活動報告
活動報告の紹介
- 研究活動
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基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。
- 大学・研究室行事
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大学行事として、学生フォーラム、ソフトボール大会、オープンキャンパス、卒論発表や卒業式などが開催され、こうした行事には積極的に参加しています。研究室行事として、鶴舞公園での花見、ゼミ旅行、スポーツフェスティバル、新年会など、1年を通して楽しいイベントを開催し、メンバー同士の親睦を深めています。
- 国際交流活動
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名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターは、学術交流協定を結んでいる米国をはじめとする海外の大学教員や臨床研修生を受け入れ、講義への参加、関連医療施設の見学、症例検討を通し、研究・教育の交流を行っています。 名古屋大学医学部附属病院での臨床研修は、名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターサテライトセミナー室を拠点として、当部門のアドバンスト学生や配属学生が薬剤部と協力して実施しています。アドバンスト学生は病棟・薬剤師外来や関連医局での活動を中心に、臨床研修・症例や研究内容を英語で紹介します。また、日米の薬学教育や文化も紹介し、交流を深めています。
- 社会活動
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くすりを通じて社会を知ることで社会に貢献できる医療人の育成を目指して、地域での「くすり教室」や「研修」活動を積極的に実施・参加しています。中でも、特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)は、国民にくすりを安全に安心して使っていただくために薬剤師や国民に対する教育講演や学会を開催しています。その活動の一つとして、小学生にもくすりのことを知ってもらう講義や体験実験(くすり教室)を行っています。2014年度からは、薬物依存に関連する講義や体験実験も行っています。
2023年12月15日
- 第97回日本薬理学会年会/第44回日本臨床薬理学会学術総会(神戸)
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第97回日本薬理学会年会/第44回日本臨床薬理学会学術総会が、神戸(神戸国際会議場・神戸国際展示場)にて「いのちと科学を薬でむすぶ」をテーマに同時期開催されました。
当室からは、野田幸裕が一般演題(口頭) 中枢神経系(2)のセッションにおいて座長を務めました。1,700名を超える基礎・臨床薬理学研究者が一堂に会し、いずれのセッションでも活発な討論が行われました。日本薬理学会年会では、これら薬を取り巻く幅広い分野の研究者が一堂に会し、討論・意見交換し、さらに最新の研究に関する情報を提供することによって、融合領域を含む薬理学のさらなる発展に寄与することを目指しています。現在の研究テーマである脳炎症と精神疾患に関する分子生物学や臨床医学の最新の情報、また、日本臨床薬理学会主催の演題から、基礎と臨床の間のギャップを埋めるためのトランスレーショナル・リバーストランスレーショナルリサーチの現状について学ぶことができました。
(報告者:野田幸裕)
【座長】
野田幸裕(12月15日)
一般演題(口頭) 中枢神経系(2)
2023年12月6日
- 第16回日地域連携薬剤管理指導研究会(ONLINE)
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「第16回地域連携薬剤管理指導研究会」が「精神科領域(せん妄、うつなどの薬物治療、薬薬連携について)」をテーマにオンライン開催されました。本研究会は地域連携薬剤管理指導研究会、愛知県薬剤師会、特定非営利活動法人 医薬品適正使用推進機構、およびMeiji Seika ファルマ株式会社の共催、愛知県薬剤師会および名古屋市薬剤師会の後援で行われました。
当室の野田幸裕教授が地域連携薬剤管理指導研究会の世話人代表として、開催の挨拶と講演①と②の座長を務められました。講演①では地方都市の単科精神科病院の地域医療連携、講演②では大学病院におけるせん妄対策、講演③では薬剤師が知っておくべきうつ・不安症の薬物療法と、地域連携や薬物選択方法についてわかりやすく解説され、大変興味深いものでした。普段の研究室生活では関わることのない、より専門的な臨床現場でご活躍される先生方のご講演を拝聴することは、自身の「耳学」へと繋がり大変刺激になりました。コロナ禍を経てオンライン開催が普及した現状を上手く活用しながら、多くの「耳学」を積極的に取り入れていきたいと思います。
(報告者:中村真理子)
【座長】
野田幸裕
2023年9月16~17日
- 第7回日本精神薬学会総会・学術集会(岡山)
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「第7回日本精神薬学会総会・学術集会」が『薬と心と社会をつなぐ精神科薬物療法』をテーマに、岡山大学の創立五十周年記念館および一般教育棟にて開催されました。COVID-19の流行により過去3年間のWEB開催を経て、本会は「晴れの国 岡山」にて現地開催されました。全国より精神薬学を専門とする薬局・病院の臨床薬剤師や大学・企業の基礎研究者・教員・学生が一堂に集い、熱心な討論が交わされました。
当室からは、シンポジウム1「精神科薬物治療におけるポリファーマシーのマネージメント」において野田幸裕教授がオーガナイザー・座長を務め、野田幸裕教授は「精神科薬物療法におけるポリファーマシー:概要」として、日本の精神疾患に対する薬物療法が海外に比べてポリファーマシーの処方率が高いことを紹介しました。肥田裕丈研究員は「うつ病治療におけるポリファーマシーを整理する」と題して、抗うつ薬のポリファーマシー対策と適正使用について発表しました。各講演後には多数の質疑応答がありました。向精神薬の効能を正しく理解すること、ポリファーマシーでは治療効果と副作用を注意深く監視し、有益性を確保すること、向精神薬の減量は適切に行うことの重要性を共有しました。
吉見 陽はワークショップ1「PCP研究会企画 より良い薬物治療を考えよう―「症例検討」うつ病―」の演者を務めました。当日に追加の参加者があり、日本精神薬学会の鍋島俊隆顧問がファシリテーターを快く引き受けてくださり、6グループ(36名)にて『糖尿病治療中のうつ病』の治療について活発な議論が交わされました。薬局・病院で働く精神科薬剤師が、提示症例の問題点に対して治療指針(ガイドライン)やエビデンス(薬理学的・薬物動態学的特徴、忍容性・安全性プロファイルなど)に基づいた介入プランを立案しました。日常臨床で遭遇する症例の治療について、薬剤師の視点から他の職種(医師や看護師など)と協議する際に、どのような根拠に基づくものか再確認・整理しておくことにより、自信を持って意見を提案することができるようになると考えています。
