活動報告

研究活動

基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。

2020年11日12日

南房総臨床薬学オンラインセミナー

昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの講演会が中止もしくは延期となっていますが、「南房総臨床薬学セミナー」は双方向性のオンライン講演として開催されました。本セミナーは、千葉県病院薬剤師会の薬剤師や薬学部の先生方が対象となっています。

当室の野田幸裕が「医療連携の果たす役割〜薬剤師の観点から:薬剤師外来 (喘息 ・COPD 吸入療法外来)を通した医療連携」と題して、気管支喘息やCOPDの患者への吸入指導について講演を行いました。座長の舟越亮寛先生(亀田総合病院薬剤部部長)や参加した先生方と吸入指導の連携の在り方や難しさ、地域医療連携について意見交換をすることができました。今後、県の垣根を超えた吸入指導に関する最新の情報を交換しながら、地域連携システムを構築していきたいと思いました。(報告者:野田幸裕)

【招待講演】
野田幸裕
「医療連携の果たす役割〜薬剤師の観点から:薬剤師外来 (喘息 ・COPD 吸入療法外来)を通した医療連携」

2020年11日8日

ロナセンテープSpeaker’s Meeting 2020

「ロナセンテープSpeaker’s Meeting 2020」は、新型コロナウイルス感染症のリスクを最小化するため、Webシステムを介した双方向通信の形式で開催されました。

本会のSession 1では、ロナセンテープの基礎的・臨床的な情報をより深く理解してもらうために、3名の先生方から講演(①急性期統合失調症に対するロナセンテープの治療学的位置付け:系統的レビューの結果より、②ロナセンテープ国内第3相長期投与試験、③統合失調症治療におけるロナセンテープの可能性)がありました。Session 2では、ロナセンテープを適切に使用するために、「統合失調症の薬物治療における薬剤師の役割:新たな投与経路“経皮吸収型抗精神病薬”を使いこなす」をテーマとして、20名の薬剤師の先生方と相互ディスカッションが行われました。

当室からは野田幸裕が、Session 2ディスカッションのファシリテーターを務めました。「ロナセンテープが統合失調症治療にもたらした変化」「ロナセンテープの処方提案、治療導入、服薬指導におけるコツ」について、対象となる症例、副作用への対策等の意見交換と情報共有を行いました。本剤の有効性を最大限に発揮するためには薬剤師の担う役割が重要であり、今後も最新の知見、スキルについて集積し、共有することが必要であると思いました。(報告者:野田幸裕)

【ファシリテーター】
野田幸裕
Session 2ディスカッション:「統合失調症の薬物治療における薬剤師の役割:新たな投与経路“経皮吸収型抗精神病薬”を使いこなす」

2020年10月3日および18日

The New Approach to Schizophrenia from TokyoおよびThe New Approach to Schizophrenia from Osaka

「The New Approach to Schizophrenia from Tokyo」と「The New Approach to Schizophrenia from Osaka」が開催され、それぞれ東京と大阪からLIVE発信されました。

2019年9月10日に世界初の経皮吸収型抗精神病薬として、ブロナンセリンのテープ剤が本邦で使用可能となりました。本会では、ブロナンセリンの薬理学的特徴を振り返るとともに、発売から1年で得られたテープ剤としての最新の知見やその有用性について、統合失調症のエキスパートによる講演とパネルディスカッションにて議論されました。

当室からは野田幸裕が、Session1「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性 -ブロナンセリンの軌跡:非臨床試験のフルレビュー-」と題して講演を行いました。ブロナンセリンの開発の軌跡から、今日までに報告されている非臨床試験での有効性についてフルレビューし、今後の臨床における統合失調症をはじめとする精神疾患や精神症状に対するDSAの可能性について概説しました。講演後には、錐体外路系副作用とドパミンD3受容体、統合失調症のドパミン仮説とブロナンセリンに関する質問がありました。非臨床試験から臨床での貼付剤としてのブロナンセリンの理解を深め、今後の新しい薬物治療に役立つ内容でした。Web開催ではありましたが、いずれのLIVE発信においても1,000名以上の先生方が視聴されていました。

(報告者:野田幸裕)

【Session1:招待講演】
野田幸裕(10月3日および18日)
「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性 -ブロナンセリンの軌跡:非臨床試験のフルレビュー-」

2020年9月20日~9月22日(WEB開催での会期:10月24日~11月1日)

第30回日本医療薬学会年会

「第30回日本医療薬学会年会」が、名古屋国際会議場ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋にて「患者と医療を支える薬剤師力を磨く」をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を懸念して変更となりました。

超高齢社会において疾病構造が大きく変化する一方で、医学薬学の進歩に伴い、先端医療が次々と日常診療の中に組み込まれ、治療法は多様化・高度化しています。年会は、これらの変化に対応するため薬剤師力を「診療」「教育」「研究」「社会貢献」の4つの観点から議論し、令和の時代に求められる薬剤師力について理解を深めることを目的としています。

