活動報告

活動報告の紹介

研究活動

基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。

大学・研究室行事

大学行事として、学生フォーラム、ソフトボール大会、オープンキャンパス、卒論発表や卒業式などが開催され、こうした行事には積極的に参加しています。研究室行事として、鶴舞公園での花見、ゼミ旅行、スポーツフェスティバル、新年会など、1年を通して楽しいイベントを開催し、メンバー同士の親睦を深めています。

国際交流活動

名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターは、学術交流協定を結んでいる米国をはじめとする海外の大学教員や臨床研修生を受け入れ、講義への参加、関連医療施設の見学、症例検討を通し、研究・教育の交流を行っています。 名古屋大学医学部附属病院での臨床研修は、名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターサテライトセミナー室を拠点として、当部門のアドバンスト学生や配属学生が薬剤部と協力して実施しています。アドバンスト学生は病棟・薬剤師外来や関連医局での活動を中心に、臨床研修・症例や研究内容を英語で紹介します。また、日米の薬学教育や文化も紹介し、交流を深めています。

社会活動

くすりを通じて社会を知ることで社会に貢献できる医療人の育成を目指して、地域での「くすり教室」や「研修」活動を積極的に実施・参加しています。中でも、特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)は、国民にくすりを安全に安心して使っていただくために薬剤師や国民に対する教育講演や学会を開催しています。その活動の一つとして、小学生にもくすりのことを知ってもらう講義や体験実験(くすり教室)を行っています。2014年度からは、薬物依存に関連する講義や体験実験も行っています。

2021年12月4日(WEB開催)

SDM Forum 2021

「SDM Forum 2021」が「多職種で考えるSDMとデシジョンエイド」をテーマに、WEB開催されました。

精神科におけるSDM (Shared decision making:共同意思決定)とは、「臨床家と利用者が情報を共有し、選択肢や利用者の好みあるいは治療の責任を議論し、今後の行動について,両者が合意するための相互作用的なプロセス」と定義されています。SDMを行う際、臨床家は治療や支援に共同して取り組むパートナーとして利用者にかかわることが望まれます。また、SDMでは治療内容を決定することだけでなく、コミュニケーションのあり方や利用者の生活におけるリカバリーやセルフマネジメントを念頭においた治療についての議論などに代表される、治療や支援内容の決定に至る「プロセス」が重要です。本フォーラムは、Session 1「重篤な精神疾患を持つ方への心理社会的アプローチとSDM」、Session 2「一緒に決めるためのデシジョンエイドとは」の講演、Workshop「一緒に決めるためのデシジョンエイドを作ってみよう!」およびDiscussion・Q&A Sessionから構成されていました。

Workshop「一緒に決めるためのデシジョンエイドを作ってみよう!」では、薬物療法と社会資源の2つについてグループワークが行われました。当室から野田幸裕が「薬物療法」に薬剤師として参加しました。医師、看護師、および薬剤師の視点からワークシートをもとに、デシジョンエイドを作成しました。本テーマの様に多職種でSDMやデシジョンエイドを考え、精神疾患患者の医療のサポートや医療現場でのチーム医療(多職種連携)の充実につなげたいと思いました。Web開催ではありましたが、多くの先生方が視聴されていました。

(報告者:野田幸裕)

Workshop「一緒に決めるためのデシジョンエイドを作ってみよう!:薬物療法」
野田幸裕(12月4日)

2021年12月4日・5日(オンデマンド配信:11月19日~12月28日)

第41回日本看護科学学会学術集会(名古屋)

「第41回日本看護科学学会学術集会」が「共創による新たな看護科学の可能性」をテーマに、WEBにてライブ配信(12月4日・5日)とオンデマンド配信(11月19日~12月28日)のハイブリッド形式で開催されました。

日本薬理学会は2018年からシンポジウムとセミナーを通じて、看護に必要な薬理学知識に関するより一層の啓蒙活動を行うとともに、これまで薬理学にあまり接点のなかった看護の様々な領域と薬理学との橋渡し人的交流を目指しています。こうした趣旨を受けて、理事会企画として2020年度よりホーム・アンド・アウェイ方式で互いの学術集会のシンポジウムで発表を行ってきました。本年度の学術集会では相互理解をより深める目的で共同学術企画「スコーピングレビュー:インスリンボール」が企画されました(日本看護科学学会・日本薬理学会共催)。日本薬理学会からは、当室の野田幸裕が「薬理学からみたインスリン皮下注射部位の硬結」と題してシンポジストを務めました。インスリンボールについて、看護学と薬理学の双方の立場から薬理学研究に関する重要性、課題について活発な意見交換がなされました。こうした交流企画が看護と薬理学との橋渡しとなり、研究・学術交流だけでなく、医療現場での問題解決、さらには多職種連携の充実につなげたいと思いました。

(報告者:野田幸裕)

シンポジウム2 「スコーピングレビュー:インスリンボール」
野田幸裕(ライブ配信:12月4日、オンデマンド配信:11月19日~12月28日)
「薬理学からみたインスリン皮下注射部位の硬結」

2021年10月22日~23日

第7回アジア神経精神薬理学会(AsCNP2021)

「第7回アジア神経精神薬理学会(AsCNP2021)」が「Advances in Neuropsychopharmacology: Spotlights on progress and beacons to the future」をテーマに、全面オンライン形式にて開催されました。

当室からは、博士課程2年の中村真理子が一般演題(e-ポスター発表)「Clinical effect of duloxetine associated with downregulation of platelet serotonin transporter on chronic orofacial pain」と題して発表を行いました。国際学会に参加するのは初めてであり、自身の研究成果がバーチャル会場に映し出されると、オンライン上ではありますが海外の研究者も閲覧していると思うと感激しました。次回の機会では海外の研究者と対面で活発な討論ができるよう、英会話力も向上させていきたいと思います。

なお、本学会において中村真理子はBest Young Clinicianを受賞しました。

(報告者:中村真理子)

【一般演題(e-ポスター発表)】
Mariko Nakamura
「Clinical effect of duloxetine associated with downregulation of platelet serotonin transporter on chronic orofacial pain」