2024年度は昭和大学上條記念館(東京)で「無限の可能性を求めて創る精神科薬薬連携〜さあ、Next Stageへ〜」をテーマに開催される予定です。今回は懇親会の開催が見送られましたが、次回は学術集会での活発な討論の後に懇親会でリラックスした雰囲気の中で歓談できることを楽しみにしています。
(報告者:吉見 陽)
【オーガナイザー・座長】
野田幸裕(9月16日)
シンポジウム1「精神科薬物治療におけるポリファーマシーのマネージメント」
【シンポジウム】
野田幸裕(9月16日)シンポジスト(シンポジウム1)
「精神科薬物療法におけるポリファーマシー:概要」
肥田裕丈(9月16日)シンポジスト(シンポジウム1)
「うつ病治療におけるポリファーマシーを整理する」
【ワークショップ】
吉見 陽(9月16日)演者(ワークショップ1)
「PCP研究会企画 より良い薬物治療を考えよう―「症例検討」うつ病―」
2023年7月20日
- 令和4年度助成研究発表会(東京)
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2023年7月20日、京王プラザホテルにて、「令和4年度助成研究発表会」が開催されました。
ストレス関連疾患のひとつであるうつ病患者では、認知機能障害が認められます。この障害は、うつ病治療薬による抑うつ症状の寛解後も残存し、患者の社会復帰に影響を与えます。当室からは、野田幸裕が幼若期社会的敗北ストレスマウスを用いた社会性行動障害の発現機序に関する研究成果について発表いたしました。また、「喫煙と精神機能・行動 D-1」のセッションの座長も務めました。当室の研究成果の発表後には、社会性行動障害におけるニコチン受容体α7とα4β2サブユニットの役割の相違について質疑応答があり、熱心に聴き入る参加者の姿が見受けられました。幼少期でのストレス負荷後に認められる成長後の不安やうつ様症状は、成体期でのストレス負荷後に認められるうつ様症状とは臨床的に異なることを助言頂きました。実験の妥当性や信頼性、治療薬の作用機序や特性などを吟味し、今後の研究活動に繋げたいと思いました。
(報告者:野田幸裕)
【口頭発表】
野田幸裕「ストレスとレジリエンスを制御するニコチン関連分子・神経回路」
【座長】
野田幸裕「喫煙と精神機能・行動D-1」
2023年6月25日
- 第143回日本薬理学会近畿部会 市民公開講座(名古屋)
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「第143回日本薬理学会近畿部会 市民公開講座」が、名城大学八事キャンパス ライフサイエンスホールにて、特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)の後援を得て開催されました。
講師として加藤雅士教授(名城大学情報センター・農学部)をお招きし、「愛知の発酵食品の魅力:健康と美食と文化から考える」と題して、愛知県が誇る多様な発酵食品の魅力を健康と美食、文化の観点からご講演いただきました。講演には100名近い地域の方々が参加され、愛知県の特産品である味噌や酒、醤油、味醂、酢などの発酵食品についてのお話に熱心に聞き入っていました。特に、「薬学では敵とされる微生物も農学の分野ではなくてはならないものである」という言葉が印象に残り、微生物が日本の伝統文化の一つである和食と日本人の健康を陰から支えていることを知りました。
講演の前後には、加藤教授が手掛けた名城大学オリジナルブランド清酒である「華名城(はなのしろ)」の試飲会が行われ、参加者の方々は3種類の味の違いを楽しんでいました。薬剤師として薬だけでなく、食生活の面からも健康をサポートすることの重要性を改めて感じるきっかけとなりました。
(報告者:若原和生)
2023年6月24日
- 第143回日本薬理学会近畿部会(名古屋)
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「第143回日本薬理学会近畿部会」が、ウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて開催されました。
当室の野田幸裕教授が部会長、吉見 陽准教授が事務局長を務められた本部会では、東海地区の地域薬局や医療系企業の協賛、特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)の後援を頂き、開催されました。近畿地区の薬理学研究者を中心に250名以上が参加し、計79題の演題が各セッションにて発表され、活発な討論が行われました。
当室からは学部6年の小野舞子、片田ひかり、川島菜月、黒田純輝、若原和生が学生口演にて発表を行いました。当室の学生が発表したいずれの演題も多くの薬理学研究者の方々からご質問やコメントがあり、大変盛況でした。統合失調症様モデルマウスの血漿におけるクロザピン反応性タンパク質の同定に関する若原の発表では、クロザピンによる免疫機能障害の発生機序や無顆粒球症患者における罹患しやすい感染症に関する質疑をいただき、クロザピンの副作用発現に関わる研究の重要性を改めて感じました。口演終了後には情報交換会も開催され、100名以上が参加し、歓談も交えながら研究成果について積極的に意見交換を行うことで、新たな知見を得る機会となりました。本学会に参加したことで、病態や薬物の作用機序を解明するためには、多角的な視点から検討していくことが重要であることを学び、今後の研究課題も見つけることができました。本学会で学んだことを研究活動に活かし、さらに努力していきたいと思います。
なお、本部会において、川島菜月および片田ひかりが第143回日本薬理学会近畿部会優秀発表賞を受賞しました。
(報告者:若原和生)
【口頭発表】
小野舞子
「レット症候群モデル神経細胞表現型スクリーニングから見出された候補化合物の連続投与マウスの行動学的特徴」
片田ひかり
「幼若期社会的敗北ストレス負荷による社会性行動障害発現におけるミクログリアとTNF-αの関与」
川島菜月
「幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの社会性行動障害におけるニコチン関連化合物の影響」
黒田純輝
「Astn2 遺伝子変異と新生仔期免疫活性化の複合曝露による高次脳機能への影響」
若原和生
「統合失調症様モデルマウスの血漿におけるクロザピン反応性タンパク質の同定」
2023年5月26日~28日
- 第16回日本緩和医療薬学会年会:The 16th Annual Meeting of Japanese Society for Pharmaceutical Palliative Care and Sciences(神戸)
