活動報告

活動報告の紹介

研究活動

基礎・臨床研究で得られた成果は、積極的に国内外の精神神経薬理学、神経科学および医療薬学関連の学会や研究会にて報告し、世界を見据えて広く社会に発信しています。また、招待講演やシンポジウムなどにおいても多数発表を行っています。

大学・研究室行事

大学行事として、学生フォーラム、ソフトボール大会、オープンキャンパス、卒論発表や卒業式などが開催され、こうした行事には積極的に参加しています。研究室行事として、鶴舞公園での花見、ゼミ旅行、スポーツフェスティバル、新年会など、1年を通して楽しいイベントを開催し、メンバー同士の親睦を深めています。

国際交流活動

名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターは、学術交流協定を結んでいる米国をはじめとする海外の大学教員や臨床研修生を受け入れ、講義への参加、関連医療施設の見学、症例検討を通し、研究・教育の交流を行っています。 名古屋大学医学部附属病院での臨床研修は、名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターサテライトセミナー室を拠点として、当部門のアドバンスト学生や配属学生が薬剤部と協力して実施しています。アドバンスト学生は病棟・薬剤師外来や関連医局での活動を中心に、臨床研修・症例や研究内容を英語で紹介します。また、日米の薬学教育や文化も紹介し、交流を深めています。

社会活動

くすりを通じて社会を知ることで社会に貢献できる医療人の育成を目指して、地域での「くすり教室」や「研修」活動を積極的に実施・参加しています。中でも、特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(NPO J-DO)は、国民にくすりを安全に安心して使っていただくために薬剤師や国民に対する教育講演や学会を開催しています。その活動の一つとして、小学生にもくすりのことを知ってもらう講義や体験実験(くすり教室)を行っています。2014年度からは、薬物依存に関連する講義や体験実験も行っています。

2026年7月17日

令和7年度助成研究発表会(東京)

京王プラザホテルにて開催された「令和7年度助成研究発表会」において、当研究室の野田幸裕が令和7年度の研究成果を発表しました。また、「喫煙と精神機能・行動 E-2」セッションでは座長を務めました。
小児期のいじめや虐待などのストレス経験が青年期における精神疾患の発症リスクを高める一方で、既存の抗うつ薬では抑うつ症状に対して十分な治療効果が得られない場合があるという課題があります。本研究では、この課題の解決に向けた新たな治療戦略として、脳内のニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニット(α7nAChR)を標的とした研究成果を報告しました。
発表後の質疑応答では、「モデルマウスにおける精神行動障害の持続期間」や「炎症性サイトカインとα7nAChRとの関連性」について活発な議論が行われました。
本年度は本研究の最終年度にあたります。今後は、モデルマウスを用いて神経炎症とα7nAChRとの関連性およびその分子機序をさらに明らかにし、α7nAChRを新たな治療標的として応用する可能性について検討を進めていく予定です。
(報告者:野田幸裕)

【口頭発表】
野田幸裕「幼若期ストレスによる脳内炎症におけるニコチン関連分子・神経回路の関与:創薬への可能性」

【座長】
野田幸裕「喫煙と精神機能・行動E-2」

2026年7月5日

日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会2026(名古屋)