2021年10月9日~10日(オンデマンド配信:10月15日~11月30日)

第31回日本医療薬学会年会(熊本)

「第31回日本医療薬学会年会」が熊本城ホールにて「伝承と挑戦・進化~未来志向で医療薬学を俯瞰する~」をテーマに、ハイブリッド開催(現地開催+会期後オンデマンド配信)の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大により現地開催を中止し、完全Web開催(ライブ配信+オンデマンド配信)へ変更となりました。

高齢化社会が急速に進展するとともに、医療環境や医療開発を巡る情勢が著しく変化している一方、大規模地震、豪雨、新型コロナウイルス感染症等の未曽有の災害が頻発している状況にあり、多様な災害発災時の医療提供体制やそれらを担う医療従事者の教育研修も不可避となっています。本年会では、そのような医療情勢の変化を見据え、これまで醸成されてきた学術的財産・知識を継承し、次世代と未来へ繋ぐため、伝統ある医療薬学を伝承するとともに俯瞰し、未来に向けてさらに発展・進化させるための基盤づくりを議論することを目的としています。

当室からは学部6年の北澤沙英(衛生化学研究室アドバンスト学生)が、一般演題(e-ポスター発表)「シスプラチンベースのがん化学療法におけるハイドレーションと有害事象発現に関する調査」と題して発表を行いました。現場で活躍されている薬剤師の先生方に、現場の視点から質問をしていただき、今後の検討課題について再考する良い機会となりました。

完全Web開催となったものの、特別講演やシンポジウムにて幅広い分野の講演を拝聴することができました。中でもシンポジウム11「コロナ禍を経て全ての薬剤師に求められる感染症領域の知識とスキル」では、コロナ禍における薬剤師の役割について学びました。これまで感染症分野では、ICT(予防)やAST(治療)における薬剤師の活躍が注目されてきましたが、現在、世間の関心は予防に向けられています。インターネット上で誤った情報も散見されるため、感染症やその予防に関する基本的な知識とスキルをもった薬剤師が消毒薬の適正使用推進などの教育活動やワクチン調製を通して、感染対策をリードしていくべきであることを学びました。

本大会を通して、大学の講義だけでは知ることのできなかった、臨床現場での実際の問題点とそれに対する取り組みおよびコロナ禍における薬剤師の役割について現場の先生方の考えや活躍についても知ることができました。今後は、地域住民の暮らしを多角的にサポートしていける薬剤師を目指していきたいです。

(報告者:北澤沙英)

【一般演題(e-ポスター発表)】
北澤沙英
「シスプラチンベースのがん化学療法におけるハイドレーションと有害事象発現に関する調査」

2021年10月7日~8日(オンデマンド配信:10月13日〜31日)

第31回日本臨床精神神経薬理学会(東京)

「第31回日本臨床精神神経薬理学会」が「世代を寄り添う薬物療法」をテーマに、タワーホール船堀(東京)を主会場としてオンサイトとオンラインのハイブリッドで開催されました。
当室からは、博士課程2年の中村真理子が「口腔内慢性疼痛患者におけるデュロキセチンによる疼痛緩和と血小板セロトニントランスポーターの発現減少の関与」と題してオンサイトで口頭発表を行いました。口腔内慢性疼痛の病態やデュロキセチンの作用におけるノルアドレナリントランスポーターの関与などについてご質問をいただき、今後の展望を考える良い機会となりました。
当室の野田幸裕教授の恩師である鍋島俊隆先生の特別講演「どのように研究をするか?興味があることについて、できることから始めよう」は、“どんな環境であっても研究はできる、やるかやらないかは自分次第である”という若手研究者への激励の内容であり、大変感銘を受けました。当室の研究マインドは鍋島先生から継承され、野田教授の研究・教育の原点であることを痛感し、自分もそのマインドを繋いでいきたいと強く思いました。一報でも多く成果を論文として残せるように日々尽力してまいります。
(報告者:中村真理子)

【一般演題(口頭)】
中村真理子(10月7日)
「口腔内慢性疼痛患者におけるデュロキセチンによる疼痛緩和と血小板セロトニントランスポーターの発現減少の関与」

2021年8月25日

第2回つるまい吸入療法セミナー(名古屋)

「第2回つるまい吸入療法セミナー」がオンラインにて開催されました。

スペシャルレクチャーでは名古屋大学医学部附属病院 呼吸器内科の若原恵子先生が「withコロナの喘息・COPD診療」と題して、当室の野田幸裕教授が「コロナ禍での喘息・COPDの吸入指導」と題して、講演を行いました。講演後の「医・薬・薬・薬 連携の今後」では、コロナ禍における名古屋大学医学部附属病院での薬剤師吸入外来の運用や薬局での吸入指導時の対応について、地域薬局の薬剤師の方を含めたディスカッションが行われました。

喘息やCOPD患者が吸入薬を正しく継続して使用するためには、吸入指導による操作説明と手技確認が重要になります。コロナ禍でも感染対策を講じた対面での吸入指導や電話などの非対面での吸入指導が行われており、今後も患者の吸入アドヒアランス向上に繋がる薬剤師外来(喘息・COPD吸入療法外来)の運用を行っていきたいと思います。

(報告書:内田美月)

【スペシャルレクチャー】
野田幸裕
「コロナ禍での喘息・COPDの吸入指導」

2021年8月21日〜22日(WEB開催での会期:8月20日〜31日)

第5回日本精神薬学会総会・学術集会(福岡)

「第5回日本精神薬学会総会・学術集会」が、九州・福岡にて「Leap~With thanks to our forerunners」(飛躍~先駆者たちに感謝して)をテーマに開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、WEB開催へと変更となりました。

本総会・学術集会において、野田幸裕教授が第2回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップの企画/運営およびランチョンセミナー4の講演を務められました。これまで、抗精神病薬に関する減薬・減量のガイドラインを作成するため、減薬・減量の経験を有する薬剤師を対象としてワークショップを開催してきました。昨年の第50回日本神経精神薬理学会年会/第42回日本生物学的精神医学会年会/第4回日本精神薬学会総会・学術集会 合同年会本合同年会では、WEB開催に合わせ、オンラインワークショップとして初めて開催しました。本総会・学術集会では、オンラインワークショップの2回目となりますが、昨年の経験を生かした時間配分や構成の見直しにより、WEB開催の中でも参加者を増員することができました。それに伴い討論する症例数を増やし、対面に遜色ない開催となりました。