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「第16回日本緩和医療薬学会年会」が『持続可能な発展に向けた緩和医療薬学の未来予想図を描く』をテーマに、神戸の神戸国際会議場および神戸商工会議所会館にて開催されました。緩和医療は、がん疾患だけではなく生命を脅かすあらゆる疾患に苦悩する患者や家族の生活の質の向上を目指すものです。本学会は、『日本において益々高まる緩和医療の重要性を鑑み、保険薬局薬剤師、病院薬剤師、薬学研究者の連携強化を図り、緩和医療における薬物療法の推進と充実、さらに大学での教育研究と企業での開発・学術研究の進捗発展を目的とする』学術団体です。2007年の設立から15年で会員数は4000名規模となり、本邦の緩和医療を牽引する組織の一つとなっています。本会は4年ぶりの全面的な対面開催で、どこの会場も立ち見で、会場に入室できないほどの参加者でした。
当室からは、野田幸裕教授がシンポジウム14「がん患者のトータルペインに迫る精神科的アプローチ」、博士課程4年の中村真理子が一般演題(口頭)にて発表を行いました。拝聴した山口重樹先生(獨協医科大学 麻酔科学講座)の教育講演1「緩和薬物治療の現在標準と将来展望:適切な痛みの薬物療法を再考する」では、慢性疼痛は薬物治療が慢性化しやすいように思われがちですが、『慢性薬物治療』ではないこと、慢性疼痛におけるアドヒアランス不良は単に飲み忘れではなく、疼痛症状の改善による場合が多いため、『アドヒアランス』を適切に考える必要があることを認識した講演でした。緩和医療領域への学会参加は今回が初めてでしたが、緩和医療の根本的な考え方から社会環境まで、幅広く知見を深める機会となりました。野田教授のご発表にもあったように、まずは向精神薬を通して緩和医療の臨床現場へも足を踏み入れられるよう精進します。
(報告者:中村真理子)
【シンポジウム】
野田幸裕(5月28日)
「がん医療における向精神薬の適正使用」
【一般演題(口頭)】
中村真理子(5月27日)
「がん疼痛治療におけるオキシコドンの薬物動態学的多様性に基づく効果的な疼痛管理」
2023年5月7日~10日
- 第34回国際神経精神薬理学会:34th CINP World Congress Neuropsychopharmacology(CINP 2023)(モントリオール)
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「34th CINP World Congress Neuropsychopharmacology(CINP 2023)」が最新の研究の発展や新しい治療法、新しい臨床ニーズや問題点について学び、世界中の研究者とコミュニケーション・協力・ネットワークを築くことをテーマに、カナダ モンテリオールのFairmont The Queen Elizabethにて開催されました。COVID-19の影響で本会は3年間のバーチャル開催を経て、今回ようやく対面開催が実現し、大盛会でした。
当室からは、野田幸裕教授と博士課程4年の中村真理子が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。国際学会に対面で参加するのは初めてであり、国際学会の華やかさや世界中の研究者と直接討論できることに感銘し、何ものにも代え難い経験となりました。拝聴した講演発表と議論を通し、精神疾患の病態の解明やその治療薬の開発の目的は患者の社会復帰であり、これは世界共通であると実感しました。
なお、本会において中村真理子はCINP 34th Congress Student Encouragement AwardおよびJSNP Excellent Presentation Award for CINP 2023を受賞しました。この受賞は、今後の研究の活力になり、世界共通語である英語のスキル向上に益々精進していきたいと思います。
(報告者:中村真理子)
【一般演題(ポスター)】
Yukihiro Noda(5月9日)
「Dual Role of Nicotine in Therapeutic and Addictive Effect in Schizophrenia: A Convergent Approach Based on Clinical and Basic Researches」
Mariko Nakamura(5月8日)
「Potential of Serotonin Transporter as a Biomarker in Chronic Orofacial Pain with Depressive Symptoms Before and After Duloxetine-treatment」
2023年3月25日~28日
- 日本薬学会第143年会(札幌)
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「日本薬学会第143年会(札幌)」が『ファーマサイエンス:つながる・つきぬける』をテーマに北海道大学札幌キャンパスを主会場とした現地とWEBでのハイブリッド形式で開催されました。本年会は物理系、化学系、生物系、医療系、臨床系などの多様な学術領域の研究者が一堂に会し、研究成果を発表し議論することで、革新的な医薬品・治療法の創出へ繋げることを目的としています。本年会は実に4年ぶりの現地開催であり、8000名を超える参加者のもと、盛会のうちに終了しました。
当室からは野田幸裕教授、博士課程3年の中村真理子先輩、学部5年の加納正暉が一般演題(ポスター)にて発表を行いました。いずれの発表でも発表時間の終了まで多数の質問を受け、大変盛況でした。今回初めて学会に参加し、臨床薬剤師・研究者それぞれの視点から研究成果の解釈や臨床への還元方法など、多くのご意見をいただくことができました。特に、患者の認知機能に応じ、患者本人だけでなくご家族に対しても吸入指導を行う必要性や患者の治療への不安や意欲がコロナ禍における気管支喘息症状のコントロールに与える影響について、意見交換を行うこともできました。また、領域融合シンポジウム「神経障害性の痛みにおける新しい慢性化メカニズム」では、神経障害性疼痛に対し、中枢における免疫担当細胞が寛解や再発において密接に関与している可能性があるなど新たな知見を得ることができました。
本学会で得られた知見を今後の研究活動や薬剤師外来での吸入指導へ活かせるように努めたいと思います。
(報告者:加納正暉)
【一般ポスター発表】
野田幸裕(3月27日)
「2021年薬学共用試験OSCEの結果解析報告と2022年度OSCE結果の速報」
中村真理子(3月26日)
「クロザピン服用患者におけるCYP2D6遺伝子多型とクロザピンおよびその代謝物の血中濃度や臨床効果・副作用発現との関連性」
加納正暉(3月27日)
「コロナ禍における気管支喘息患者の吸入療法の現状:地域薬局でのアンケート調査」
2023年10月7日
- 2023年度 歓迎会:新体制!秋の訪れを感じた歓迎会
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「2023年度4年生歓迎会:新体制!秋の訪れを感じた歓迎会」を鉄板ダイニング向日葵 鶴舞店にて開催しました。本年度は6月に第143回日本薬理学会近畿部会の開催や8月にゼミ旅行があり、例年より遅く、季節の変わり目の時期での開催となりました。