当室からは、野田幸裕教授がシンポジウム43薬学教育における薬学共用試験OSCEの現状と今後の課題においてオーガナイザー座長、シンポジウム56「統合失調症の社会復帰に向けた薬物療法の構築のために」においてオーガナイザー・座長に加えシンポジスト務められましたシンポジウム56では吉見 陽助教もシンポジストとして発表しました。

一般演題では野田幸裕教授、博士課程1年の中村真理子先輩、学部6年の長谷川真由ポスター発表を行いました。吸入操作の再指導を必要とする患者の要因の探索についての発表では、再指導までの期間薬剤師外来と薬局における吸入指導方法統一に向けた取り組みについて質問を頂き、薬薬連携を通じ吸入療法支援について再考する良い機会となりました。

本大会を通して、大学の講義では知り得ない発展した臨床疑問やそれに対する薬剤師のマネジメントについて、多方面から学ぶことができました。この経験を糧とし、より一層勉学に励み、患者と医療を支える専門性を持った薬剤師を目指していきたいです。

(報告者:長谷川真由)

 

【オーガナイザー・座長】
野田幸裕
シンポジウム43:「薬学教育における薬学共用試験OSCEの現状と今後の課題」
シンポジウム56:「統合失調症の社会復帰に向けた薬物療法の構築のために」

【シンポジウム56】
野田幸裕
「統合失調症の社会復帰に向けた薬物療法の概要」
吉見 陽
「統合失調症の病態解明と診断技術開発」

【一般演題(ポスター)】
野田幸裕
「名古屋大学医学部附属病院精神科外来患者における抗うつ薬や抗不安薬の処方状況に関する調査」
中村真理子
「地域コミュニティ啓発活動としてのくすりの適正使用に関する『くすり教室』の有用性」
長谷川真由
「吸入操作の再指導を必要とする患者の要因の探索」

2020年9月12日~13日

第5回日本薬学教育学会大会

「第5回日本薬学教育学会大会」が、帝京大学板橋キャンパスにて「未来を変える薬学教育の力 -医療の絆が新たなチャレンジを実現する-」をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行状況から、Web上で開催されることとなりました。薬学教育に関わる参加者との交流や、薬学教育・研究についての討議を行う貴重な情報交換の機会であったため、非常に残念でした。一方で、薬学教育や薬剤師の生涯教育においてもWeb上での情報発信、情報共有やICT教育の重要性が高まっている中、Webオンライン教育の在り方を考える良い機会となりました。

当室からは野田幸裕が一般講演のe-ポスター発表を行いました。2019年度の薬学共用試験OSCEの結果概要、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って2020年度に限り従来の6課題を3課題にした経緯、OSCE実施時の感染対策について紹介しました。

また、野田幸裕はシンポジウム11の医療系教育学会連携シンポジウム「共有し拡げよう!チーム医療教育の連携の輪」のオーガナイザー・座長を務めました。同時に「薬学教育の立場から」として、薬学教育における多職種連携教育(IPE)について概説しました。各教育学会(日本看護学教育学会、日本歯科医学教育学会、日本医学教育学会、日本保健医療福祉連携教育学会)の先生方からの発表後には、情報共有・交換として総合討論が行われました。多職種が連携するチーム医療教育のモデルの提示、カリキュラム作成の支援には、医療系の教育学会が横断的に討議し、協力する体制やプラットフォームの構築が望まれます。そのためには、将来の医療系共通のチーム医療教育カリキュラム作成などの教育学会の横の連携・協働していく必要があると思いました。

(報告者:野田幸裕)

【一般講演:(e-ポスター):臨床準備教育】
野田幸裕(9月12日~13日)
「2019年薬学共用試験OSCEの結果解析と2020年OSCE実施に向けた感染対策」

【オーガナイザー・座長】
野田幸裕(9月13日)
シンポジウム11:医療系教育学会連携シンポジウム「共有し拡げよう!チーム医療教育の連携の輪」
【シンポジウム11】
野田幸裕(9月13日)
「共有し拡げよう!チーム医療教育の連携の輪 -薬学教育の立場から-」

2020年8月21日~23日

第50回日本神経精神薬理学会年会/第42回日本生物学的精神医学会年会/第4回日本精神薬学会総会・学術集会 合同年会(仙台)

「第50回日本神経精神薬理学会年会/第42回日本生物学的精神医学会年会/第4回日本精神薬学会総会・学術集会 合同年会」が仙台国際センターにて「レジリエントな心をつくるDeveloping Resilient Mind」をテーマに3学会合同で開催される予定でした。しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響のため、現地開催でなく、Web開催となりました。本合同年会は、「脳と心の科学の探求と薬学への応用」という3学会の共通目標に向かって協力しながら、精神疾患の病態解明と新たな治療薬の開発を目指すこと、脳と心のメカニズムとそれに対する治療薬に関する研究・臨床・教育の最前線に臨むこと、2011年に起きた東日本大震災からの復興、さらには臨床と基礎の協働という、様々な意味における「連携」への期待が込められています。