今回初めてファシリテーターとして参加させていただきましたが、現場で薬剤師として活躍される参加者の討論から、普段の業務における減薬・減量の注意点や実際の患者の抗精神病薬の使用感など、多くのことを学ぶ機会となりました。

「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性」と題したランチョンセミナーでは、当室の野田幸裕教授が、ブロナンセリンの臨床における有用性から基礎における薬理学的特性まで概説されました。臨床と基礎の融合を図った講演であり、自分の志すファーマシスト・サイエンティストそのものでした。目標となる先生にご指導いただける環境に感謝しながら、日々の臨床・研究活動により一層励んでいきます。

(報告者:中村真理子)

【ワークショップ】
野田幸裕(タスク/運営)、吉見 陽(タスク/運営)、内田美月(ファシリテーター)、中村真理子(ファシリテーター)、吉田樹生(ファシリテーター)(8月22日)
「第2回抗精神病薬に関する減薬・減量のオンラインワークショップ」

【ランチョンセミナー4】
野田幸裕(8月22日)
「Dopamine Serotonin Antagonist(DSA)の可能性」

2021年8月21日~22日

第6回日本薬学教育学会大会

「第6回日本薬学教育学会大会」は「今に挑戦する薬学教育~ニューノーマル時代の学び~」をテーマとして、名城大学薬学部にて開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮し、WEB開催となりました。

本学会では、研究成果の発信とその教育現場における実践・検証も含めた情報共有の場を提供することを目的として活動しています。

当室からは野田幸裕が一般演題(e-ポスター発表)「2020 年度第 12 回 薬学共用試験 OSCE の結果解析」と題して発表を行いました。2020年度のOSCEは新型コロナウイルス感染症への対応方針に基づき実施されましたが、2021年度も感染拡大状況に応じて実施されると思われます。

(報告者:野田幸裕)

【一般演題(e-ポスター発表)】
野田幸裕
「2020 年度第 12 回 薬学共用試験 OSCE の結果解析」

2021年8月18日(WEB開催での会期:8月18日~9月17日)

日本看護学教育学会第31回学術集会(名古屋)

「日本看護学教育学会第31回学術集会」が、名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻の池松裕子教授を大会長として、「COVID-19危機から学ぶ看護学教育のグローバルイノベーション」をテーマに、オンライン形式で開催されました。

当室からは、野田幸裕教授と吉見 陽が交流セッション7の「模擬患者参加型多職種連携教育の“これまで”と“これから”」の企画を担当し、野田幸裕教授が「薬学生に期待される視点と方略」と題してシンポジストを務められました。交流セッション7には看護学教員・看護師・看護学生35名が参加し、質疑・応答では「多職種連携プログラムへの参加者をどのようにリクルートすればよいのか」、「模擬患者との医療面接で各自の専門性を発揮したり連携したりするために工夫していることはあるか」など、実際に多職種連携教育に取り組んでいる看護学教員から講義運営や教育上の課題について活発な意見交換がなされました。シンポジストである各領域の教員からは、多職種連携教育プログラムの立ち上げから各大学におけるカリキュラム編成に至るまでの取り組みについて紹介がありました。多職種連携教育には、それに関わる教員同士の連携が必要であり、その姿勢を学生に示すことも重要になることを再認識しました。今後も国内外の教育機関や医療施設における多職種連携教育の動向について情報を収集し、関係教員で情報共有・意見交換することでより良い教育プログラムの構築につなげたいと思いました。

(報告者:吉見 陽)

【企画】
野田幸裕、吉見 陽(8月18日)
交流セッション7:「模擬患者参加型多職種連携教育の“これまで”と“これから”」

【交流セッション7】
野田幸裕(8月18日)
「薬学生に期待される視点と方略」

2021年7月14日~16日(WEB開催での会期:7月7日~16日)

第43回日本生物学的精神医学会/第51回日本神経精神薬理学会 合同年会(京都)

「第43回日本生物学的精神医学会/第51回日本神経精神薬理学会 合同年会」が、国立京都国際会館にて「脳と心の病に斬りこむ最前線」をテーマに、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、現地参加とオンライン参加が可能なハイブリッド形式で開催されました。

当室からは、野田幸裕教授がシンポジウム1の「精神疾患の発症・病態における免疫・炎症・酸化ストレスの関与」において「新生仔期プロスタグランジンE2(PGE2)投与による神経発達と精神行動への影響」と題して現地から発表を行い、同シンポジウムの座長も務められました。一般演題では学部6年の鎌田朋見も現地においてポスター発表を行い、脳内神経伝達物質の変化とモデルマウスの表現型との関連など多くのご質問を頂きました。

特別講演の「シナプスの可視化とその脳疾患研究への応用」では、最新技術を用いた樹状突起スパインの解析方法やスパイン形成のメカニズムに関する知見を深めることができました。

今回、現地での学会参加・発表を行い、学会の雰囲気を味わうことができ、さらに精神神経薬理学を専門とする研究者の方々と直接交流することができました。この機会で得た知識や考え方を卒業研究にフィードバックしたいと思います。

なお、本学会において、学部6年の鎌田朋見がBPNP2021注目演題賞を受賞しました。

(報告者:鎌田朋見)

【シンポジウム】
野田幸裕(7月14日)座長/シンポジスト(シンポジウム1)
シンポジウム1(座長):「精神疾患の発症・病態における免疫・炎症・酸化ストレスの関与」
シンポジウム1(シンポジスト):「新生仔期プロスタグランジンE2(PGE2)投与による神経発達と精神行動への影響」

【一般演題(ポスター)】
鎌田朋見(7月16日)
「フェンシクリジン連続投与マウスにおける精神行動に対する前頭前皮質の神経異常の影響」

2021年7月4日

20th Asian Conference on Clinical Pharmacy(シンガポール)