5月に新たに配属された学部4年生11名(アドバンス学生2名)と衛生化学研究室のアドバンスト学生1名の歓迎会には、野田幸裕教授、吉見 陽准教授をはじめ、博士課程2名、学部6年生1名、学部5年生6名、総勢22名が参加しました。
始めに野田幸裕教授から学部4年生に温かい歓迎の挨拶、全体には今後の活動に向けた激励の言葉をいただきました。続いて、吉見 陽准教授からはご挨拶と共に、乾杯の音頭をとっていただきました。乾杯後から各々が席を自由に移動し、教員-学生や学年の枠を超え、お酒を交えて、オープンキャンパスやゼミ旅行など、配属からこれまでの出来事を思い起こしながら、印象深かったことや失敗談、笑い話など、和気あいあいと今まで以上に親睦を深めることができました。
10月7日現在、博士課程2名、学部5年9名、学部4年12名に加え、腫瘍分子医学研究室と衛生化学研究室のアドバンスト学生の学部5年1名と学部4年1名が所属しており、互いに助け合い、教えあうことで日々研鑽を重ねております。今回の歓迎会を機に当室の掟を遵守しながら、当室全体がより活気に溢れ、より和気あいあいとした楽しい雰囲気となるよう努めて参ります。
(報告者:川合竣也)
2023年9月23日
- 2023年度 ドッジボール大会:スポーツの秋、飛び交うボールと歓声
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「2023年度 ドッジボール大会」が名城大学八事キャンパス体育館にて開催されました。
残暑の厳しい中、熱中症対策と感染症対策を行った上での開催となり、当室からは吉見 陽准教授、博士課程3年の吉田樹生先輩、学部5年生4名、学部4年生6名の総勢12名が参加しました。
大会当日は、試合前にウォーミングアップとして、円陣でのキャッチボールを行いました。教員-学生や学年の枠を超えて、向かい合ってボールの受け渡しを行うことで、これまで以上に打ち解けることが出来ました。
大会では9チームが3リーグに分かれて総当たりの予選を行いました。試合はバレーボールコート程度の広さで行われ、試合球はバレーボールが用いられました。男性はハンディキャップとして利き手の使用が禁じられていたため、不慣れな体勢での投球に苦戦を強いられました。1試合目は白熱した戦いを繰り広げるも前半戦、後半戦ともに負けてしまいました。しかし、2試合目では投球にも慣れ、1試合目の経験を活かして外野の両サイドを利用して挟み撃ちをするなど戦略を練ったことにより、前半戦で勝利することが出来ました。外野人数の集計結果から、リーグ内3位となり決勝戦には進めませんでしたが、怪我もなく参加者全員が最後まで楽しんでドッジボール大会を終えることができました。
大会終了後は参加者全員で昼食を摂り、親睦を深めることができました。4種類のお弁当をお互いに譲り合い、当室メンバーの優しさや暖かさにも触れることが出来ました。
研究や授業が本格的に始まり多忙な日々を過ごしていますが、体を動かすことでリフレッシュをすることができました。参加者一同気持ちを新たに励んで参ります。
(報告者:深見彩乃)
2023年9月8日
- 令和5年度 薬学部卒業論文発表会
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「令和5年度 薬学部卒業論文発表会」が名城大学薬学部 新1号館および新3号館にて開催されました。本年度も、前年度に引き続きすべてポスター発表でした。
発表会では、当室の学部6年の加納正暉、吉原 希、山本千紗都、若原和生、水野創太、永谷一馨、川島菜月、片田ひかり、黒田純輝、および小野舞子が新1号館4階にて発表を行いました。約2年間の研究活動の集大成を発表することができ、6年生一同感謝しております。
当室の学部4・5年生をはじめ、副査の教員、他の研究室の学生および研究室配属前の3年生など多くの方が入れ替わり立ち代わりポスターを閲覧し、様々なご質問やご意見をいただきました。「教育」、「研究」、「臨床」と様々な分野で活躍される教員から貴重なご意見やご質問をいただき、多角的な視点で結果を捉え、得られた結果を論理的に考察する重要性を再認識しました。学生には結果に対する質問への回答・解説だけでなく、モデル動物の作製方法、それを使用する意義や行動学的・神経化学的な解析方法などの基本的な内容を丁寧に解説しました。
発表会後には新3号館の1階にて学部6年生から教員、大学院生、および学部4・5年生へ感謝を込めたプレゼントを贈りました。学部4・5年生からは、手作りのだるまのお守りと名前入りハンカチ、お菓子をいただきました。
卒業後、薬剤師・大学院生として業務・研究を進めていくにあたり、当室での研究や社会活動を通して培った経験を活かして、高度な専門知識と研究能力を有する薬剤師を目指したいと思います。
(報告者:若原和生)
【ポスター発表】
加納正暉 (9月8日)
「コロナ禍の気管支喘息患者における吸入療法の現状:感染症拡大下における適切な吸入指導に向けて」
吉原 希 (9月8日)
「統合失調症入院患者における抗精神病薬の減薬・減量の実態調査」
山本千紗都 (9月8日)
「統合失調症様モデルマウスの前頭前皮質におけるクロザピン反応性タンパク質の探索的研究」
若原和生 (9月8日)
「統合失調症様モデルマウスの血漿におけるクロザピン反応性タンパク質の探索的研究」
水野創太 (9月8日)
「統合失調症患者のリンパ芽球様細胞株および統合失調症様モデルマウスの血液と脳を用いた網羅的遺伝子発現解析」
永谷一馨 (9月8日)
「うつ病患者のリンパ芽球様細胞株および幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの血液と脳を用いた網羅的遺伝子発現解析」
川島菜月 (9月8日)
「幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの社会性行動障害におけるニコチン関連化合物の影響」
片田ひかり (9月8日)
「幼若期社会的敗北ストレス負荷マウスの社会性行動障害におけるミクログリアの関与」
黒田純輝 (9月8日)
「Astn2 遺伝子変異と新生仔期免疫活性の複合曝露による高次脳機能への影響」
小野舞子 (9月8日)
「レット症候群モデル神経細胞表現型スクリーニングから見出された候補化合物の連続投与したマウスの行動学的特徴」
2023年8月8日~9日
- 2023年度 ゼミ旅行:4年ぶりの宿泊ゼミ旅行が復活!親睦と共に思い出も深まった2日間(長野)
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「2023年度ゼミ旅行」として、長野を訪れました。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴い、名城大学の規制が緩和され、4年ぶりに野田幸裕教授、吉見 陽准教授を始め、当室OGの蛯江裕美先輩、大学院生、および学部4~6年生、全員が揃っての宿泊ゼミ旅行となりました。
1日目:8月8日
