα7nAChRとの関連性」について活発な議論が行われました。
本年度は本研究の最終年度にあたります。今後は、モデルマウスを用いて神経炎症とα7nAChRとの関連性およびその分子機序をさらに明らかにし、α7nAChRを新たな治療標的として応用する可能性について検討を進めていく予定です。
(報告者:野田幸裕)

【口頭発表】
野田幸裕「幼若期ストレスによる脳内炎症におけるニコチン関連分子・神経回路の関与:創薬への可能性」

【座長】
野田幸裕「喫煙と精神機能・行動E-2」

2026年7月5日

日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会2026(名古屋)

「日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会2026」が名城大学天白キャンパスにて、「薬学の未来をつむぐ−基礎と臨床の協働から−」をテーマに開催されました。本学術大会には、東海地区を中心とする薬局・病院の臨床薬剤師をはじめ、大学や企業の研究者が多数参加し、基礎・臨床の両分野から活発な討論が行われ、盛会のうちに終了しました。
当室からは野田幸裕教授が専門領域シンポジウム①「精神科領域における薬剤師の取り組みと今後の展望」にシンポジストとして発表しました。精神疾患患者の増加や向精神薬の多剤併用・長期投与などが課題として取り上げられているなかで、精神科領域では薬剤師の専門性がますます求められています。野田教授は「薬学6年制における精神科領域の専門教育」と題し、名城大学薬学部で実践している精神疾患の特徴的な症状を学ぶ映像教材や、模擬症例を用いた処方提案演習など、実践的な精神科薬学教育について紹介しました。シンポジウムでは、精神科領域における多くの症例報告を拝聴し、臨床現場では教科書通りに対応できない症例が少なくなく、患者ごとに状況を判断しながら柔軟に対応することの重要性を改めて学びました。また、精神科領域に対する興味・関心を一層深める貴重な機会となりました。
一般演題では、学部6年の内山智絵及び学部5年の大原万宗が口頭発表を行いました。内山は「手術・検査・処置前の休薬忘れ事例の要因分析と再発防止に向けた検討」と題して発表しました。休薬忘れが発生した薬剤の種類ごとの要因の違いや、薬剤師の介入による休薬忘れ発生件数の変化などについて質問をいただき、今後の再発防止策を検討する上で重要な課題を再認識する機会となりました。一方、大原は、「ストレス負荷マウスに認められる社会的認知機能における海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体の役割」と題して発表しました。社会的認知が認知機能全体の中で果たす役割や、マウスの社会性行動における神経認知と社会的認知の関連について質問をいただき、社会性の形成と認知機能の関わりについて理解をさらに深めることができました。両発表とも、多くの臨床薬剤師や研究者の先生方から活発なご質問・ご意見をいただき、有意義な討論を行うことができました。
本学術大会を通して、基礎・臨床の両分野の研究者や医療従事者から貴重なご意見やご助言をいただき、自身の研究課題や今後取り組むべき課題を改めて認識することができました。今回得られた知見を今後の研究活動に活かし、より一層研究に励んでまいります。
(報告者:内山智絵、大原万宗)

【シンポジウム】
野田幸裕
専門領域シンポジウム①:精神科領域における薬剤師の取り組みと今後の展望
「薬学6年制における精神科領域の専門教育」
【一般演題(口頭発表)】
内山智絵
「手術・検査・処置前の休薬忘れ事例の要因分析と再発防止に向けた検討」
大原万宗
「ストレス負荷マウスに認められる社会的認知機能における海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体の役割」

2026年3月26~29日

日本薬学会第146年会(大阪)