「20th Asian Conference on Clinical Pharmacy」が、Singaporeにて「Pharmacy Beyond 2020 – Changing Landscapes, Improving Lives」をテーマに開催されました。

当室からは、野田幸裕がe-posterにて発表を行いました。外来患者に対する病院と薬局での吸入指導の相違や双方の連携について、コロナ禍での吸入指導の工夫などの質問があり、海外の教育・研究者から非常に興味を持って頂きました。吸入指導を通じて患者のアドヒアランス向上と症状緩和に寄与することを目的し、コロナ禍でも吸入指導をする意義や、地域連携の重要性について意見交換ができました。

多国の大学教員や病院・薬局の薬剤師との交流も深めることができ、アジアの臨床薬学の発展に向けて、一致団結した学会でした。

(報告者:野田幸裕)

【ポスター発表】
野田幸裕(7月4日)
「Effects of a pharmacist-led inhalation therapy support for symptoms and lung function in outpatients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD)」

2021年7月3日

第67回日本薬学会東海支部総会・大会(名古屋)

「第67回日本薬学会東海支部総会・大会」が名古屋市立大学薬学部にて開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、完全オンラインにて実施されました。
当室からは学部6年の鈴木千晴が「幼若期社会的敗北ストレスを単回負荷したマウスにおける社会性行動障害に対するメマンチンの作用」と題して口頭発表を行いました。発表後の質疑とコメントから、ノルエピネフリン経路の賦活化が前頭前皮質に及ぼす影響について、アドレナリンβ3受容体アゴニストがNMDA受容体機能を高め、認識機能の向上や抗不安、抗うつ薬様作用に関与することを学ぶことができました。
発表日より1週間はオンデマンドにてすべての一般演題の発表動画が視聴できたこと、質疑応答もリアルタイムで公開されていたことから、オンライン開催のメリットが活かされており、見聞を高めるよい機会となりました。本会で得られた知見を今後の研究活動につなげていけるよう、引き続き精進して参ります。
(報告者:鈴木千晴)

【口頭発表】
鈴木千晴
「幼若期社会的敗北ストレスを単回負荷したマウスにおける社会性行動障害に対するメマ
ンチンの作用」

2021年6月26日

第139回日本薬理学会近畿部会(名古屋)

「第139回日本薬理学会近畿部会」は愛知県産業労働センター ウインクあいちで開催を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、オンラインでの開催となりました。学会では、薬理学、薬物治療学、臨床薬学の大学、企業、あるいは医療関係の研究者が参加していました。

当室からは、野田幸裕教授が一般演題(口頭)の「中枢神経、末梢神経、骨・関節・歯科、個体」座長を務められました。一般演題では博士課程1年の吉田樹生先輩、学部6年の高橋礼貴が口頭発表を行いました。幼若期社会的敗北ストレス単回負荷マウスの社会性行動障害におけるGluN2A-ERK1/2シグナル経路の関与に関する発表では、NMDA受容体拮抗薬の記憶への影響に関する質疑プロトカドヘリン15遺伝子欠失がマウスの行動および脳内アミノ酸神経に与える影響に関する発表では、プロトカドヘリン15の局在や行動変容に対する薬理学的影響に関する質疑を頂くことができました。

学会で発表することで、結果を多角的に考察することの重要性を学ぶことができました。今回、験したことを今後の研究の糧にしていきたいと思います。

(報告者:高橋礼貴)

【座長】
野田幸裕
一般演題(口頭):「中枢神経、末梢神経、骨・関節・歯科、個体」

【一般演題(口頭)】
吉田樹生
「幼若期社会的敗北ストレス単回負荷マウスの社会性行動障害におけるGluN2A-ERK1/2シグナル経路の関与」
高橋礼貴
「プロトカドヘリン15(PCDH15)遺伝子欠失がマウスの行動および脳内アミノ酸神経に与える影響」

2021年5月29~30日(WEB開催での会期:5月29日~6月6日)

第37回日本TDM学会・学術大会

「第37回日本TDM学会・学術大会」名城大学薬学部にて「患者を守るTDMの未来を求めて」をテーマに2020年に開催を予定ていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮し1年の延期で準備が進められていました。しかし、2021年においても感染症の拡大を鑑み、WEB開催となりました。

本学会は、TDMTherapeutic Drug Monitoring)に関する学理その応用についての研究発表、会員の知識・技術の交換、および内外の関連学協会等との連携協力を行TDMの進歩普及を図りながら、科学技術の発展と医療・社会に貢献することを目的として活動しています。

当室からは野田幸裕教授が教育講演11「精神疾患患者への投与設計:向精神薬の適正使用」、研究員の肥田裕丈先生が症例カンファランス18「私にもできる向精神薬の投与設計」と題して発表を行いました。いずれの発表も精神疾患患者への薬物治療の最適化に向けた投与設計の実践において、薬剤師の視点からどのように薬物治療に関わるのかを分かりやすく学ぶことができました。

ハンズオンセミナー「実際に症例検討をやってみよう」では、「精神病症例対応をWS形式で検討」をテーマに肥田裕丈先生がオーガナイザー、吉見 陽助教がコメンテーター、野田幸裕教授と研究員の堀田彰先生がファシリテーターを務められました。博士課程4年の内田美月、博士課程2年の中村真理子、および博士課程1年の吉田樹生は、参加登録の薬剤師とともにセミナーに参加ました。グループワークでは症例の問題点や薬剤変更時の注意点、減量計画などをディスカッションし、症例を通して投与設計の考え方を学ぶことができました。

WHO新型コロナウイルス感染症のパンデミック宣言を示してから1年以上が経過し、WEB開催の学会にも慣れ始めました。WEB形式でも多くの方と意見を交わすことができ、とても有意義な時間となりました。今後も最適な医療提供のためTDMに関する最新情報を集積し医療と社会に貢献できるように努めていきたいと思います。

(報告者:内田美月)

【教育講演】
野田幸裕
教育講演11「精神疾患患者への投与設計:向精神薬の適正使用」

【症例カンファランス】
肥田裕丈
症例カンファランス18「私にもできる向精神薬の投与設計」

【ハンズオンセミナ―】
肥田裕丈(オーガナイザー)、野田幸裕、堀田彰悟(ファシリテーター)、吉見 陽(コメンテーター)、内田美月、中村真理子、吉田樹生(参加者)(5月30日)
ハンズオンセミナー④「精神病症例対応をWS形式で検討」

