活動報告

大学・研究室行事

大学行事として、学生フォーラム、ソフトボール大会、オープンキャンパス、卒論発表や卒業式などが開催され、こうした行事には積極的に参加しています。研究室行事として、鶴舞公園での花見、ゼミ旅行、スポーツフェスティバル、新年会など、1年を通して楽しいイベントを開催し、メンバー同士の親睦を深めています。

2021年9月5日(日)

野田幸裕教授還暦記念講演会 :ますます楽しい人生を!

2021年7月24日に還暦を迎えられた野田幸裕教授の「還暦記念講演会」は新型コロナウイルスの感染状況を見極め、名城大学薬学部サテライトセミナー室とオンラインのいずれでも参加可能なハイブリッド形式にて開催されました。本講演会は当室の吉見 陽助教、博士課程4年の内田美月先輩と2年の中村真理子先輩が企画し、在籍学部生の協力のもとに実施されました。

当日、野田幸裕教授、吉見 陽助教、現役院生や学部4年、5年と6年生の28名は名城大学薬学部サテライトセミナー室にて、研究員や卒業生37名と実務実習生5名はオンラインにて、総勢72名が参加しました。残念ながら当日参加ができない卒業生からも還暦記念講演会に祝辞を頂きました。司会進行は吉見 陽助教が担当し、野田幸裕教授より「学部卒業~コロナ禍までの病態解析学Ⅰの軌跡」と題して、当室設立時から近状のコロナ禍における過ごし方やハマったことなど、趣向を凝らした還暦記念講演が行われました。次に、学部5年が企画した研究室紹介セミナーでのグループワークでは、薬学や研究室に関する課題、野田幸裕教授のイメージに関する課題などについて実施し、発表しました。ソーシャル・ディスタンスを保ちながらも活発に楽しく意見交換ができました。グループワークの間に、オンライン参加の研究員や卒業生と画面越しの再会でしたが、仲睦まじく話される野田幸裕教授の姿が印象的でした。休憩中には、研究員および卒業生や現役学部生から頂戴した祝辞をまとめたビデオレターを上映し、還暦記念品(ロナセンのタイピンなど)と花束が学部生から贈呈されました。最後に野田幸裕教授から閉会の挨拶を行って頂き、オンラインでの参加者をスクリーン上に映し出して参加者全員で記念写真を撮影しました。撮影後もオンラインで野田幸裕教授との歓談が続き、名残惜しさを感じつつも閉会となりました。

コロナ禍のため、一堂に集まることはできませんでしたが、オンラインでも祝福の思いを伝えることができたと思います。野田幸裕教授には、これまでのご指導に心よりお礼を申し上げるとともに、更なるご活躍をお祈りしております。

(報告者:松本あおい)

 

※記念撮影時のみマスクを外しております。

2021年9月2日~4日

令和3年度薬学部卒業論文発表会

「令和3年度薬学部卒業論文発表会」が名城大学薬学部 新1号館および新3号館にて、緊急事態宣言発令中でしたが、徹底した感染対策のもと無事に開催されました。本年度も、前年度に引き続きすべてポスター発表でした。

発表会では、当室の学部6年の浅井未来、鈴木千晴、細井香七および高橋礼貴が新1号館3階、相羽優樹、伊藤嘉野、小口智也、加藤有耶香、鎌田朋見および中村実樹が新3号館3階、衛生化学研究室の北澤沙英が新1号館4階にて発表を行いました。約2年間の研究活動の集大成を発表することができ、6年生一同感謝しております。

 

今年度は感染対策の一環として所属する研究室の発表のみを所属する4年生と5年生が、聞くことができる状況でした。そのため、発表を聞きに来てくださる人数は限られていましたが、後輩にわかりやすく説明すること、先生方とじっくり議論することができました。教育、研究、臨床の最先端で活躍される先生方から、多くのご質問やご意見をいただき、有意義な時間を過ごすことができました。本発表会を通して、広範な視野で結果を客観的にとらえ、論理的に思考する重要性を改めて学びました。

発表会終了後、新3号館の1階にて学部6年生から教員、大学院生、学部4・5年生へ感謝を込めたプレゼントを贈りました。学部4・5年生からは、絵付けのだるまと名前入りのボールペンを頂きました。卒業試験や国家試験の合格に向けて、七転八起のだるまのように、粘り強く勉学に励みます。

当室での活動を通して培った知識や経験を活かして、高度な専門知識と研究能力を有する薬剤師を目指し、問題解決能力および科学的思考力をさらに高めていきたいです。

(報告者:浅井未来)