「日本薬学会第146年会」が、「ファーマシンフォニーが奏でる未来〜やってみぃひん?薬学イノベーション!〜」をテーマに、関西大学 千里山キャンパスで開催されました。本年会では、異なる部会、学会、国、業種、研究手法、世代などの様々な垣根を超え、お互いの情報を交換し、お互いをよく理解し、お互いの繋がりを強く・深くすることで、従来の垣根を超えたさらなる異分野連携を推進することを目的としています。8,000名を超える参加者があり、活発な討論・議論が行われ、盛会裏に終了しました。
当室からは野田幸裕教授、学部5年の福岡万紘と安田彩乃が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。いずれの発表でも発表時間の終了まで多数の質問を受け、大変盛況でした。福岡と安田は、今回初めて学会にて発表しました。いずれの発表でも、研究に使用した細胞の特徴や、クロザピンの使用濃度、臨床用量との関連性、臨床応用などについて多くのご意見をいただくことができました。特に、クロザピン使用患者の血球数や血糖値などのモニタリング状況、研究の今後の展望などについて、意見交換を行うことができました。一方で、他研究室の同期との交流も刺激となり、お互い励まし合う機会となりました。
一般ポスター発表(医療系)の「医療薬科学③病態生理学(薬理活性・その他)」では、短期間のストレスがストレス環境での対処行動であるコーピングを積極化させること、短期間のストレスは腹側海馬でのERKのリン酸化を有意に増加させること、コーピングへの相反作用には、腹側海馬のp38 MAPK-ERKシグナルが関わることが報告されました。このような反応は、既存の抗うつ薬よりも早く効果を示すため、新規抗うつ薬の開発につながる可能性に強い関心を持ち、今後の研究の発展に期待を抱きました。低下したシグナルも回復させることができるかという質問に対する回答でも、より理解を深めることができました。
本年会で得られた知見を今後の研究・臨床活動に活かし、より一層精進したいと思います。
(報告者:福岡万紘、安田彩乃)


【一般演題(ポスター)】

野田幸裕(3月28日)
「2024年度薬学共用試験OSCEの解析結果と2025年度OSCEの結果速報、および 薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に対応したOSCEへの取組」

福岡万紘(3月27日)
「HL-60細胞でのクロザピンによる血液毒性における小胞体ストレス誘導性アポトーシス経路の関与」
安田彩乃(3月27日)
「3T3-L1前駆脂肪細胞でのクロザピンによる脂肪滴蓄積におけるアドレナリンβ受容体の関与」

2026年3月16~18日

第99回日本薬理学会年会(宮城)

「第99回日本薬理学会年会」が「薬理学白寿―先進性と深化の追求―」をテーマに東北大学川内キャンパスにて開催されました。本会は薬物の効果・副作用の評価のみならず、疾患の成因解明や治療法的の発見など新たな治療法の創出に貢献することを目的として開催されております。

 当室からは博士課程2年の加納正暉が一般演題(ポスター)にて「Role of α7 nicotinic ACh receptor signaling in social behaviors in mice exposed to social defeat stress as juveniles」と題して発表を行いました。発表では大学・企業を問わず多くの先生方から多数の質問をいただきました。社会的敗北ストレスの負荷方法やα7ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬とニコチンとの作用面での相違点など、実験方法から薬物治療の機序まで活発な議論を交わすことができました。

シンポジウムでは、社会的敗北ストレスにより社会性行動障害の発現のみならず排便回数の増加といった過敏性腸症候群様症状が発現し、社会的敗北ストレスによる中枢神経系以外への影響について知ることができました。この症状は、雌雄によって異なることから、性差で異なる神経系が関与している可能性があると学びました。

今回得られた知見は、今後の研究活動に活かし、益々精進していきたいと思います。

(報告者:加納正暉)

【一般演題(ポスター)】
加納正暉(3月17日)
「Role of α7 nicotinic ACh receptor signaling in social behaviors in mice exposed to social defeat stress as juveniles」

2026年3月15日(日)

第35回神経行動薬理若手研究者の集い(宮城)