2021年3月26日~29日

日本薬学会第141年会(広島)

「日本薬学会第141年会」が、広島国際会議場を主会場として「革新的創薬と持続的医療の融和〜Harmonization of Innovative Drug Development and Sustainable Health Care from HIROSHIMA to the WORLD〜」をテーマに、オンサイトとオンラインの併用によるハイブリッド形式で開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大のリスクにより、完全オンライン開催へと変更となりました。

当室からは、野田幸裕教授が一般演題(口頭)の「その他:薬学教育・その他」の座長を務められました。一般演題では博士課程1年の中村真理子が「精神疾患に対する薬学実務実習生のスティグマに影響する因子の調査」と題して口頭発表を行いました。本調査の結果において、最もスティグマに影響を与える要因について質問を受けました。精神疾患に対する薬学生のスティグマの低減には、「きれいな」、「難しい」および「こわくない」などといった性格に関するイメージや社会的距離が影響します。今後の取組みとして、これらの要因に焦点をおいたプログラムの導入を検討していきたいと思います。

完全オンライン開催とはなったものの、特別講演やシンポジウムも予定通り実施され幅広い分野の講演を拝聴することができました。中でも、シンポジウムS21「第5回病院薬剤師が実践するリバーストランスレーショナルリサーチの最前線~臨床情報を突破口とした創薬・育薬研究~」では病院薬剤師としての激務の中、研究に挑まれる先生方は自分の目指すファーマシスト・サイエンティストそのもので大変感銘を受けました。自分もその一員となれるように今後の研究・臨床活動をより一層精進していきます。

(報告者:中村真理子)

【座長】
野田幸裕(3月29日)
一般演題(口頭):「その他:薬学教育・その他」

【一般演題(口頭)】
中村真理子(3月29日)
「精神疾患に対する薬学実務実習生のスティグマに影響する因子の調査」

2021年3月8~10日

第94回日本薬理学会年会

「第94回日本薬理学会年会」が、札幌コンベンションセンターにて「ワクワクする薬理学の未来」をテーマに、現地とWEBのハイブリッド形式で開催されました。

当室からは、野田幸裕教授が一般演題(口頭)の「学習・記憶・認知(4)・精神・行動(3)」において、座長を務められました。一般演題では博士課程3年の内田美月先輩、学部5年の細井香七がポスター発表を行いました。認知行動における神経発達期のグリア型グルタミン酸トランスポーターの役割に関する発表では、神経発達期のグリア型グルタミン酸トランスポーターの異常による神経細胞の形態変化におけるアポトーシスの関与についてなど、多数の質疑に加え、貴重なご意見を頂くことができました。ストレス負荷マウスにおける海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体を介する細胞内情報伝達系や神経細胞の萎縮に関連した社会的認知の障害に関する発表では、α7ニコチン性アセチルコリン受容体の発現局在に関する質疑や海馬の神経新生を検討する上でのご助言を頂くことができました。

シンポジウムや一般演題を通して、薬理学を専門とする研究者の方々の発表を拝聴することができ、本学会で得た知識や考え方、視点を今後の研究活動に活かしていきたいと思いました。

(報告者:細井香七)

【座長】
野田幸裕(3月10日)
一般演題(口頭):「学習・記憶・認知(4)・精神・行動(3)」

【一般演題(ポスター)】
内田美月(3月9日)
「Indispensability of glial glutamate transporters during a neurodevelopmental period to cognitive behaviors and brain development」
細井香七(3月9日)
「Social cognitive improvement via activation of the hippocampal α7 nicotinic acetylcholine receptor in stressed mice」

2021年3月7日

第30回神経行動薬理若手研究者の集い

「第30回神経行動薬理若手研究者の集い」が、北海道大学薬学部にて「こころと精神疾患の理解を目指して」をテーマに、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、オンラインでの開催となりました。

本会は、若手研究者の育成をすることを目的に、神経薬理学の先端的な成果と行動薬理学的な手法を結びつけた研究をプロモートし、臨床病態での脳機能異常を脳内伝達物質やその生理機構から解明し、創薬に役立つ研究の討論の場として提供しています。

当室からは、学部5年の細井香七が一般演題にて、ストレス負荷マウスの社会的認知における海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体の関与について口頭発表を行いました。発表後には、ストレス負荷マウスの運動量が行動試験に及ぼす影響についてご質問を頂くことができました。

特別講演では「ストレスの理解と克服を目指して」を拝聴しました。長期的なストレスによる抑うつ様行動にミクログリアを起点とした脳内炎症がどのように関与しているのか、生物学的基盤から学ぶことができました。

本会を通して、神経・精神疾患の機序の解明には、行動薬理学を含めた様々な手法を融合したアプローチが実施されており、精神疾患の病態解明と治療薬の開発における融合研究の重要性について学ぶことができ、貴重な経験となりました。本会で得たことを今後の研究活動に活かし、より努力していきたいと思います。

(報告者:細井香七)

【口頭発表】
細井香七
「ストレス負荷マウスの社会的認知における海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体の関与」

2021年2月12日

第44回 岐阜県精神科病院協会 薬剤師会研修会

「第44回 岐阜県精神科病院協会 薬剤師会研修会」がライブ配信にて開催されました。本研修会は、チーム医療のなかで精神領域における薬剤師の役割を考える、県内外の精神科専門薬剤師、精神科薬物療法認定薬剤師の業務ならびに実情を知り学ぶ、薬剤師の日常業務から臨床研究へと繋がる発想を学ぶことを目的に行われました。

当室からは野田幸裕が、特別講演「統合失調症の薬物治療:社会復帰に向けて」と題して、統合失調症の病態やその仮説、治療目標と治療の現状・課題について講演を行いました。また、実験動物を用いた基礎的な生命科学研究において得られた成果や薬効評価の結果が臨床へ繋がるトランスレーショナル非臨床研究の重要性について紹介しました。講演後には、治療薬の剤型変更を患者やその家族に説明するコツなどに関する質問がありました。患者に「薬を飲ませる」のではなく、「薬を安心して飲める」ようにするための薬物療法に役立ててもらえればと思います。Web開催ではありましたが、多数の薬剤師の先生方が視聴されていました。

(報告者:野田幸裕)

【特別講演】
野田幸裕(2月12日)
「統合失調症の薬物治療:社会復帰に向けて」

2021年9月5日(日)

野田幸裕教授還暦記念講演会 :ますます楽しい人生を!