「日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部 合同学術大会2026」が名城大学天白キャンパスにて、「薬学の未来をつむぐ−基礎と臨床の協働から−」をテーマに開催されました。本学術大会には、東海地区を中心とする薬局・病院の臨床薬剤師をはじめ、大学や企業の研究者が多数参加し、基礎・臨床の両分野から活発な討論が行われ、盛会のうちに終了しました。
当室からは野田幸裕教授が専門領域シンポジウム①「精神科領域における薬剤師の取り組みと今後の展望」にシンポジストとして発表しました。精神疾患患者の増加や向精神薬の多剤併用・長期投与などが課題として取り上げられているなかで、精神科領域では薬剤師の専門性がますます求められています。野田教授は「薬学6年制における精神科領域の専門教育」と題し、名城大学薬学部で実践している精神疾患の特徴的な症状を学ぶ映像教材や、模擬症例を用いた処方提案演習など、実践的な精神科薬学教育について紹介しました。シンポジウムでは、精神科領域における多くの症例報告を拝聴し、臨床現場では教科書通りに対応できない症例が少なくなく、患者ごとに状況を判断しながら柔軟に対応することの重要性を改めて学びました。また、精神科領域に対する興味・関心を一層深める貴重な機会となりました。
一般演題では、学部6年の内山智絵及び学部5年の大原万宗が口頭発表を行いました。内山は「手術・検査・処置前の休薬忘れ事例の要因分析と再発防止に向けた検討」と題して発表しました。休薬忘れが発生した薬剤の種類ごとの要因の違いや、薬剤師の介入による休薬忘れ発生件数の変化などについて質問をいただき、今後の再発防止策を検討する上で重要な課題を再認識する機会となりました。一方、大原は、「ストレス負荷マウスに認められる社会的認知機能における海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体の役割」と題して発表しました。社会的認知が認知機能全体の中で果たす役割や、マウスの社会性行動における神経認知と社会的認知の関連について質問をいただき、社会性の形成と認知機能の関わりについて理解をさらに深めることができました。両発表とも、多くの臨床薬剤師や研究者の先生方から活発なご質問・ご意見をいただき、有意義な討論を行うことができました。
本学術大会を通して、基礎・臨床の両分野の研究者や医療従事者から貴重なご意見やご助言をいただき、自身の研究課題や今後取り組むべき課題を改めて認識することができました。今回得られた知見を今後の研究活動に活かし、より一層研究に励んでまいります。
(報告者:内山智絵、大原万宗)

【シンポジウム】
野田幸裕
専門領域シンポジウム①:精神科領域における薬剤師の取り組みと今後の展望
「薬学6年制における精神科領域の専門教育」
【一般演題(口頭発表)】
内山智絵
「手術・検査・処置前の休薬忘れ事例の要因分析と再発防止に向けた検討」
大原万宗
「ストレス負荷マウスに認められる社会的認知機能における海馬α7ニコチン性アセチルコリン受容体の役割」

2026年6月27日

2026年度 歓迎会:研究室の新たな仲間を迎えて

「2026年度の学部4年生歓迎会」を、肉ト魚大衆酒場 ひとめぼれ金山駅南口店にて開催しました。
歓迎会には、野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授をはじめ、博士課程1名、学部6年生9名、学部5年生8名、そして今年度新たに当研究室へ配属された学部4年生10名(アドバンスト学生1名を含む)の総勢30名が参加しました。
会の冒頭では、野田幸裕教授から学部4年生へ歓迎の言葉をいただき、乾杯の音頭とともに歓迎会がスタートしました。乾杯後は、食事やお酒を囲みながら、研究の話題はもちろん、趣味や学生生活など様々な話で会話が弾みました。終始和やかな雰囲気の中、で先生方と学生、そして学年の垣根を越えて親睦を深めることができました。当初は新しい環境に緊張した様子だった4年生も、交流を重ねるにつれて次第に打ち解け、先輩や先生方と笑顔で談笑する姿が多く見られました。新たに配属された4年生にとって、研究室の温かく親しみやすいな雰囲気を感じられる、有意義な歓迎会となりました。
会の締めくくりには、𠮷見 陽准教授より改めて、歓迎と激励の言葉をいただき、歓迎会は盛会のうちに終了しました。
新たな仲間を迎えた研究室では、これから始まる研究活動や様々な行事を通じて、互いに協力し合い、切磋琢磨しながら成長していくことを期待しています。今後も研究室一同、活気にあふれ、和気あいあいとした雰囲気の中で研究活動に励んでまいります。
(報告者:魚田絹華)

2026年5月13日

令和8年度 第1回アドバンスト報告会(名古屋)