 

※撮影時のみマスクを外しております。

【ポスター発表】
相羽優樹 (9月3日)
「名古屋大学医学部附属病院における統合失調症入院患者のポリファーマシーに関する調査」
浅井未来 (9月3日)
「うつ病患者のリンパ芽球様細胞株および幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの血液と脳における網羅的遺伝子発現解析」
伊藤嘉野 (9月3日)
「3T3-L1細胞でのクロザピンによる脂肪滴蓄積におけるアドレナリンβ2受容体の関与」
小口智也 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスにおける脳内クロザピン反応性タンパク質の同定」
加藤有耶香 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスにおけるクロザピン治療による行動学的および神経化学的影響」
鎌田朋見 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスの精神行動におけるシナプス形成やシナプス伝達の関与」
鈴木千晴 (9月3日)
「幼若期マウスへの単回社会的敗北ストレス負荷による社会性行動障害に対するメマンチンの作用」
高橋礼貴(9月3日)
「プロトカドヘリン15(Pcdh15)遺伝子変異によるマウスの精神行動と脳内モノアミン・アミノ酸神経系への影響」
中村実樹(9月3日)
「HL-60細胞でのクロザピンによる血液毒性に対するリチウムの作用」
細井香七(9月3日)
「ストレス負荷マウスにおける社会的認知の制御機構:コリンおよびセロトニン神経系の関与」
北澤沙英 (9月3日)
衛生化学研究室・アドバンストコース
「シスプラチンベースのがん化学療法におけるハイドレーションと有害事象発現に関する調査」

2021年7月13日

第3回アドバンスト活動報告会

「第3回アドバンスト活動報告会」が、開催されました。

薬局にて研修しているアドバンスト学生1名および藤田医科大学病院の内分泌・代謝・糖尿病内科にて研修しているアドバンスト学生2名が症例報告を行いました。薬局でのアドバンスト研修報告は今回初めて視聴することができました。多くの学生や教員が参加し、症例報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

薬局にて研修している学生は、地域包括ケアシステムで活躍できる薬剤師を目指し、地域医療での課題に取り組んでいます。今回はALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅医療に関する報告を行いました。ALSは運動ニューロンが進行性に変性・消失する疾患です。症状進行に伴い、食事の経口摂取が困難になった場合には、経腸・経静脈栄養が主栄養となります。経腸栄養法施行時、薬剤の投与方法として粉砕法や簡易懸濁法があり、薬剤の安定性や配合変化などの確認が必要です。不適切な薬剤管理に対して、処方薬の見直しや管理方法の指導により、患者に合わせた薬剤の選択をすることができました。

藤田医科大学病院にて研修している学生のうち1名は、免疫チェックポイント阻害薬投与によるirAE(免疫関連有害事象)に関する報告を行いました。irAEには間質性肺炎、皮膚障害、内分泌障害、および1型糖尿病などがあります。irAEは症状に対する適切な薬剤の追加、使用薬剤の減量・休薬、および変更により対処します。糖尿病の既往がなく血糖値の異常や高血糖症状を認めた場合には、1型糖尿病の発症を疑います。1型糖尿病はインスリン依存状態であるため、厳格な血糖コントロールが必要となり、主な治療法として強化インスリン療法が行われます。患者指導を通してインスリン製剤を適切に使用してもらうことで、血糖コントロールやケトアシドーシスの改善に努めました。

もう1名は、褐色細胞腫の血圧管理に関する報告を行いました。褐色細胞腫はカテコールアミンの過剰分泌により、高血圧や高血糖を引き起こす疾患です。治療の中心は外科手術による腫瘍の摘出ですが、周術期の血圧管理が重要です。術前には手術当日に向けて降圧薬を漸増する一方で、循環血漿量の減少に伴う起立性低血圧や術後低血圧の予防に電解質の補給が必要となることもあります。薬物療法では、第一選択薬としてα1遮断薬が使用され、頻脈がみられた場合や、降圧不十分の場合にはβ遮断薬やαβ遮断薬、およびCa拮抗薬を追加で使用します。降圧薬の追加や電解質の補給による適切な血圧管理を通して、容体悪化を防ぐことができました。

症例報告会を通して、主訴や検査値から正しく患者の状態を判断し、適切な対処ができるよう、使用薬剤について深く学ぶことの重要性を改めて感じました。患者の思いを丁寧に聞き取りながら他の職種と連携し、より良い治療方針の提案ができるように努めていきたいと思います。

(報告者:伊藤嘉野)