2021年7月24日に還暦を迎えられた野田幸裕教授の「還暦記念講演会」は新型コロナウイルスの感染状況を見極め、名城大学薬学部サテライトセミナー室とオンラインのいずれでも参加可能なハイブリッド形式にて開催されました。本講演会は当室の吉見 陽助教、博士課程4年の内田美月先輩と2年の中村真理子先輩が企画し、在籍学部生の協力のもとに実施されました。

当日、野田幸裕教授、吉見 陽助教、現役院生や学部4年、5年と6年生の28名は名城大学薬学部サテライトセミナー室にて、研究員や卒業生37名と実務実習生5名はオンラインにて、総勢72名が参加しました。残念ながら当日参加ができない卒業生からも還暦記念講演会に祝辞を頂きました。司会進行は吉見 陽助教が担当し、野田幸裕教授より「学部卒業~コロナ禍までの病態解析学Ⅰの軌跡」と題して、当室設立時から近状のコロナ禍における過ごし方やハマったことなど、趣向を凝らした還暦記念講演が行われました。次に、学部5年が企画した研究室紹介セミナーでのグループワークでは、薬学や研究室に関する課題、野田幸裕教授のイメージに関する課題などについて実施し、発表しました。ソーシャル・ディスタンスを保ちながらも活発に楽しく意見交換ができました。グループワークの間に、オンライン参加の研究員や卒業生と画面越しの再会でしたが、仲睦まじく話される野田幸裕教授の姿が印象的でした。休憩中には、研究員および卒業生や現役学部生から頂戴した祝辞をまとめたビデオレターを上映し、還暦記念品(ロナセンのタイピンなど)と花束が学部生から贈呈されました。最後に野田幸裕教授から閉会の挨拶を行って頂き、オンラインでの参加者をスクリーン上に映し出して参加者全員で記念写真を撮影しました。撮影後もオンラインで野田幸裕教授との歓談が続き、名残惜しさを感じつつも閉会となりました。

コロナ禍のため、一堂に集まることはできませんでしたが、オンラインでも祝福の思いを伝えることができたと思います。野田幸裕教授には、これまでのご指導に心よりお礼を申し上げるとともに、更なるご活躍をお祈りしております。

(報告者:松本あおい)

 

※記念撮影時のみマスクを外しております。

2021年9月2日~4日

令和3年度薬学部卒業論文発表会

「令和3年度薬学部卒業論文発表会」が名城大学薬学部 新1号館および新3号館にて、緊急事態宣言発令中でしたが、徹底した感染対策のもと無事に開催されました。本年度も、前年度に引き続きすべてポスター発表でした。

発表会では、当室の学部6年の浅井未来、鈴木千晴、細井香七および高橋礼貴が新1号館3階、相羽優樹、伊藤嘉野、小口智也、加藤有耶香、鎌田朋見および中村実樹が新3号館3階、衛生化学研究室の北澤沙英が新1号館4階にて発表を行いました。約2年間の研究活動の集大成を発表することができ、6年生一同感謝しております。

 

今年度は感染対策の一環として所属する研究室の発表のみを所属する4年生と5年生が、聞くことができる状況でした。そのため、発表を聞きに来てくださる人数は限られていましたが、後輩にわかりやすく説明すること、先生方とじっくり議論することができました。教育、研究、臨床の最先端で活躍される先生方から、多くのご質問やご意見をいただき、有意義な時間を過ごすことができました。本発表会を通して、広範な視野で結果を客観的にとらえ、論理的に思考する重要性を改めて学びました。

発表会終了後、新3号館の1階にて学部6年生から教員、大学院生、学部4・5年生へ感謝を込めたプレゼントを贈りました。学部4・5年生からは、絵付けのだるまと名前入りのボールペンを頂きました。卒業試験や国家試験の合格に向けて、七転八起のだるまのように、粘り強く勉学に励みます。

当室での活動を通して培った知識や経験を活かして、高度な専門知識と研究能力を有する薬剤師を目指し、問題解決能力および科学的思考力をさらに高めていきたいです。

(報告者:浅井未来)

 

※撮影時のみマスクを外しております。

【ポスター発表】
相羽優樹 (9月3日)
「名古屋大学医学部附属病院における統合失調症入院患者のポリファーマシーに関する調査」
浅井未来 (9月3日)
「うつ病患者のリンパ芽球様細胞株および幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの血液と脳における網羅的遺伝子発現解析」
伊藤嘉野 (9月3日)
「3T3-L1細胞でのクロザピンによる脂肪滴蓄積におけるアドレナリンβ2受容体の関与」
小口智也 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスにおける脳内クロザピン反応性タンパク質の同定」
加藤有耶香 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスにおけるクロザピン治療による行動学的および神経化学的影響」
鎌田朋見 (9月3日)
「統合失調症様モデルマウスの精神行動におけるシナプス形成やシナプス伝達の関与」
鈴木千晴 (9月3日)
「幼若期マウスへの単回社会的敗北ストレス負荷による社会性行動障害に対するメマンチンの作用」
高橋礼貴(9月3日)
「プロトカドヘリン15(Pcdh15)遺伝子変異によるマウスの精神行動と脳内モノアミン・アミノ酸神経系への影響」
中村実樹(9月3日)
「HL-60細胞でのクロザピンによる血液毒性に対するリチウムの作用」
細井香七(9月3日)
「ストレス負荷マウスにおける社会的認知の制御機構:コリンおよびセロトニン神経系の関与」
北澤沙英 (9月3日)
衛生化学研究室・アドバンストコース
「シスプラチンベースのがん化学療法におけるハイドレーションと有害事象発現に関する調査」