名古屋大学医学部附属病院をバスで出発し、車中ではレクリエーションとしてメンバー全員の自己紹介を行いました。メンバーの趣味や部活のほか、今まで知らなかった意外な一面を知ることができ、終止笑いに包まれました。
最初の目的地である阿南町陶芸体験館では、陶芸体験として土を指先で伸ばしながら成形する手びねりでお皿にした後、様々な陶印で模様付けすることで、個性のある作品を完成させることができました。
次に向かった飯田市のココロファームビレッジでは、バーベキューを行い、食べきれないほどの4種類のお肉(鶏肉、ラム肉、牛肉、豚肉)と焼きそばを堪能しました。
宿泊旅館である和泉荘に到着後は、温泉につかるなど各々の時間を楽しみました。夕食では、信州牛や松本産コシヒカリなど、地元の食材を活かした料理に舌鼓を打ちました。夕食後には宴会場で景品をかけたビンゴ大会、部屋対抗のUNOやババ抜きをして大いに盛り上がりました。最後は全員で記念撮影を行い、学年の枠を超えて交流を深めることができました。
2日目:8月9日
早朝、教員をはじめ、OG、大学院生、活発な学部4年生が近くの湖を目指して散歩に出かけ、気分をリフレッシュさせました。朝食を済ませ旅館を出発し、絶景ドライブルートとして知られるビーナスラインを通って、2日目最初の目的地である車山高原へと向かいました。
山麓から山頂には、展望リフト2本を乗り継ぐことで辿り着きました。天候が良ければ、八ヶ岳、富士山や南アルプスなどが一望できる場所ですが、霧がかかり、その絶景を見ることはできませんでした。しかし、涼風を浴びながらの記念撮影やカフェでの休息を楽しむことができました。最後の目的地である下諏訪では、各々、自由散策を行いました。名物である信州そばを味わったり、諏訪大社を参拝したりなど、充実した時間を過ごすことができました。
今回のゼミ旅行を振り返ると、配属されたばかりの学部4年生や実務実習で当室を離れていた学部5年生を含む総勢30名が揃い、遊びや飲食を楽しむ時間を共有したことで、親睦を深めることができました。ゼミ旅行中は猛暑に加えて台風接近による不安定な天候ではありましたが、誰一人体調を崩すこともなく、メンバー全員が無事に帰路につくことができ、記憶に残る良きゼミ旅行となりました。
(報告者:川合竣也、五十住優弥)
2023年7月29日~30日
- 名城大学オープンキャンパス2023
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「名城大学オープンキャンパス2023」が、名城大学薬学部八事キャンパスにて開催されました。新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、名城大学オープンキャンパスの規制が緩和され、当室も4年ぶりの参加となりました。
2日間、教員の指導の下、研究員、大学院生および学部4~6年生(31名)が、腫瘍分子医学研究室と衛生化学研究室のアドバンスト学生(2名)と共に来校された高校生や保護者に対して、以下の3つの企画を実施しました。「医薬連携薬学教育コーナー」では、①本学部の臨床薬学教育の特色であるアドバンスト臨床研修および多職種連携教育(Inter-Professional Education:IPE)についてスライドを用いて説明しました(学部6年生担当)。「薬剤師業務コーナー」では、②抗がん薬曝露対策製品(閉鎖式薬物移送システム:ファシールTM)を用いた抗がん薬注射剤調製のデモンストレーション(学部4年生担当)と③クリ-ンベンチでの一般注射剤調製の体験(2日間で約300名)を行いました(研究員、大学院生および学部5・6年生担当)。多数の高校生や保護者が当室のブースを訪れ(2日間で約430名)、「薬学部でどのようなことを学んでいるか知ることができた」「想像以上に無菌調製の手順が多くて驚いた」「注射用水を吸い上げるのが大変だった」などの感想をいただき、大変好評でした。
薬剤師が無菌調製を行う意義や無菌製剤を安全かつ適正に調製する操作方法について、多数の参加者に理解していただくことができました。今回のオープンキャンパスを通じて、薬学部での学びについて理解を深め、将来の進路選びの一助となれば幸いです。
(報告者:木村天音、森川和那)
2023年6月28日
- 令和5年度 第4回アドバンスト活動報告会
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「令和5年度 第4回アドバンスト活動報告会」が開催されました。
愛知医科大学病院の消化器外科病棟にて研修しているアドバンスト学生1名、薬局や在宅クリニックにて研修しているアドバンスト学生2名が症例報告を行いました。多くの学部学生や教員が参加し、報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。
愛知医科大学病院の消化器外科病棟にて研修している学生は、大腸がん患者の支持療法への介入に関する報告を行いました。上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)が過剰に発現している患者に使用されている分子標的薬の抗EGFR抗体薬は、ざ瘡様皮膚炎や皮膚乾燥などの特徴的な皮膚障害を発現する場合があります。本症例では、こうした皮膚障害に対して患者自身で使用していたメンソレータム®には刺激性を有していることから、刺激のないプロペト®への変更を提案しました。皮膚障害以外にも末梢神経障害や便秘などの副作用モニタリングを長期的に行うことで、化学療法の継続に貢献しました。
薬局にて研修している学生は、老人ホームに入居する閉塞性動脈疾患患者への服薬アドヒアランスの向上に向けた取り組みに関する報告を行いました。本症例では、服薬や服薬間隔を忘れるため、紙芝居を用いて服薬の必要性を説明したり、服薬間隔に注意すべき薬を視覚的に把握できるように時計の絵を掲示したりして、薬識の向上に努め、結果的に服薬アドヒアランスの向上につながりました。また、薬の管理をする看護師に食事と薬の相互作用について情報提供することで、他職種との連携を経験しました。
在宅クリニックにて研修している学生は、在宅療養となった乳がん患者への薬学的介入に関する報告を行いました。がん疼痛に使用されるオピオイド鎮痛薬には多数の剤形が存在し、患者の状態に応じて変更が可能です。本症例では、退院時から使用していたオキシコドンの徐放錠の内服が困難になったため、在宅医療でも使用可能なモルヒネのシリンジ製剤への変更を提案しました。また、患者の経過や検査値などを情報共有するためには、在宅クリニックの薬剤師と病院薬剤師や薬局薬剤師との連携(薬薬連携)が重要であることを実感しました。
本報告会を通して、特に、在宅医療において薬局薬剤師として患者に良質な医療を提供するためには、患者の状態や生活様式に合わせた薬物治療を行う必要があることを学び、病院実習だけでは得難い知見を得ることができました。今後の実習では退院後の生活を想定し、疾患の治療だけでなく治療期間の生活の質も維持できるような、薬物治療の提案ができるよう努めていきたいと思います。
(報告者:伊藤綾香)
【愛知医科大学病院】
消化器外科病棟
「大腸癌における化学療法の薬学的介入」
【薬局・在宅クリニック】