【藤田医科大学病院】
内分泌・代謝・糖尿病内科病棟
「中咽頭癌に対する免疫チェックポイント阻害薬投与によりirAEによる糖尿病を来した一例」
「褐色細胞腫」

【薬局】
「在宅医療におけるALS患者への薬剤師の介入」

2021年6月29日

第2回アドバンスト活動報告会

「第2回アドバンスト活動報告会」が、開催されました。

名古屋大学医学部附属病院の呼吸器内科・外科、血管外科、および消化器外科1・消化器外科2にて研修しているアドバンスト学生3名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、症例報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

呼吸器内科・外科病棟で研修している中村実樹は、今年に製造販売承認を取得した新薬であるアルンブリグⓇ(ブリグチニブ)の導入に関する報告を行いました。アルンブリグⓇはALK陽性非小細胞肺がんに用いられるチロシンキナーゼ阻害薬で、間質性肺炎、クレアチンキナーゼ上昇、下痢、高血圧、悪心・嘔吐、肝機能障害、および膵炎などの副作用があります。間質性肺炎では空咳や発熱、肝機能障害では疲労や食欲不振、膵炎では身体の痛みなどが自覚症状として挙げられます。一方で重症化するまで自覚症状がない副作用も多いため、服薬中は定期的な血圧測定と血液検査を行います。下痢や高血圧、悪心・嘔吐については必要に応じて止瀉薬や降圧薬、制吐薬を用いることで対処しますが、CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events:有害事象共通用語規準)における重症度(Grade)評価により休薬することもあります。自覚症状が出にくい副作用に対して検査値を確認したり、症状が軽度なうちに薬剤の導入を提案したりすることで、重篤な副作用の発現を回避することができました。

血管外科病棟で研修している北澤沙英は、睡眠薬の選択に関する報告を行いました。安全性が高い睡眠薬であるオレキシン受容体拮抗薬は、覚醒保持に関連したオレキシン神経系の働きを遮断し、睡眠をもたらします。2020年から製造販売されているデエビゴⓇ(レンボレキサント)は、ベルソムラⓇ(スボレキサント)と同様の作用機序を示しますが、オレキシン1受容体よりオレキシン2受容体に親和性が高い特徴を有しています。また、ベルソムラⓇと異なり、一包化が可能であること、CYP3Aとの相互作用が少ないことから、高齢や併存疾患を持つ患者に使用しやすいです。安全かつ有効性が高いと考えられるデエビゴⓇを提案したことで、概日リズムを改善することができました。

消化器外科1・消化器外科2病棟で研修している伊藤嘉野は、オピオイドスイッチングに関する報告を行いました。がん疼痛に用いられるオピオイド鎮痛薬には錠剤、注射剤、坐剤、および貼付剤など、多数の剤形が存在します。入院患者に対しては、患者の状態に応じた剤形や投与量の変更が可能です。オピオイドスイッチングでは、換算表を用いて投与量を算出します。適切なオピオイドスイッチングや剤形の変更を提案することで、疼痛が悪化することなく、退院後を見据えた剤形を提案することができました。

これらの症例を通して、実際に患者の思いを聞いたうえで患者個人に合った薬物治療を考えることや、必要に応じて看護師や医師などの他の職種との情報共有をすることが大切であると実感しました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、実務実習では病棟実習を例年のように行うことができませんでした。アドバンスト研修でも、患者面談の頻度や形態に制限はありましたが、約半年間継続して臨床現場に携わらせていただきました。大学や臨床現場で得た知識・経験を活かして、患者や他の職種とのコミュニケーションを大切にし、頼られる薬剤師を目指して精進していきます。

(報告者:北澤沙英)

【名古屋大学医学部附属病院】
中村実樹(呼吸器内科・外科病棟)
「非小細胞肺がん患者のアルンブリグ導入における薬剤師の介入」
北澤沙英(血管外科病棟)
「重症虚血肢患者における傾眠傾向に対する薬剤師の介入」
伊藤嘉野(消化器外科1・消化器外科2病棟)
「化学療法施行患者における疼痛コントロールに対する介入」

2021年6月15日

第1回アドバンスト活動報告会

「第1回アドバンスト活動報告会」が開催されました。

愛知医科大学病院の循環器内科、小児科、および消化器内科にて研修しているアドバンスト学生3名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、症例報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