「第35回神経行動薬理若手研究者の集い」が「飛べ」をテーマとして、東北医科薬科大学・小松島キャンパスにて開催されました。本会は若手研究者の育成を目的に、神経行動薬理学を志す若手研究者が一堂に会し、自由闊達な議論と交流を通じて各々の専門性を磨くための議論の場として提供されています。

当室からは博士課程2年の加納正暉が一般演題にて「幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスにおける社会性行動にα7ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル伝達が及ぼす影響」と題して口頭発表を行いました。発表後には幼若期と成体期では社会的敗北ストレスに対する抗うつ薬の反応性の違いについてなどの質問があり、活発に議論が行われました。

AIを駆使した行動学的解析についての発表では、マウスのひっかき行動の回数や痛みを知覚した際の表情をAIが解析することで観測者のバイアスを抑え、客観的でより詳細に行動解析が可能になると学びました。

本会を通して既存の実験手法にAIなどの最新の技術を応用することで、客観的な解析が困難であった行動も解析可能となり、行動薬理学の更なる深化についての知見を広めることができました。本会で得た学びを今後の自身の研究活動に活かしていきたいと思います。

(報告者:加納正暉)

【一般口頭演題】
加納正暉(3月15日)
「幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスにおける社会性行動にα7ニコチン性アセチルコリン受容体シグナル伝達が及ぼす影響」

2026年1月22日

日本社会薬学会東海支部・第27回講演会(名古屋)

「日本社会薬学会東海支部・第27回講演会」が名城大学八事キャンパス薬学部にて開催されました。薬学生を対象として、名城大学名誉教授 飯田耕太郎先生が座長を務め、「知っておきたい認知症の基本:病態生理から治療・地域連携~自分らしく前向きに生きるために~」と題して、野田幸裕が講演しました。認知症の病態生理と薬物療法について歴史的背景から最新の知見に至るまでの解説と、本学部の地域における認知症患者との取り組みについて紹介しました。現在日本で承認されている認知症治療薬は、新薬のドナネマブやレカネマブを含めると6種です。これらの薬は、認知症の症状進行を緩やかにする効能がありますが、完全に止めることはできません。認知症患者の社会参加は症状の軽減をもたらすばかりでなく、認知機能の維持を目指すことが可能です。その一環として多くの地域で認知症カフェが開催され、本学部の学生が地域ボランティア活動として参加しています。薬学生がその重要性を認識して、地域医療に貢献できるようになればと思います。
(報告者:野田幸裕)

【招待講演】
野田幸裕(1月22日)招待演者
「知っておきたい認知症の基本:病態生理から治療・地域連携~自分らしく前向きに生きるために~」

2025年12月16日

藤田医科大学 精神・神経病態解明センター ICBSセミナー(豊明)

藤田医科大学精神・神経病態解明センター(International Center for Brain Science : ICBS)では、ゲノム解析学、細胞生物学、神経生理学、神経化学、行動薬理学、ヒトイメージングおよび計算科学の7部門が協同して精神・神経疾患の病態解明、未知である脳・こころの基本的原理の理解、新規治療法および新規技術の開発を目指しています。

当室の野田幸裕が、「精神障害の発症脆弱性における環境要因の関与:幼若期社会的敗北ストレスモデル動物を用いたアプローチ Involvement of environmental factors in vulnerability of psychiatric disorders: approach using social defeat stress model animals as juveniles」と題してICBSセミナーにて発表しました。幼少期における心理社会的ストレスによる抑うつ症状に対して既存の抗うつ薬治療の有効性や安全性が乏しいという問題があります。そこで、いじめや虐待などの心理社会的ストレスを負荷したモデルマウスを作製し、グルタミン酸神経系が治療抵抗性のうつ症状に関与していることから、グルタミン酸神経系に注目して、情動行動障害の発現機序、その病態解明や新規治療戦略に繋げた研究について紹介しました。発表後には、行動障害と単回ストレスや連続ストレス負荷におけるグルタミン酸神経系との相互の関係、脳内炎症との関連性について質疑があり、今後の研究の課題が明確になりました。