「介護施設での服薬アドヒアランス不良患者に対する薬剤師の介入」
「在宅での終末期がん患者に対する薬剤師の介入」
2023年6月25日
- 2023年度 病態解析学Ⅰ同門会-第143回日本薬理学会近畿部会の慰労会を兼ねて開催:開設19年の歴史を振り返って
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「2023年度 病態解析学Ⅰ同門会」が、ストリングスホテル名古屋1階「オークルーム」にて「第143回日本薬理学会近畿部会の慰労会」を兼ねて開催されました。
同門会は、当室の野田幸裕教授が部会長として開催された第143回日本薬理学会近畿部会の慰労会を兼ねて企画され、当日は、野田幸裕教授、吉見 陽准教授、博士課程2名、学部6年10名、学部5年7名、学部4年6名および卒業生30名の総勢57名が参加しました。司会進行を担当された吉見先生から野田先生が紹介されると普段のご指導いただくときの真剣な姿とは異なり、参加者に両手を振りながらとてもお茶目に、螺旋階段から登場されました。開会の挨拶として野田先生から、第143回日本薬理学会近畿部会に関わった院生・学部生および卒業生への労いの言葉を頂いた後、当室の元助教で、現在は藤田医科大学の教授である毛利彰宏先生の挨拶と乾杯のご発声により会が始まりました。
新型コロナウイルス感染症の規制緩和により、5年ぶりに同門会開催へ漕ぎ着けたこともあり、野田先生や吉見先生と卒業生、院生・学部生と卒業生、あるいは卒業生同士で再会を喜び合う姿が多く見られました。
会の中盤では、病態解析学Ⅰの歴史を振り返りながら、2018年度同門会以降の近況報告が行われ、吉見先生が4月から准教授に昇格したことが報告されました。続いて吉見先生から野田先生が一般社団法人日本私立薬科大学協会 令和4年度教育賞を受賞されたことが報告されました。本賞は我が国の薬学教育に多大な貢献をし、その進歩と発展に特に功績があった者に対して授与されるとても名誉ある素晴らしい賞です。受賞の御祝いとして、吉見先生と当室の卒業生で現在、藤田医科大学の講師の加藤博史先生より記念品(ペン立てと小物入れ)が贈られました。また、吉見先生と博士課程4年の中村真理子先輩より野田先生と賞状が描かれたケーキがサプライズで贈られ、野田先生と賞状の再現のクオリティの高さに参加者一同から歓声が上がり、写真に収めていました。
会の終盤には、当室の卒業生で現在、金城学院大学の助教の鳥居 綾先生と加藤加織先生より感謝の思いを込めた花束が野田先生と吉見先生に贈られました。
最後に、野田幸裕教授から閉会のご挨拶を頂き、参加者全員で記念写真を撮影しました。撮影後も談笑は続き、参加者一同、名残惜しさも感じている様子でした。
同門会を通じて、病態解析学Ⅰの歴史を改めて感じました。また、卒業生から研究活動への激励のお言葉を頂き、より意欲的に研究に取り組んでいこうと気持ちを新たにしました。今後の研究室のさらなる発展に向け、当室一同、気を引き締めて精進してまいります。
(報告者:木村天音、森川和那)
2023年6月14日
- 令和5年度 第3回アドバンスト活動報告会
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「令和5年度 第3回アドバンスト活動報告会」が開催されました。
名古屋大学医学部附属病院の消化器外科・移植外科病棟、呼吸器内科・外科病棟、精神科・親と子どもの心療科病棟にて研修しているアドバンスト学生3名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。
消化器外科・移植外科病棟にて研修している伊藤綾香は、食道がん患者の疼痛コントロールについて報告を行いました。がん疼痛に使用されるオピオイドの鎮痛効果が不十分な際に、他の種類や剤形のオピオイドに変更する「オピオイドスイッチング」が行われます。本症例では、フェンタニルの注射剤から貼付剤のフェントス®テープへの変更の際に、添付文書や院内のマニュアルから適切なオピオイドスイッチングの方法を医師に提案しました。また、数値的評価スケール(numerical rating scale:NRS)やレスキューの使用回数から、継続して疼痛状態を評価し、適切な投与量を医師に提案しました。このように疼痛コントロールに貢献しました。
呼吸器内科・外科病棟にて研修している加納正暉は、悪性胸膜中皮腫患者の化学療法への介入について報告を行いました。近年、がん治療において、がん細胞への免疫反応を活性化させる免疫チェックポイント阻害薬が使用されます。免疫チェックポイント阻害薬は正常な組織に対する免疫反応も活性化するため、しばしば免疫関連副作用(immune-related adverse events:irAE)が発現します。本症例では、irAEの対策としてステロイド補充療法が導入されており、今回の化学療法中の倦怠感や電解質異常等の症状から急性副腎不全を回避するためステロイド投与量の増量を提案し、化学療法の継続に貢献しました。
精神科・親と子どもの心療科病棟にて研修している吉原 希は、アドヒアランス不良のうつ病患者における便秘対策について報告を行いました。精神疾患患者は、向精神薬の抗コリン作用等による腸の蠕動運動の低下に加え、活動や食事・水分摂取の低下により、便秘の発症頻度が高いです。本症例では、便秘対策としてルビプロストンと頓服薬のピコスルファートナトリウムを使用していました。しかし、患者が満足できる排便コントロールではなかったために、腸の蠕動運動を活発にする胆汁酸トランスポーター阻害薬であるエロビキシバットの追加を提案しました。また、服薬の習慣づけ、服薬忘れが無いように繰り返し指導することで、退院後のアドヒアランス維持に貢献しました。
本報告会を通して、患者に安心・安全な薬物療法を提供するには、患者毎に、薬剤導入後の効果・副作用をモニタリングし、適切な服薬指導を行うことが重要であることを学びました。残り少ない研修期間においても、患者との面談を充実させ、患者とその家族に寄り添った医療を提供できるように努めていきたいと思います。
(報告者:伊藤綾香、加納正暉、吉原 希)
【名古屋大学医学部附属病院】
伊藤綾香(消化器外科・移植外科病棟)
「食道がん患者における疼痛コントロールに対する介入」
加納正暉(呼吸器内科・外科病棟)
「悪性胸膜中皮腫患者の化学療法における薬剤師の介入」
吉原 希(精神科・親と子どもの心療科病棟)
「便秘を訴えるうつ病患者に対する薬学的介入」
2023年5月31日
- 令和5年度 第2回アドバンスト活動報告会
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「令和5年度 第2回アドバンスト活動報告会」が開催されました。
藤田医科大学病院の腎臓内科病棟、内分泌・代謝・糖尿病内科病棟および救命病棟にて研修しているアドバンスト学生3名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。