2021年7月13日

第3回アドバンスト活動報告会

「第3回アドバンスト活動報告会」が、開催されました。

薬局にて研修しているアドバンスト学生1名および藤田医科大学病院の内分泌・代謝・糖尿病内科にて研修しているアドバンスト学生2名が症例報告を行いました。薬局でのアドバンスト研修報告は今回初めて視聴することができました。多くの学生や教員が参加し、症例報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

薬局にて研修している学生は、地域包括ケアシステムで活躍できる薬剤師を目指し、地域医療での課題に取り組んでいます。今回はALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅医療に関する報告を行いました。ALSは運動ニューロンが進行性に変性・消失する疾患です。症状進行に伴い、食事の経口摂取が困難になった場合には、経腸・経静脈栄養が主栄養となります。経腸栄養法施行時、薬剤の投与方法として粉砕法や簡易懸濁法があり、薬剤の安定性や配合変化などの確認が必要です。不適切な薬剤管理に対して、処方薬の見直しや管理方法の指導により、患者に合わせた薬剤の選択をすることができました。

藤田医科大学病院にて研修している学生のうち1名は、免疫チェックポイント阻害薬投与によるirAE(免疫関連有害事象)に関する報告を行いました。irAEには間質性肺炎、皮膚障害、内分泌障害、および1型糖尿病などがあります。irAEは症状に対する適切な薬剤の追加、使用薬剤の減量・休薬、および変更により対処します。糖尿病の既往がなく血糖値の異常や高血糖症状を認めた場合には、1型糖尿病の発症を疑います。1型糖尿病はインスリン依存状態であるため、厳格な血糖コントロールが必要となり、主な治療法として強化インスリン療法が行われます。患者指導を通してインスリン製剤を適切に使用してもらうことで、血糖コントロールやケトアシドーシスの改善に努めました。

もう1名は、褐色細胞腫の血圧管理に関する報告を行いました。褐色細胞腫はカテコールアミンの過剰分泌により、高血圧や高血糖を引き起こす疾患です。治療の中心は外科手術による腫瘍の摘出ですが、周術期の血圧管理が重要です。術前には手術当日に向けて降圧薬を漸増する一方で、循環血漿量の減少に伴う起立性低血圧や術後低血圧の予防に電解質の補給が必要となることもあります。薬物療法では、第一選択薬としてα1遮断薬が使用され、頻脈がみられた場合や、降圧不十分の場合にはβ遮断薬やαβ遮断薬、およびCa拮抗薬を追加で使用します。降圧薬の追加や電解質の補給による適切な血圧管理を通して、容体悪化を防ぐことができました。

症例報告会を通して、主訴や検査値から正しく患者の状態を判断し、適切な対処ができるよう、使用薬剤について深く学ぶことの重要性を改めて感じました。患者の思いを丁寧に聞き取りながら他の職種と連携し、より良い治療方針の提案ができるように努めていきたいと思います。

(報告者:伊藤嘉野)

【藤田医科大学病院】
内分泌・代謝・糖尿病内科病棟
「中咽頭癌に対する免疫チェックポイント阻害薬投与によりirAEによる糖尿病を来した一例」
「褐色細胞腫」

【薬局】
「在宅医療におけるALS患者への薬剤師の介入」

2021年6月29日

第2回アドバンスト活動報告会

「第2回アドバンスト活動報告会」が、開催されました。

名古屋大学医学部附属病院の呼吸器内科・外科、血管外科、および消化器外科1・消化器外科2にて研修しているアドバンスト学生3名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、症例報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

呼吸器内科・外科病棟で研修している中村実樹は、今年に製造販売承認を取得した新薬であるアルンブリグⓇ(ブリグチニブ)の導入に関する報告を行いました。アルンブリグⓇはALK陽性非小細胞肺がんに用いられるチロシンキナーゼ阻害薬で、間質性肺炎、クレアチンキナーゼ上昇、下痢、高血圧、悪心・嘔吐、肝機能障害、および膵炎などの副作用があります。間質性肺炎では空咳や発熱、肝機能障害では疲労や食欲不振、膵炎では身体の痛みなどが自覚症状として挙げられます。一方で重症化するまで自覚症状がない副作用も多いため、服薬中は定期的な血圧測定と血液検査を行います。下痢や高血圧、悪心・嘔吐については必要に応じて止瀉薬や降圧薬、制吐薬を用いることで対処しますが、CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events:有害事象共通用語規準)における重症度(Grade)評価により休薬することもあります。自覚症状が出にくい副作用に対して検査値を確認したり、症状が軽度なうちに薬剤の導入を提案したりすることで、重篤な副作用の発現を回避することができました。

血管外科病棟で研修している北澤沙英は、睡眠薬の選択に関する報告を行いました。安全性が高い睡眠薬であるオレキシン受容体拮抗薬は、覚醒保持に関連したオレキシン神経系の働きを遮断し、睡眠をもたらします。2020年から製造販売されているデエビゴⓇ(レンボレキサント)は、ベルソムラⓇ(スボレキサント)と同様の作用機序を示しますが、オレキシン1受容体よりオレキシン2受容体に親和性が高い特徴を有しています。また、ベルソムラⓇと異なり、一包化が可能であること、CYP3Aとの相互作用が少ないことから、高齢や併存疾患を持つ患者に使用しやすいです。安全かつ有効性が高いと考えられるデエビゴⓇを提案したことで、概日リズムを改善することができました。

消化器外科1・消化器外科2病棟で研修している伊藤嘉野は、オピオイドスイッチングに関する報告を行いました。がん疼痛に用いられるオピオイド鎮痛薬には錠剤、注射剤、坐剤、および貼付剤など、多数の剤形が存在します。入院患者に対しては、患者の状態に応じた剤形や投与量の変更が可能です。オピオイドスイッチングでは、換算表を用いて投与量を算出します。適切なオピオイドスイッチングや剤形の変更を提案することで、疼痛が悪化することなく、退院後を見据えた剤形を提案することができました。