(報告者:野田幸裕)

【招待講演】
野田幸裕
「精神障害の発症脆弱性における環境要因の関与:幼若期社会的敗北ストレスモデル動物を用いたアプローチ Involvement of environmental factors in vulnerability of psychiatric disorders: approach using social defeat stress model animals as juveniles」

2025年11月22日~24日

第35回 日本医療薬学会年会(神戸)

「第35回 日本医療薬学会年会」が、「医療薬学の深化と広がり-患者アウトカムの改善を目指して-」をテーマに、神戸国際展示場、神戸国際会議場、および神戸ポートピアホテルにおいて現地とWEBとのハイブリッド形式で開催されました。患者アウトカムの改善を目指して、深化と広がりがみられる医療薬学について討論する機会として、種々のプログラムが組み込まれていました。医療に従事する薬剤師、薬学研究者、薬学教育者あるいは薬学生以外に、医薬品、医療・薬科機器、医療情報等に関わる多くの関係者が参画し、活発な討論・議論が行われ、盛会裏に終了しました。

当室からは野田幸裕が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。発表では多くの臨床薬剤師からご質問をいただき、特に、オレキシン受容体拮抗薬が4種類になったことから、これらの使用状況と使い分け、長期使用での新たな問題点や睡眠衛生の普及などについて意見交換を行うことができました。薬剤師は、外来不眠症患者における睡眠状況や睡眠導入薬の処方実態を理解し、睡眠導入薬や睡眠衛生に関する患者の理解度を把握することで、効果的かつ安全な薬物治療を支援する必要があることが再認識できました。今回の意見交換で得られた内容を今後の研究・臨床活動に活かしたいと思います。

(報告者:野田幸裕)

【一般演題(ポスター)】
野田幸裕(11月24日)
「睡眠導入薬服用外来患者における睡眠とその使用の状況に関する調査」

2025年11月13日~15日

第47回日本生物学的精神医学会、第35回日本臨床精神神経薬理学会、第55回日本神経精神薬理学会の各学術大会の合同年会(BPCNPNP2025合同年会)(京都)

第47回日本生物学的精神医学会、第35回日本臨床精神神経薬理学会、第55回日本神経精神薬理学会の各学術大会の合同年会(BPCNPNP2025合同年会)が国立京都国際会館(京都市左京区)にて開催されました。本合同大会のテーマは「精神疾患の世界を変える ~野望を持って理想を目指せ!」であり、それぞれの学会が精神疾患に伴う課題解決を目指し、精神疾患克服に向けて、その病態解明から薬物治療に至るまでの研究内容が多数ありました。
当室からは、学部6年の永井拓巳がポスター発表を行いました。発表時間には、全国各地の参加者から多数の質問をいただき、新たな視点の発見につながる貴重な経験の場となりました。行動異常と脳での免疫・炎症反応の関連をミクログリアだけでなく、アストロサイトやその他周囲の細胞ではどのような変化が見られるのか、今後の研究課題について今回の交流で認識することができました。
本会を通して、精神薬学・医学の専門領域の奥深さを医師・薬剤師・企業の方との交流から経験することができました。

報告者:永井拓巳

【一般演題(ポスター)】
永井拓巳(11月13日)
「ASTN2遺伝子変異マウスの幼若期における社会的敗北ストレス負荷による高次脳機能と神経発達への影響」

2025年9月13~14日

第9回日本精神薬学会総会・学術集会(東京)