本合同年会において、野田幸裕教授がシンポジウム14のオーガナイザー・座長とシンポジスト、および第1回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップの企画/運営を務められました。これまでは、抗精神病薬に関する減薬・減量のガイドラインを作成するため、減薬・減量の経験を有する薬剤師を対象としてワークショップを3回開催してきました。本合同年会ではWeb開催に合わせて少人数参加型の抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップとして開催されました。小さなグループに参加者を分けたグループワークでは、症例について減薬・減量の計画を立てるため、意見を出し合いながら討論が行われていました。一方、博士課程3年の内田美月、学部6年の佐治凪帆と吉田樹生がポスター発表を行いました。ポスター発表では閲覧した視聴者からコメントを頂き、後日フィードバックするため活発な討論とはなりませんでしたが、自身の研究を見つめ直す良い機会となりました。

新型コロナウイルス感染症により、研究活動が制限される中で開催された本合同年会では、最先端の研究成果を拝見・拝聴することで知識を深めることができ、今後の研究における糧となりました。新型コロナウイルス感染症の収束を願いながら、より一層研究に励みたいと思います。なお、本学会において、学部6年の佐治凪帆が2020年度日本精神薬学賞を、学部6年の吉田樹生が第4回日本精神薬学会総会・学術集会優秀発表賞を受賞しました。

(報告者:内田美月)

【ワークショップ】
野田幸裕(タスク/運営)、吉見 陽(タスク/運営)、内田美月(タイムキーパー)、中村真理子(タイムキーパー)、吉田樹生(補助)、佐治凪帆(補助)(8月23日)
「第1回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップ」
【シンポジウム】
野田幸裕(8月21日~23日)オーガナイザー・座長/シンポジスト(シンポジウム14)
シンポジウム14(座長):「神経発達障害による精神疾患の発症・病態に関わる因子」
シンポジウム14(シンポジスト):「新生児期プロスタグランジンE2(PGE2)曝露による発達障害モデルマウスにおけるPGE2の役割」

【ポスター発表】
内田美月(8月21日~23日)
「ストレス負荷マウスにおける社会性行動障害に対するニコチンの単回と連続投与の作用」
佐治凪帆(8月21日~23日)
「病院実務実習における精神疾患に対する薬学生の意識調査」
吉田樹生(8月21日~23日)
「グルタミン酸作動性神経伝達および神経形態に対する幼若期社会的敗北ストレス負荷の影響」

2020年3月25~28日

日本薬学会第140年会(京都)

「日本薬学会第140年会」が、国立京都国際会館にて「『創』と『療』の伝承と革新 そして新たな時代の幕開け」をテーマに開催される予定でしたが、今般の新型コロナウイルス感染症が拡大の兆しのため、中止となりました。薬学の幅広い分野からの参加者との交流と、薬学の教育・研究についての討議を行う貴重な情報交換の機会でありましたが、非常に残念でした。

当室からは野田幸裕教授が一般演題の口頭発表の座長を拝命され、学部6年の中村真理子は一般演題のポスター発表として「口腔内慢性疼痛患者における血中ユビキチン化セロトニントランスポーターの発現変化」、および学部5年の長谷川真由は一般演題の口頭発表として「薬剤師外来において吸入操作の再確認に係る要因の探索:再確認基準の構築を目指して」と題して演題登録していました。

プログラム集の発行、Web要旨の公開をもって本年会は成立したものとされ、Web要旨は1年以上公開される予定となっています。これらから最新の薬学情報を収集し、今後の研究・臨床活動に活かしていきたいと思います。

(報告者:中村真理子)

【座長】
野田幸裕(3月27日)医療系薬学:薬物治療(基礎)

【一般学演題(ポスター)】
中村真理子(3月27日)
口腔内慢性疼痛患者における血中ユビキチン化セロトニントランスポーターの発現変化

【一般学演題(口頭)】
長谷川真由(3月28日)
薬剤師外来において吸入操作の再確認に係る要因の探索:再確認基準の構築を目指して

2020年3月16~18日

第93回日本薬理学会年会(横浜)

「第93回日本薬理学会年会」が、パシフィコ横浜にて「薬理学を一つの舞台に」をテーマに開催される予定でしたが、今般の新型コロナウイルス感染症が拡大の兆しのため、中止となりました。様々な学問領域の研究者同士の交流と、それに触発される発想の転換を得る機会でありましたが、非常に残念でした。

当室からは研究員の肥田裕丈先生が一般演題として「精神疾患の環境的要因におけるプロスタグランジンE2の役割」と題してポスター発表に演題登録していました。

年会のプログラム集はPDFとして公表され、J-StageのWEB出版として英文抄録がWEB上に掲載される予定となっています。これらの情報から新たな研究奨励に活かしていきたいと思います。

(報告者:野田幸裕)

【一般演題(ポスター)】
肥田裕丈(3月17日)
精神疾患の環境的要因におけるプロスタグランジンE2の役割