腎臓内科病棟にて研修している学生は、常染色体顕性多発性嚢胞腎(Autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)について報告を行いました。ADPKDは両側腎臓に多数の嚢胞が進行性に発生・増大し、最終的には7割の患者で透析や腎移植が必要となる遺伝性疾患です。疾患の発症と進行にはバソプレシンが関与することから、治療には、バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンが用いられています。糖尿病治療に使用されるSGLT2阻害薬はバソプレシン濃度を上昇させること、腎保護作用を有することからADPKD患者の腎機能保持への有用性が期待されています。本症例では、SGLT2阻害薬によるバソプレシン濃度および腎機能低下速度の推移を評価し、疾患の進行抑制に努めていました。
内分泌・代謝・糖尿病内科病棟にて研修している学生は、2型糖尿病に対してリベルサス®にて治療されている患者について報告を行いました。リベルサス®は、血糖依存性にインスリン分泌を促進する経口GLP-1受容体作動薬です。胃腸障害の回避のため、低用量から漸増投与します。本症例では、胃腸障害によるアドヒアランス低下を防ぐため、持効型インスリンとGLP-1受容体作動薬配合注射剤であるゾルトファイ®への変更により、良好な血糖コントロールに貢献していました。
救命病棟にて研修している学生は、髄膜炎疑いのリステリア菌血症について報告を行いました。リステリア菌は、セファロスポリン系抗菌薬に耐性、ペニシリン系抗菌薬に感受性があり、アンピシリンが標準的な治療薬とされています。本症例では、患者の薬剤感受性試験やアンピシリンの髄液移行性を考慮した初期投与計画や、治療開始後には腎機能モニタリングから投与量を提案していました。
本報告会を通して、治療効果と副作用のバランスを患者の検査値や服薬状況、文献等から考慮し、最適な治療を提供する必要があると再認識しました。今後も多角的な視点を持ち、より良い治療法の提案に貢献ができるように努めていきます。
(報告者:吉原 希)
【藤田医科大学病院】
腎臓内科病棟
「常染色体顕性多発性嚢胞腎に対するトルバプタン治療」
内分泌・代謝・糖尿病内科病棟
「2型糖尿病患者に対するリベルサス®服用例」
救命病棟
「CO2貯留をきたしたリステリア菌血症(髄膜炎疑い)」
2023年5月17日
- 令和5年度 第1回アドバンスト活動報告会
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「令和5年度 第1回アドバンスト活動報告会」が開催されました。
愛知医科大学病院の呼吸器内科・外科病棟にて研修しているアドバンスト学生1名、安城更生病院の小児科と産婦人科病棟にて研修しているアドバンスト学生2名が症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。
愛知医科大学病院の呼吸器内科・外科病棟にて研修している学生は、肺がん患者の支持療法への介入に関する報告を行いました。がん患者には疼痛が発現することが多く、痛みの強さに応じ、鎮痛薬の増量・変更が行われます。本症例ではフェントステープでの鎮痛効果が不十分であったため、オキシコドン注へのオピオイドスイッチングが行われました。オピオイドスイッチングは、換算値に基づいて行われますが、貼付剤から注射剤へのスイッチングのため、投与量が過剰にならないよう慎重に投与量やスイッチングの間隔調整などを行いながら、疼痛の緩和と副作用発現の回避をしていました。
安城更生病院の小児科病棟にて研修している学生は、小児ネフローゼ症候群患者への薬学的介入に関する報告を行いました。小児ネフローゼ症候群の治療としてはステロイドの投与が第一選択であり、その副作用対策が重要になります。本症例では、副作用の発現に関連した問題行動を事前に家族へ説明することで早期発見に努め、その対処をしたことで退院後も副作用による影響もなく治療が継続されていました。
安城更生病院の産婦人科病棟にて研修している学生は、切迫早産患者への薬学的考察に関する報告を行いました。胎児の成長が不十分な状態での出産となる早産は、新生児の感染症・合併症罹患リスクが高まります。そのため、子宮収縮抑制薬等を使用し早産を回避します。本症例では、使用した薬剤の副作用発現を検査値と妊婦の主訴等から多角的に評価・モニタリングを行い、出産までの症状安定化に努めました。
本報告会を通して、使用薬剤による副作用を多角的に予測し、患者へその予防や早期発見のための情報提供を行うことが安全な治療継続に重要であると再認識しました。今後も患者に最適かつ安全な医療を提供するために、患者一人ひとりに向き合っていきたいと思います。
(報告者:加納正暉)
【愛知医科大学病院】
呼吸器内科・外科病棟
「肺がん治療における支持療法」
【安城更生病院】
小児科病棟
「小児ネフローゼ症候群患者に対する薬学的介入」
産婦人科病棟
「切迫早産で入院した患者に対する薬学的考察」
2023年5月15日
- 吉見 陽先生の准教授 昇格のお祝い会:考える脳みそを
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「吉見 陽先生の准教授 昇格のお祝い会」が、創作和食と完全個室和蔵 名古屋栄店にて開催されました。
今回は、新型コロナウイルス感染症が5類になり、感染対策の規制も緩和されたので約3年ぶりに全面対面の会食を開催することができ、野田幸裕教授、吉見 陽准教授をはじめ、博士課程2名、学部6年生10名、および学部5年生7名の総勢21名が参加しました。
会食冒頭では学部生より乾杯の挨拶を行い、賑やかな雰囲気でスタートしました。3つのテーブルに分かれ、各自がお酒を嗜みながら親睦を深めることができました。終盤ではお祝いのケーキ入刀が行われ、中締めとして、吉見 陽准教授からお祝い会のお礼の挨拶を頂きました。その中で、「一人ひとりが自立して考える脳みそを持ち、教員と学生が一緒に考え、ディスカッションすることが、研究室生活の充実に繋がる」というお言葉をいただき、各学生は決意を新たにしました。
吉見 陽准教授のご昇格を当室一同非常に嬉しく思っております。これまで以上にご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げるとともに、吉見先生のますますのご活躍をお祈りいたします。
(報告者:加藤朱莉、深見彩乃)
2023年3月29日
- 2023年度お花見:花より団子
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毎年恒例の「2023年度 お花見会」を鶴舞公園にて開催しました。
今年のお花見会には、野田幸裕教授、吉見 陽助教をはじめ、博士課程3年の中村真理子先輩、学部5年11名、および学部4年5名の総勢19名が参加しました。
当日は春の陽気が感じられる恵まれた天候の中、美しい桜の下で笑顔が溢れる集合写真を撮ることができ、心に残る思い出となりました。今年は新型コロナウイルス感染症の規制緩和により公園内での食べ歩きも可能となり、撮影後には桜を楽しみながら公園内に立ち並んだ屋台に足を止め、“団子”も堪能することができました。楽しい時間を過ごしながら親睦を深め、心身ともに英気を養う機会となりました。