「第9回 日本精神薬学会総会・学術総会」が北里大学白金キャンパスにて「虹色に輝く未来に心に届く薬を届けよう」をテーマに開催されました。全国各地の精神薬学を専門とする薬局・病院の臨床薬剤師や大学・企業の基礎研究者、教員、および学生が多数参加し、各セッションにおいて活発な討論が行われました。
当室からは野田幸裕教授が「シンポジウム1:クロザピンの副作用、みんなどうしてる?-ラボとベッドサイド、両方から考える副作用対策-」のシンポジストとして「クロザピンによる血液毒性の発現機序を考える:基礎研究からのアプローチ」と題して発表し、「ワークショップ2:抗精神病薬の減薬・減量の実践的なワークショップ」の企画運営も務められました。一般演題において、𠮷見 陽准教授、学部6年の尾崎真優、金澤和桜子がポスターを行いました。発表時間には参加者からストレス負荷マウスの行動変容および細胞内情報伝達系の変化、これらの変化に対する薬剤の影響について数多くの質問がありました。他の発表に対してはモデルマウスを用いた基礎研究から得られた知見をどのように臨床現場へ還元するかなど、様々な分野で活躍されている先生方との大変貴重な交流の場となりました。また、今後の展望を交えて議論を交わすことで自身の研究について改めて省察することができました。
本会を通して、精神科領域の薬物治療における様々な課題や薬剤師の役割について理解を深め、薬物治療の適正化を図るために基礎研究と臨床の両方の面で研鑽していくことが重要であると再認識しました。
なお、本会において、尾崎真優および金澤和桜子が2025年度日本精神薬学賞を受賞しました。

(報告者:尾崎真優、金澤和桜子)

【シンポジウム】
野田幸裕(9月13日)シンポジスト(シンポジウム1)
「シンポジウム1:クロザピンの副作用、みんなどうしてる?-ラボとベッドサイド、両方から考える副作用対策-」
「クロザピンによる血液毒性の発現機序を考える:基礎研究からのアプローチ」

【ワークショップ】
野田幸裕(9月13日)企画/運営
「ワークショップ2:抗精神病薬の減薬・減量の実践的なワークショップ」

【一般演題(ポスター)】
𠮷見 陽(9月13日)
「統合失調症患者の薬物療法に関する処方実態調査(2024年)その1 ~全国51施設の入院患者の処方状況について~」
尾崎真優(9月13日)
「幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの社会性行動障害におけるα7ニコチン性アセチルコリン受容体を介する細胞内情報伝達系の関与」
金澤和桜子(9月13日)
「フェンシクリジン誘発統合失調症様モデルマウスにおける脳内クロザピン反応性遺伝子の探索的研究」

2025年8月19日~22日

ISN-ASN 2025 – New York:The International Society of Neurochemistry (ISN) and the American Society of Neurochemistry (ASN) (ニューヨーク)

ISN-ASN 2025 – New York:The International Society of Neurochemistry (ISN) and the American Society of Neurochemistry (ASN) がニューヨークのNorth Javits Centerで現地開催されました。ISN-ASN 2025は、世界最先端の神経化学の情報が集まる大変充実したプログラムでした。
開会式のオープニングセレモニーに続き、Magdalena Götz先生による「神経発生、疾患、修復における細胞小器官の多様性」に関する特別講演があり、終日、活発な議論が行われ、熱気にあふれていました。17時からのポスターセッションでは、当室の博士課程修了生の伊藤貴博くんが博士課程時の研究論文に対して「Journal of Neurochemistry: 2023 Young Investigator Paper of the Year in Honor of Mark A. Smith – 2nd Place Winner」に選出された論文内容のポスター発表に参加しました。2日目はストレスに関連する記憶や精神疾患に関する分子・細胞機序についてシンポジウムを聴講しました。17時30分から「Involvement of α7 Nicotinic Acetylcholine Receptor in Social Behavior Impairments in Juvenile Mice Exposed to Social Defeat Stress」の演題にてポスター発表を行いました。α7 Nicotinic Acetylcholine Receptorを欠損させた影響、脳炎症がどのように惹起されるのかなど、コメントと質問があり、海外の研究者と研究について交流を図りました。3日目にはEric Nestler 先生の「Transcriptional and Epigenetic Mechanisms of Drug Addiction」、4日目には Eunjoon Kim先生の「Synaptic Dysfunction in Autism Spectrum Disorders」と題した素晴らしい講演で1日が始まり、多くの研究者が聴衆していました。
今回の会議では神経化学の発展にとどまらず、科学そのものに繋がり、神経化学の限界に挑戦する若手研究者の革新と献身的な取り組みなどが紹介された会議であました。最後に次回の会議「Neurochemistry 2027」は、京都で開催することが案内されました。(報告者:野田幸裕)