循環器内科病棟で研修している学生は、心不全の慢性期治療に関する報告を行いました。心不全は心拍出量の低下や末梢循環不全、肺のうっ血をきたす病態です。慢性期は薬物療法が主体となりますが、病態の悪化を防ぐために急性増悪を繰り返さないようにしなくてはなりません。薬剤の効果や服薬継続の必要性を丁寧に説明することで服薬アドヒアランスを維持させ、その後の病態の安定に努めました。

小児科病棟で研修している学生は、免疫抑制剤の血中濃度管理に関する報告を行いました。プログラフⓇ顆粒(タクロリムス)は経口投与時の吸収は一定しておらず個人差があるため、治療薬物モニタリング(TDM)が必要です。プログラフⓇは食事により血中濃度が変動し、経腸栄養剤によっても影響を受けるため、毎回同じ条件で服用する必要があります。プログラフⓇが経腸栄養剤と相互作用を示さないように用法・用量の調節を行い、患者に適した血中濃度のコントロールに努めました。

消化器内科病棟で研修している学生は、抗がん剤の支持療法に関する報告を行いました。抗EGFR抗体薬であるベクティビックスⓇ(パニツムマブ)の特徴的な副作用として、皮膚障害や低マグネシウム血症などがあります。皮膚障害は痤瘡様皮疹、皮膚乾燥、そして爪囲炎と症状の経過をたどるため、発症時期と症状に応じた治療薬剤の選択が必要です。低マグネシウム血症はマグネシウム補充療法による補正や抗EGFR抗体薬の減量・休薬・中止によって対処します。抗がん剤特有の副作用に対処しながら、治療を継続することができました。

症例報告会を通して、患者の症状や検査値、患者面談で得られた情報から個々に必要な薬剤を症状に合わせて提案するだけでなく、患者やその家族の考えにも寄り添った治療方針の提案ができるように精進していきます。

(報告者:中村実樹)

【愛知医科大学病院】
循環器内科病棟
「コンプライアンス不良により心不全が増悪した症例」
小児科病棟
「経腸栄養剤の併用により免疫抑制剤のコントロール不良となった症例」
消化器内科病棟
「直腸癌患者におけるmFOLFOX6+Pmabの副作用管理」

2021年3月29日

2021年度 お花見:満開の桜と笑顔で新年度をスタート

新型コロナウイルス感染症の影響により家で過ごす時間が多くなる中、十分な感染対策を講じた上で、「2021年度 お花見」を鶴舞公園にて行いました。

平年より桜前線の北上が早く、満開の桜を満喫することができました。春の陽ざしの中で撮影された笑顔あふれる記念写真は、思い出に残るものとなりました。

昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、研究室行事のほとんどが中止となりましたが、今年度はコロナ禍でも交流できるような機会を設けながら、充実した研究室生活が送れるよう精進して参ります。

(報告者:佐分藍子)

 

※撮影時のみマスクを外しております。

2021年3月14日

2020年度 卒業セミナー:名残惜しい最後のセミナー

愛知県の緊急事態宣言が解除された3月、「2020年度 卒業セミナー」が、名城大学薬学部新3号館303・304教室にて開催されました。吉見 陽助教から、学部卒業生が参加する最後のセミナーですが、実務実習生は残念ながら新型コロナウイルス感染症を鑑みて参加を控えてもらったとの説明がありました。マスクを着用したままの状態でグループワークを行い、最初は9名の学部卒業生と1名の学位取得者を中心とした他己紹介を行いました。医薬品の薬効分類や商品名のソース、薬価等についてのグループ討論では、薬剤師国家試験を終えて間もない学部卒業生、実務実習を経た学部5年生、基礎薬学総論にて知識を培った学部4年生がそれぞれの力を最大限に発揮しました。担当者による解説もあり、知識の共有や新たな知識の習得ができました。新型コロナウイルス感染症の防止として、ソーシャル・ディスタンスは十分に保っていたにも関わらず、マインド・ディスタンスは十二分に縮まったと思います。セミナーの終了後に在籍学生一同から卒業生へ、卒業生からは野田幸裕教授と吉見 陽助教、在籍学生一同へこれまでの感謝を込めて記念品が贈呈されました。また、博士課程を修了し学位を取得された伊藤貴博先輩へ学部5年生が制作したビデオレターが約7年間の想い出と共に上映され、最後に野田幸裕教授から卒業生と在籍学生に激励の言葉が贈られました。

4月から博士課程に進学される吉田樹生先輩には今後もご指導を賜り、在籍学生一同協力し、卒業研究やアドバンスト臨床研修の更なる発展に努めていきたいと思います。最後に、卒業される皆様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(報告者:加藤有耶香)

 

※撮影時のみマスクを外しております。