今年度も充実した研究室生活が送れるよう、当室一同より一層精進して参ります。
(報告者:雄谷拓海)
※撮影時のみマスクを外しております。
2023年3月18日
- 2022年度 卒業セミナー:卒業生の今後の活躍を願って
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「2022年度 卒業セミナー」が、名城大学薬学部 新3号館303・304教室にて開催されました。
今回のセミナーには、野田幸裕教授、吉見 陽助教をはじめ、博士課程3名、学部6年8名、学部5年10名、および学部4年8名の総勢32名が参加し、4つのグループに分かれてグループワーク形式でのセミナーを行いました。
セミナー冒頭では、吉見 陽助教より企画への期待を込めた開会のお言葉をいただき、和やかな雰囲気でセミナーはスタートしました。まず初めに、アイスブレイクを兼ねて各グループの名前付けてもらい、それぞれ「胡椒」、「ドラゴン」、「10万ボルト」、および「defeat」と決まり、士気を高め合いました。続いて、各グループは9マスのビンゴ用紙にランダムに番号を記入し、謎解きや国家試験の問題に正解すると問題番号の数字に印をつけて、タテ、ヨコ、ナナメのいずれか1列が並ぶまで続けるアレンジビンゴゲームを行いました。また、当室のメンバーや研究に関連したお題のワードウルフやジェスチャーゲームを行い、大いに盛り上がりました。全学年が揃ったセミナーは最後となりましたが、グループワークを通してお互いをより理解することができ、心の距離を縮めることができました。
セミナーの締めくくりとして、在籍学生一同から卒業生へ、卒業生から教員・在籍学生一同へこれまでの感謝を込めて記念品が贈呈されました。最後に野田幸裕教授から卒業生と在籍学生一同へ未来に向けた激励のお言葉をいただきました。セミナー終了後も卒業生と在籍学生が互いに感謝や応援の言葉を贈りあい、別れを惜しみました。
来年度は新型コロナウイルス感染症が5類に分類されることから、毎年恒例のボーリング大会や談笑しながらの会食なども再開することができるため、今回のように親睦を深める機会が増えると思います。こうした絆は卒業研究やアドバンスト臨床研修に対する意欲向上に繋がると思います。最後に、卒業される皆様の更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
(報告者:伊藤綾香、川島菜月、山本千紗都)
※撮影時のみマスクを外しています。
2023年11月29日
- くすり教室「八事小学校」
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名古屋市立八事小学校にて「くすりの正しい飲み方:くすりと安全に安心して付き合う」
「くすり教室:実験講座」「薬物乱用・依存」の出前授業・Eプロを開催しました。
2023年11月8日
- くすり教室「千音寺小学校」
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名古屋市立千音寺小学校にて「くすりの正しい飲み方:くすりと安全に安心して付き合う」
「くすり教室:実験講座」「薬物乱用・依存」の出前授業・Eプロを開催しました。231108NPO
2023年11月3日
- くすり教室「名城大学祭 名城大学八事キャンパス 愛知」
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名城大学八事キャンパスにて「くすり教室:実験講座」のEプロを開催しました。231103NPO
2023年8月6日
- くすり教室「尾西生涯学習センター 愛知」
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尾西生涯学習センターにて、一宮市薬剤師会との 共同企画として「くすりの正しい飲み方: くすりと安全に安心して付き合う」「くすり教室:実験講座」の出前授業・E プロを開催しました。230806NPO
2023年7月1日
- くすり教室「静岡学園中学校・高等学校 静岡」
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静岡学園中学校・高等学校にて「くすり実験教室:体験実験」の出前授業・Eプロを開催しました。230701NPO
2023年6月22日
- 2023年度「薬物乱用防止講話」岐阜県立本巣松陽高等学校(岐阜)
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2023年6月22日、岐阜県立本巣松陽高等学校にて、2023年度「薬物乱用防止講話」が開催されました。
名城大学薬学部では出前講義の一つとして、高齢者や小学生にも「くすり」や「薬物依存」のことを知ってもらう授業や体験実験を特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)の協力の下に行っています。今回は、岐阜県立本巣松陽高等学校の依頼により「若い人にも知ってほしい 医薬品の使い方と薬物乱用」と題して講演を行いました。
600名の参加者に対して、なぜ医薬品を使用するのか、使用するにはルールがあること、ルールを守らないと生命に危険を及ぼすことを順序立てて説明しました。
若い世代でも入手しやすい市販薬(一般用医薬品、OTC薬)のオーバードーズが増加しています。市販薬は基本的に安全性が高い薬とされていますが、どれだけ安全でも薬である以上飲み過ぎは危険です。一部の市販薬を大量に服用した場合、覚せい剤や麻薬と類似した作用が発現します。薬が切れると退薬症状や依存症状が強くなり、より多く使用してしまい、最悪の場合は死に繋がります。多くの若者がその危険性を知らず気軽な気持ちで手を染める場合があります。インターネットを通して購入しやすくなっている現状や薬物乱用のきっかけなどについて説明し、「誘われない!誘いをよせつけない!ハートをもつ」ことが重要であることを紹介して、講演を終えました。学校関係者や学生の代表者からはとても分かりやすく、問題意識が向上したという感想を頂きました。
(報告者:野田幸裕)
2023年6月3日
- くすり教室「天白区連携講座 名城大学天白キャンパス 愛知」
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名城大学天白キャンパスにて「くすりの正しい飲み方:くすりと安全に安心して付き合う」「くすり実験教室:体験実験」「薬物乱用・依存」の出前授業・Eプロを開催しました。230603NPO
2023年2月25日
- くすり教室「イオン八事店 愛知」
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イオン八事店にて「くすり教室:実験講座」のEプロを開催しました。230225NPO
2023年1月29日
- くすり教室「イオン八事店 愛知」
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イオン八事店にて「くすり教室:実験講座」のEプロを開催しました。230129NPO