【Journal of Neurochemistry: 2023 Young Investigator Paper of the Year in Honor of Mark A. Smith – 2nd Place Winner】
Takahiro Ito(8月19日)「Astrotactin2 (ASTN2) regulates emotional and cognitive functions by affecting neuronal morphogenesis and monoaminergic systems」
【一般演題:ポスター】
Yukihiro Noda(8月20日)「Involvement of α7 nicotinic acetylcholine receptor in social behavior impairments in juvenile mice exposed to social defeat stress」

2025年7月18日

令和6年度助成研究発表会(東京)

京王プラザホテルにて、「令和6年度助成研究発表会」が開催されました。
幼少期における心理社会的ストレスによる抑うつ症状に対して抗うつ薬治療の有効性や安全性が乏しいという問題があります。幼若期に社会的敗北ストレスを負荷したマウスにおける社会性行動障害は、既存の抗うつ薬では改善されず、治療抵抗性を示します。脳内ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット(α7nAChR)が精神機能の調節や神経炎症に関与していることから、本報告では、治療抵抗性ストレス関連行動に対するα7nAChR関連化合物の急性作用とその分子機序に関する研究成果を当室の野田幸裕が報告しました。また、「喫煙と精神機能・行動 E-2」のセッションの座長も務めました。
研究成果の報告後には、行動障害におけるα7以外のα4やβ2サブユニットの関与や連続投与の影響、行動障害と脳内炎症やα7nAChRの関連性について質疑応答がありました。今後は、モデルマウスの病態と神経炎症の関連性やα7nAChRを介する分子機序を検討し、α7nAChR関連化合物の新規治療薬としての可能性に繋げたいと思いました。
(報告者:野田幸裕)

【口頭発表】
野田幸裕「幼若期ストレスによる脳内炎症におけるニコチン関連分子・神経回路の関与:創薬への可能性」

【座長】
野田幸裕「喫煙と精神機能・行動E-2」

2025年7月5日

第71回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋)

「第71回日本薬学会東海支部総会・大会」が名城大学薬学部にて開催されました。本会では、東海地区を中心とする薬学系研究者が150名以上参加し、化学系薬学、生物系薬学、物理系薬学、医療系薬学等のいずれのセッションでも活発に討論されていました。
当室からは学部6年の楠本美優が一般演題(口頭発表)「Astn2 遺伝子変異マウスの新生仔期における免疫活性化による高次脳機能への影響」と題して発表を行いました。発表後の質疑では、ヒトにおける周産期の感染症罹患と精神疾患発症の関連について質問をいただき、自身の研究と臨床との繋がりをより意識する貴重な機会となりました。
本会で医療への応用を踏まえた研究の重要性を学びました。今回得られた知見を、今後の研究活動に活かせるよう、さらに努力していきたいと思います。
なお、本会におきまして、楠本美優は学生優秀発表賞を受賞しました。

(報告者:楠本美優)

【口頭発表】
楠本美優
「Astn2 遺伝子変異マウスの新生仔期における免疫活性化による高次脳機能への影響」

2025年6月28日〜29日

医療薬学フォーラム2025/第33回クリニカルファーマシーシンポジウム(旭川)

「医療薬学フォーラム2025/第33回クリニカルファーマシーシンポジウム」が、大雪クリスタルホールと旭川地場産業振興センターにて「時を越える医療薬科学」をテーマに開催されました。