これらの症例を通して、実際に患者の思いを聞いたうえで患者個人に合った薬物治療を考えることや、必要に応じて看護師や医師などの他の職種との情報共有をすることが大切であると実感しました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、実務実習では病棟実習を例年のように行うことができませんでした。アドバンスト研修でも、患者面談の頻度や形態に制限はありましたが、約半年間継続して臨床現場に携わらせていただきました。大学や臨床現場で得た知識・経験を活かして、患者や他の職種とのコミュニケーションを大切にし、頼られる薬剤師を目指して精進していきます。

(報告者:北澤沙英)

【名古屋大学医学部附属病院】
中村実樹(呼吸器内科・外科病棟)
「非小細胞肺がん患者のアルンブリグ導入における薬剤師の介入」
北澤沙英(血管外科病棟)
「重症虚血肢患者における傾眠傾向に対する薬剤師の介入」
伊藤嘉野(消化器外科1・消化器外科2病棟)
「化学療法施行患者における疼痛コントロールに対する介入」

2021年6月15日

第1回アドバンスト活動報告会

「第1回アドバンスト活動報告会」が開催されました。

愛知医科大学病院の循環器内科、小児科、および消化器内科にて研修しているアドバンスト学生3名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、症例報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。

循環器内科病棟で研修している学生は、心不全の慢性期治療に関する報告を行いました。心不全は心拍出量の低下や末梢循環不全、肺のうっ血をきたす病態です。慢性期は薬物療法が主体となりますが、病態の悪化を防ぐために急性増悪を繰り返さないようにしなくてはなりません。薬剤の効果や服薬継続の必要性を丁寧に説明することで服薬アドヒアランスを維持させ、その後の病態の安定に努めました。

小児科病棟で研修している学生は、免疫抑制剤の血中濃度管理に関する報告を行いました。プログラフⓇ顆粒(タクロリムス)は経口投与時の吸収は一定しておらず個人差があるため、治療薬物モニタリング(TDM)が必要です。プログラフⓇは食事により血中濃度が変動し、経腸栄養剤によっても影響を受けるため、毎回同じ条件で服用する必要があります。プログラフⓇが経腸栄養剤と相互作用を示さないように用法・用量の調節を行い、患者に適した血中濃度のコントロールに努めました。

消化器内科病棟で研修している学生は、抗がん剤の支持療法に関する報告を行いました。抗EGFR抗体薬であるベクティビックスⓇ(パニツムマブ)の特徴的な副作用として、皮膚障害や低マグネシウム血症などがあります。皮膚障害は痤瘡様皮疹、皮膚乾燥、そして爪囲炎と症状の経過をたどるため、発症時期と症状に応じた治療薬剤の選択が必要です。低マグネシウム血症はマグネシウム補充療法による補正や抗EGFR抗体薬の減量・休薬・中止によって対処します。抗がん剤特有の副作用に対処しながら、治療を継続することができました。

症例報告会を通して、患者の症状や検査値、患者面談で得られた情報から個々に必要な薬剤を症状に合わせて提案するだけでなく、患者やその家族の考えにも寄り添った治療方針の提案ができるように精進していきます。

(報告者:中村実樹)

【愛知医科大学病院】
循環器内科病棟
「コンプライアンス不良により心不全が増悪した症例」
小児科病棟
「経腸栄養剤の併用により免疫抑制剤のコントロール不良となった症例」
消化器内科病棟
「直腸癌患者におけるmFOLFOX6+Pmabの副作用管理」

2021年3月29日

2021年度 お花見:満開の桜と笑顔で新年度をスタート

新型コロナウイルス感染症の影響により家で過ごす時間が多くなる中、十分な感染対策を講じた上で、「2021年度 お花見」を鶴舞公園にて行いました。

平年より桜前線の北上が早く、満開の桜を満喫することができました。春の陽ざしの中で撮影された笑顔あふれる記念写真は、思い出に残るものとなりました。

昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、研究室行事のほとんどが中止となりましたが、今年度はコロナ禍でも交流できるような機会を設けながら、充実した研究室生活が送れるよう精進して参ります。

(報告者:佐分藍子)

 

※撮影時のみマスクを外しております。

2021年3月14日

2020年度 卒業セミナー:名残惜しい最後のセミナー

愛知県の緊急事態宣言が解除された3月、「2020年度 卒業セミナー」が、名城大学薬学部新3号館303・304教室にて開催されました。吉見 陽助教から、学部卒業生が参加する最後のセミナーですが、実務実習生は残念ながら新型コロナウイルス感染症を鑑みて参加を控えてもらったとの説明がありました。マスクを着用したままの状態でグループワークを行い、最初は9名の学部卒業生と1名の学位取得者を中心とした他己紹介を行いました。医薬品の薬効分類や商品名のソース、薬価等についてのグループ討論では、薬剤師国家試験を終えて間もない学部卒業生、実務実習を経た学部5年生、基礎薬学総論にて知識を培った学部4年生がそれぞれの力を最大限に発揮しました。担当者による解説もあり、知識の共有や新たな知識の習得ができました。新型コロナウイルス感染症の防止として、ソーシャル・ディスタンスは十分に保っていたにも関わらず、マインド・ディスタンスは十二分に縮まったと思います。セミナーの終了後に在籍学生一同から卒業生へ、卒業生からは野田幸裕教授と吉見 陽助教、在籍学生一同へこれまでの感謝を込めて記念品が贈呈されました。また、博士課程を修了し学位を取得された伊藤貴博先輩へ学部5年生が制作したビデオレターが約7年間の想い出と共に上映され、最後に野田幸裕教授から卒業生と在籍学生に激励の言葉が贈られました。

4月から博士課程に進学される吉田樹生先輩には今後もご指導を賜り、在籍学生一同協力し、卒業研究やアドバンスト臨床研修の更なる発展に努めていきたいと思います。最後に、卒業される皆様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(報告者:加藤有耶香)

 

※撮影時のみマスクを外しております。

2021年10月19日

くすり教室「名古屋市立千音寺小学校 愛知」

名古屋市立千音寺小学校にて「くすりの正しい飲み方:くすりと安全に安心して付き合う」
「くすり教室:実験講座」「薬物乱用・依存」の出前授業・Eプロを開催しました。211019