「令和8年度 第1回アドバンスト活動報告会」が、名城大学薬学部ライフサイエンスホールをメイン会場として、遠隔にある愛知医科大学病院とオンラインでつなぎ、ハイブリッドにて開催されました。
今回は、名古屋大学医学部附属病院の消化器内科、精神科・親と子どもの心療科、呼吸器内科・外科病棟にて研修しているアドバンスト学生3名が名城大学薬学部ライフサイエンスホールから症例報告を行いました。多くの学生や教員が参加し、報告後には多数の質疑やコメントがあり、活発な報告会となりました。なお、藤田医科大学病院にて研修しているアドバンスト学生4名もライフサイエンスホールでの参加でした。
消化器内科病棟にて研修している安田彩乃は、膵尾部がん患者における疼痛コントロールに介入した症例を報告しました。膵がんは腹部痛や背部痛を伴うことが多く、疼痛コントロールにはオピオイド鎮痛薬が用いられます。本症例では、夜間疼痛による不眠症状を訴える患者に対してオピオイド鎮痛薬を増量し、夜間疼痛の軽減を図りました。その結果、夜間疼痛の軽減に伴い不眠症状が改善しました。また、NRS(Numerical Rating Scale:数値評価スケール)を用いて昼夜の疼痛評価を継続して実施することで夜間疼痛を適切にコントロールし、患者のQOL(Quality of Life :生活の質)の向上に寄与しました。
精神科・親と子どもの心療科病棟にて研修している福岡万紘は、症状コントロール不良な治療抵抗性統合失調症患者に対して薬学的に介入した症例を報告しました。治療抵抗性統合失調症には第一選択薬としてクロザピンが使用されますが、無顆粒球症や心筋炎などの重篤な副作用を生じるリスクがあります。本症例では、クロザピンの導入に伴い、重篤な副作用の予防および早期発見を目的として、治療薬物のモニタリング(Therapeutic Drug Monitoring:TDM)を実施し、血中濃度や血球数などの検査値を継続的に評価しました。これらの結果を踏まえ、クロザピンの投与量を含めた治療計画を設計・提案したことで、副作用の重症化を防ぎ、治療継続に貢献しました。
呼吸器内科・外科病棟にて研修している杉本麻里菜は、肺がん化学療法において経口抗がん剤の服薬が困難な患者に介入した症例を報告しました。分子標的薬の多くは経口薬であり、毎日の服用が必要です。本症例では、多量の水や服薬ゼリーの使用を提案するとともに、生物学的同等性について製薬企業に確認した上で、より小さく服用しやすい低用量錠への変更を医師に提案しました。その結果、患者の服薬負担が軽減され、治療継続に寄与しました。
本報告会を通して、薬剤導入時における患者の不安や副作用に関する訴えに対し、注意事項や副作用への初期対応、予防策について繰り返し丁寧に説明することが、患者の不安の軽減と安全な治療継続につながることを学びました。今後も、患者に安心安全な治療を提供するために、幅広い知識の習得に努め、一人ひとりの思いや不安に寄り添いながら対応していく所存です。

(報告者:安田彩乃、福岡万紘、杉本麻里菜)

消化器内科病棟
「膵尾部癌患者の化学療法における薬剤師介入事例」
精神科・親と子どもの診療科病棟
「症状コントロール不良の統合失調症患者に対する薬学的介入」
呼吸器内科・外科病棟
「肺癌患者の化学療法における薬剤師の介入」

2026年3月31日、4月1日

米国アリゾナ大学薬学部から臨床研修生Hailey Steenhoekさんが名古屋大学医学部附属病院および病態解析学Ⅰにて臨床研修

名城大学薬学部では海外から数多くの薬学生や薬学臨床教員・研究者を受け入れ、教育・研究の両面で国際交流を推進しています。特に、教員や薬学生が米国の臨床薬学の現状や臨床薬剤師の役割を学び、国際的な視野を養うことを目的として、米国のサンフォード大学薬学部およびアリゾナ大学薬学部と学術交流協定を締結し、継続的な交流を行っています。
2026年3月31日~4月18日の3週間、米国アリゾナ大学薬学部のHailey Steenhoekさんが、日本における臨床薬学教育研修のために来日し、名城大学薬学部および関連医療施設で臨床研修を行いました。3月31日と4月1日には名城大学の協定病院である名古屋大学医学部附属病院(名大病院)および病院内に設置された名城大学薬学部 サテライトセミナー室 病態解析学Ⅰにて研修を実施しました。