当室からは𠮷見 陽がシンポジウム4「精神科領域における薬学研究の最前線」にて「精神科領域におけるリバーストランスレーショナルリサーチ」について発表しました。総合討論では、「精神疾患患者を対象とした網羅的解析においては、症状や生物学的背景による層別化が必要であるが、研究規模・資金・解析手法などにより限界がある。網羅的解析後のデータ階層化や複数のサンプルセットによる検証など、特定集団を区別できる分子を探索するには工夫が求められる」という意見がありました。また、「将来の精神薬学分野に関心を持つ薬剤師養成のためには、薬学部在学中に臨床現場での精神科薬剤師の業務や症例課題、患者の声、バーチャル症状体験などを通じて、精神科医療を学ぶ機会の提供が必要である」ことなどの発言がありました。このように、研究のみならず臨床・教育の視点からシンポジストや参加者と活発な意見交換を行うことができました。

(報告者:𠮷見 陽)

【シンポジウム】
𠮷見 陽(6月28日)シンポジスト(シンポジウム4)
「精神科領域におけるリバーストランスレーショナルリサーチ」

2025年6月21日

第4回日本精神薬学会・Webワークショップ(オンライン)

「第4回日本精神薬学会・Webワークショップ」が、オンラインにて「処方検討ワークショップ―統合失調症―」をテーマに開催されました。
当室からは𠮷見 陽が講師を担当し、大学院博士課程4年生の堀田彰悟がファシリテーターを務めました。再燃・再発を繰り返す急性期統合失調症患者の病態を把握し、適切なエビデンスに基づいてより良い薬物治療は何かを考え、治療方針を提案できるようになることを目的として、参加者36名が6グループに分かれてディスカッションを行いました。事前課題として患者背景の整理と薬剤調整計画を立案してきたこともあり、情報量が多く活発な議論が展開されました。症例の抱える問題点を解決するために、ガイドラインや臨床試験に基づく検討に加え、患者・家族の病識・薬識や服薬管理の問題などを加味した様々な療養計画が発表されました。質疑応答を含めて、治療方針を提案するための薬学的思考プロセスを共有することにより、精神科薬物療法の最適化について様々な視点から考察する良い機会となりました。
(報告者:𠮷見 陽)

【講師】
𠮷見 陽「処方検討ワークショップ―統合失調症―」
【ファシリテーター】
堀田彰悟

2025年3月26日~29日

日本薬学会第145年会(福岡)

「日本薬学会第145年会」が、「薬学エコシステムの推進:異分野連携で拓く未来のイノベーション」をテーマに、福岡国際会議場、マリンメッセ福岡B館、福岡サンパレスで開催されました。本年会では、異なる部会、学会、国、業種、研究手法、世代などの様々な垣根を超え、お互いの情報を交換し、お互いをよく理解し、お互いの繋がりを強く・深くすることで、従来の垣根を超えたさらなる異分野連携を推進することを目的としています。8,000名を超える参加者があり、活発な討論・議論が行われ、盛会裏に終了しました。

当室からは野田幸裕教授、学部5年の井指孝一が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。いずれの発表でも発表時間の終了まで多数の質問を受け、大変盛況でした。井指は今回初めて学会に参加し、精神科病棟に勤務する薬剤師や保険薬局の薬剤師から研究成果の解釈や今後の展望について多くのご意見をいただくことができました。特に、将来の医療従事者となる薬学生に対する教育プログラム(例: 認知行動療法の技法を取り入れたロールプレイなど)の具体案について、意見交換を行うことができました。一方で、他研究室の同期との交流も新たな刺激となり、お互い励まし合う機会となりました。