3月31日(火)
1)臨床研修Ⅰ(薬学教育当室・メンバー紹介):サテライトセミナー室において、野田幸裕教授と𠮷見 陽准教授が自己紹介を兼ねて、当室の活動内容や研究テーマ、日本の薬学教育カリキュラムなどについてスライドで紹介しました。
2)臨床研修Ⅱ(外科系集中治療室[SICU:Surgical Intensive Care Unit]での薬剤師業務の見学):名大病院のSICUでは、薬剤師業務を担当する名城大学薬学部の稲垣孝行准教授による臨床研修を実施しました。研修にはアドバンストコースの学部6年生1名と野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授が同行しました。
スタッフステーションでは、患者情報や病態、治療スケジュールなどが共有されているボードを用いながら、SICUにおける患者管理について説明を受けました。また、一般病棟と比べて病態変化や検査頻度が高い集中治療領域では、薬剤師が独自で作成した患者経過一覧表 (ACSYS) を活用して、バイタルサインや注射剤の投与速度などを継続的に確認していることについて学びました。研修中には、Haileyさんからアメリカでは電子与薬記録システム(MAR:Medication Administration Record)が広く利用されていることや、日本で感染症治療に頻用されているテイコプラニンはアメリカではほとんど使用されていないことなどが紹介され、日本とアメリカにおける医療システムや薬物療法の違いについて理解を深める貴重な機会となりました。
3)昼食(日本文化の紹介):昼食には「のり弁当」を用意しました。初めて口にするちくわに興味を示し、慣れない箸も上手に使いながら、日本ならではのお弁当文化を楽しんでいました。
4)臨床研修Ⅲ(自己紹介、臨床研修生によるキャンパスライフと症例報告):当室の学部5・6年生は自己紹介と共に、それぞれ取り組んでいる卒業研究について発表しました。また、名大病院で臨床実習を行っているアドバンストコースの学部6年生2名が、実際に病棟で担当した症例について紹介し、Haileyさんは熱心に耳を傾けていました。続いて、Haileyさんからアリゾナ大学薬学部の教育制度や学生生活(キャンパスライフ)について紹介がありました。日本では臨床実習期間が22週間であるのに対し、アリゾナ大学薬学部では最終学年のほぼすべてが臨床実習に充てられており、学生が臨床現場で学ぶ機会が非常に多いことに参加者一同大きな関心を寄せていました。最後に、アリゾナ州を含む米国南西部に多い風土病であるコクシジオイデス症の症例について紹介がありました。この疾患は真菌感染症で、咳や発熱、倦怠感、胸痛などの呼吸器症状を呈し、多くは自然軽快する一方で、一部は重症化することが知られています。日本ではほとんどみられない真菌感染症であることから、抗真菌薬の選択や骨病変を考慮した長期治療など、地域特有の風土病に対する治療戦略について学ぶ貴重な機会となりました。
5)日本文化(書道・けん玉・折り紙・お手玉):学部生が見本を見せながら、書道、けん玉、折り紙、お手玉などの日本文化を体験してもらいました。書道では、初めは筆の持ち方に苦戦していましたが、一筆書きや書き順など、日本独自の書き方に興味を示していました。また、自身の名前「Hailey」を漢字で表した「海莉」を学部生と一緒に書き上げ、完成した作品を前に笑顔を見せていました。
けん玉やお手玉では、学部生の披露する技を熱心に見入っており、何度も挑戦を重ねながら上達する様子が見られました。折り紙では鶴作りに挑戦し、学部生が折り方を実践しながら進めました。細かい作業に「難しい」と話していましたが、最後には学部生のお手本にも劣らない美しい鶴を完成させ、折った鶴を重ねて楽しむ姿が印象的でした。日本文化を通してHaileyさんがさまざまなことに積極的に挑戦し、楽しんでいる様子がうかがえ、交流した学部生にとっても有意義な時間となりました。
6)臨床研修Ⅲ(化学療法室):外来化学療法室では、薬剤部の宮崎雅之副薬剤部長から、外来化学療法における薬剤師業務や多職種との連携について説明を受けました。抗がん剤調製の見学を通して、アメリカでは薬剤師ではなく、専門の技術者が抗がん剤の調製を担当していることが紹介され、日本の薬剤師が抗がん剤の調製を担っていることに大きな関心を寄せていました。日本とアメリカにおける薬剤師の役割の違いについて活発な意見交換が行われ、理解が深まりました。

4月1日(水):2日目
1)昼食(日本文化の紹介):昼食は、日本の春の風物詩である桜の花見を楽しみながらいただきました。屋台で購入した焼き鳥やソーセージに加え、おにぎり、唐揚げ、卵焼き、三色団子など、日本ならではの料理を味わいました。Haileyさんは大きなおにぎりに驚きながらも、美味しそうに頬張り、日本食のおいしさを満喫していました。また、学部生が三色団子の色に込められた意味を紹介すると、興味深そうに耳を傾けていました。「日本食で一番好きなものは何ですか」という質問には「ラーメン」と笑顔で答え、終始和やかな雰囲気の中で、日本の食文化への理解を深めるひとときとなりました。
2)臨床研修Ⅳ(病院内・薬剤部内見学):アドバンストコースの学部6年生3名と野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授が同行して、病院内および薬剤部内や医療薬学研究室の見学を行いました。
病院内では、外来受付から検査、診察、会計までの患者の動線について説明し、1日の外来患者数や採血患者数、待ち時間など、日本の大学病院の規模について紹介しました。Haileyさんは、その患者数の多さや病院の規模に大変驚いている様子でした。薬剤師外来では、外来患者に対する吸入指導などの薬学的管理について説明を受け、実際にその部屋を見学しました。「呼吸器外来以外にも、糖尿病患者を対象とした薬剤師外来はあるのか」など、積極的に質問し、日本における薬剤師外来の役割について理解を深めていました。
薬剤部では注射室、調剤室、製剤室、麻薬室、試験室、薬務室を見学しました。調剤ロボットによる注射剤の自動払い出し、バーコードを活用した調剤監査システム、試験室で実施されている治療薬物モニタリング(TDM:Therapeutic Drug Monitoring)、麻薬の管理体制などについて説明を受けました。また、多様な薬剤師業務が一つの薬剤部に集約され、組織的に運営されていることにも大きな関心を示していました。
3)臨床研修Ⅴ(精神科/親と子どもの心療科での研修):精神科/親と子どもの心療科病棟では、病棟担当薬剤師の内田美月先生から、精神科病棟における薬剤師の業務や病棟の特徴について説明を受けました。病棟内では、患者の憩いの場、観察室、光療法室などを見学し、精神科医療における薬剤師の役割について理解を深めました。Haileyさんからは、アメリカでは精神科病棟が単科病院として運営されていることが多いことが紹介されました。日本の大学病院内に精神科病棟が設置されている点に関心が寄せられました。一方で、病棟内の雰囲気や設備にはアメリカと共通する部分も多いとの感想が聞かれました。
4)臨床研修Ⅵ(消化器内科病棟での研修):消化器内科病棟では、病棟担当薬剤師の鎌田朋見先生から、病棟における薬剤師の業務内容や入院患者の主な疾患について説明を受けました。持参薬の管理方法や注射薬の払い出し業務に加え、麻薬運搬用のジュラルミンケースなどを見学しました。アメリカでは、薬剤の払い出しが「ピクシス」と呼ばれる自動払い出し機によって一元管理されていることが紹介されました。日本との運用方法の違いについて意見交換が行われました。また、Haileyさんからは、日本の病室における個室、2人床、4人床の違いについて質問がありました。患者が入院時に病室の種類を選択できることや、個室と多床室では費用負担が異なること、4人床の室料は保険対象であることなどを説明し、日本の医療制度への理解を深めていただきました。
5)臨床研究(ジェノタイピング、細胞継代の体験):当室で取り組んでいる研究内容について学部6年生が概要を説明した後、ジェノタイピングおよび細胞継代を体験していただきました。Haileyさんは、約1年前まで細胞実験に取り組んでいた経験があり、手技を思い出しながらスムーズに実験を進めていました。マウスの遺伝子変異を確認するジェノタイピングは初めての経験であり、興味深く手順を確認しながら積極的に取り組んでいました。日米の薬学教育や研究手法について意見交換を行う、貴重な研究交流の機会となりました。