一般口頭発表(医療系)の「薬物治療学⑤(臨床)」では、新たな知見としてクロザピン服用による流涎の量と頻度には、服用量、期間や精神症状との関連性よりも、服用方法が強く関連していることが報告されました。特に「夜間のみに服用」することで流涎が有意に減少し、症状が緩和される傾向があることが示されました。実際に発表を聞く中で、臨床研究におけるClinical QuestionやPICOの設定、対象選定、主要評価項目の明確化、統計手法の選択など、研究デザインの具体的なイメージを膨らませる機会となりました。

本年会で得られた知見を今後の研究・臨床活動に活かし、より一層精進したいと思います。

(報告者:井指孝一)


【一般演題(ポスター)】

野田幸裕(3月28日)「2023年度薬学共用試験OSCEの解析結果と2024年度OSCEの結果速報、および薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)に対応したOSCEへの取組」

井指孝一(3月28日)「薬学生、薬剤師や精神疾患患者における精神疾患に対するスティグマに関する調査」

2025年3月17日(月)~19日(水)

APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)(千葉)

「APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)」が「協奏の未来へ~生命を探る・解く・護る~」をテーマとして、幕張メッセにて開催されました。本合同大会は生命を構造・機能面から探り、新たな治療法を開拓することを目的に、基礎医学領域の発展の場として提供されていります。

当室からは博士課程1年の加納正暉が一般演題(ポスター)およびshort talkにて「The mutant of Pcdh15, a gene associated with bipolar disorders (BD) induces BD-like behavioral and synaptic transmission abnormalities in mice」と題して発表を行いました。英語でのshort talkは初めてであり、とても貴重な経験となりました。ポスターでは多くの研究者から質問を頂き、モデルマウスの妥当性や病態生理について活発に議論を行うことができました。

シンポジウム:「ストレス研究の新潮流:ストレス応答と病態形成メカニズムの解明へ」では統合失調症やうつ病などの精神疾患には脳内のサイトカイン濃度の変化の他に、脂質異常が関与する可能性があるという新たな知見を得ることができました。

なお本会におきまして加納正暉はGraduate Student Presentation Awardを受賞しました。この受賞は、今後の研究の活力となり、益々研究活動に精進していきたいと思います。

(報告者:加納正暉)

【一般演題(ポスター)・short talk】
「The mutant of Pcdh15, a gene associated with bipolar disorders (BD) induces BD-like behavioral and synaptic transmission abnormalities in mice」

2025年3月16日

第34回神経行動薬理若手研究者の集い

「第34回神経行動薬理若手研究者の集い」が「ひらく」をテーマとして、お茶の水女子大学にて開催されました。本会は若手研究者の育成を目的に、基礎生物学研究と行動薬理研究を融合させることにより高次生命現象やそのシステム破綻による疾患発症を理解し、各神経精神疾患の治療薬開発に貢献するための議論の場として提供されています。

当室からは博士課程1年の加納正暉が一般演題にて「双極症関連遺伝子であるPcdh15遺伝子変異がマウスの精神行動やシナプス伝達に与える影響」と題して口頭発表を行いました。発表後には脳内モノアミンやアミノ酸変化と行動変容との関連性など、多数の質問を頂くことができました。

シンポジウムでは「モデルマウスを用いたタウ蛋白代謝におけるオートファジーの役割の解明」について拝聴しました。オートファジーはリン酸化タンパク質の分解に関与しており、オートファジーの阻害がアルツハイマー病の病因であるリン酸化タウタンパク質を増加することからアルツハイマー病の発症に関与する可能性を学ぶことができました。

本会を通して神経・精神疾患の機序の解明には行動薬理学を含め、種々の実験手法を融合することでより詳細な検討を行うことができ、融合研究の重要性について学ぶことができました。本会で得た多角的な視点を今後の研究活動に活かし、より努力していきたいと思います。

(報告者:加納正暉)

【一般口頭演題】
加納正暉(3月16日)
「双極症関連遺伝子であるPcdh15遺伝子変異がマウスの精神行動やシナプス伝達に与える影響」