2日間にわたる交流を通じて、日米の医療制度や薬剤師の役割・業務に関する理解を深めるとともに、それぞれの共通点や相違点を改めて認識することができました。Haileyさんの豊富な知識と積極的に学ぶ姿勢は学生・教員にとって大きな刺激となり、薬剤師としての役割や国際的な視点の重要性について考える貴重な機会となりました。
(報告者:福岡万紘、安田彩乃、宮田 凪、辻村和里香)

2026年1月26、27日

米国サンフォード大学薬学部から臨床研修生Logan Guzikさん、Matthew Zbellさんが名古屋大学医学部附属病院および病態解析学Ⅰにて臨床研修

名城大学薬学部では海外から数多くの薬学生や薬学臨床教員・研究者を受け入れ、教育と研究の両面で国際的な役割を果たしています。特に、教員や薬学生が米国の臨床薬学の現状や臨床薬剤師の業務・役割などを理解して国際的な視野を広げる目的で、主に米国のサンフォード大学薬学部およびアリゾナ大学薬学部との間で研究・教育の学術交流協定を結び、学術交流を行っています。
2025年4月1日、2日に引き続き米国サンフォード大学薬学部からLogan Guzikさん、Matthew Zbellさんが日本での臨床薬学教育研修として、名城大学薬学部と関連医療施設などで、5週間(2026年1月6日~2月6日)の臨床研修を行いました。1月26日と27日には名城大学の協定病院である名古屋大学医学部附属病院(名大病院)および病院内に設置された名城大学薬学部 サテライトセミナー室 病態解析学Ⅰにて臨床研修を実施しました。

1月26日(月)
1)臨床研修Ⅰ(薬学教育当室・メンバー紹介):サテライトセミナー室にて、野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授が当室の活動や研究内容、日本の薬学部のカリキュラムについてスライドで説明しました。その後、和やかな雰囲気の中で当室の学部4年生と5年生が自己紹介を行いました。名大病院のアドバンストコースの学部5年生3名は病棟実習で関わった症例についても紹介しました。臨床研修生は熱心な姿勢で症例報告に耳を傾けていました。
2)昼食(日本文化の紹介):昼食にはのり弁当を用意しました。初めて口にするのり弁当やちくわの磯辺揚げに興味を示し、日本のお弁当文化に触れられる良い機会となりました。
3)臨床研修Ⅱ(臨床研修生によるキャンパスライフと症例報告):臨床研修生より、サンフォード大学薬学部での薬学教育やキャンパスライフについて紹介していただきました。在学中の夏期研修として、医療サービスが不足している地域へ研修に行き、健康診断、服薬サポートなどを通じて他国の医療サービスや文化について学ぶmission tripsというプログラムについての紹介が印象的でした。次に、壊死性膵炎の治療および緑膿菌感染症に対する除菌治療の症例報告を行ってもらいました。米国のICUでの薬剤師の関わりとして予防的な抗菌薬の投与は原則行わないなど、日本とは異なる点について活発な議論が交わされ、米国における薬剤師業務について理解を深める貴重な機会となりました。
4)臨床研修Ⅲ(外来化学療法室での研修):薬剤部の宮崎雅之副薬剤部長に外来化学療法室における薬剤師業務や多職種との連携について説明を受けました。日本ではアメリカと異なり、抗がん剤調整を技術者ではなく薬剤師が行っていることに驚いていました。外来で使用頻度の高い薬剤の特徴や副作用への対応についても、積極的に質問していました。
5)臨床研修Ⅳ(消化器内科病棟での研修):アドバンストコースの学部5年生3名、野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授、病棟担当薬剤師の鎌田朋見先生の付き添いのもと、消化器内科病棟における一般的な病棟薬剤師の業務や病棟の特徴について説明しました。持参薬の管理方法や注射剤の払い出しについて説明し、病棟での注射剤の混合及び投与は薬剤師ではなく看護師が行うこと、日米で業務が異なる理由などについての説明を熱心に聞いていました。消化器内科病棟では、入院期間についての質問もあり、疾患や治療内容によって異なるものの、肝炎・膵炎では1〜2週間、化学療法では短期入院の場合2〜3日程度であること、重症例では2か月程度の入院となる場合もあると回答しました。麻薬の保管方法や定数配置薬、救急カートについても関心を示し、積極的に質問をしていました。

1月27日(火):2日目
1)臨床研修Ⅴ(ICUでの研修):アドバンストコースの学部5年生1名と野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授も同行し、稲垣孝行准教授が関与しているICUにて研修を行いました。ICUではClosedと呼ばれるICUの医師が担当する患者とSemi Closedと呼ばれるICU以外の診療科の医師が担当する患者に分かれていることを説明しました。一般病棟と比べてICUの患者は、病状が急変したり、高頻度で検査が行われたりするため、薬剤師が独自で作成した経過表 (ACSYS) を用いて、患者のバイタルサインや注射剤の流量などをチェックしていることを紹介しました。研修時には小児患者もICUで管理されており、小児患者に対する全身管理や使用薬剤について強い関心を持っていました。全身管理のために抗菌薬を使用されることが多く、TDMの方法や抗菌薬の選択、使用目的について活発に意見交換しました。
2)臨床研究(培養細胞継代・カウント/ジェノタイピングの体験):当室で実施している医薬統合研究について理解していただくために、培養細胞継代(細胞の系統維持)の見学・体験およびジェノタイピングの体験を行ってもらいました。以前に培養細胞の実験を経験していたとのことから、ピペット操作などの手技を思い出しながら行っていました。これらの臨床研究を通して、当室のトランスレーショナルリサーチによる創薬研究について理解を深めてもらいました。
3)昼食(日本文化の紹介):昼食にはちらし寿司を用意しました。錦糸卵や桜でんぶをあしらい、彩り豊かな食事を楽しんでいました。日本のアニメの話題で盛り上がるなど、和やかな雰囲気で交流を深めました。
4)臨床研修Ⅵ(病院内・薬剤部内見学):アドバンストコースの学部5年3名と野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授、薬剤部の溝口博之准教授と共に病院内・薬剤部内・医療薬学研究室の見学を行いました。外来受付から、検査、診察、会計までの患者の動線を説明し、1日の外来患者数や院外薬局として敷地内や門前に多数の調剤薬局があることに驚いていました。薬剤部では注射室・調剤室・製剤室・麻薬室・試験室・薬務室を見学しました。調剤ロボットによる注射剤の自動払い出し、バーコードによる調剤監査システム、試験室での薬物血中濃度モニタリング(TDM)業務、麻薬の管理方法などについて説明しました。製剤室では抗がん剤混合調製ロボットについて説明を受け、抗がん薬による曝露汚染軽減対策の有効性について強い興味を示していました。最後に医療薬学研究室の見学をしてもらい、大学院生の朱さんが丁寧に説明してくれました。
5)臨床研修Ⅶ(精神科/親と子どもの心療科での研修):精神科/親と子どもの心療科病棟にて、病棟担当薬剤師の内田美月先生と共に精神科病棟薬剤師の業務や病棟について説明しました。本病棟の特徴である憩いの場や観察室など他病棟にはない病室を中心に見学し、精神科での薬剤師の役割について説明しました。神経性食欲不振症の患者が栄養摂取のために使用するエンシュアにさまざまなフレーバーがあり、特に抹茶味は日本独特であることで興味を示していました。
6)日本文化(書道・けん玉・折り紙):日本文化である書道・けん玉・折り紙をそれぞれ学部生がお手本を見せながら体験していただきました。書道では、複雑な漢字の書き順に「難しい」と苦戦していましたが、勢いよく筆を走らせ、それぞれの好きな漢字を見事に書き上げることができました。折り紙では学部生と一緒に鶴を折りました。けん玉も初体験でしたが、膝を使うことなどコツを教えるとすぐに上達し、成功した際には歓声と笑顔が溢れていました。日本文化を通して、臨床研修生が積極的に挑戦する姿勢や楽しそうな表情に学部生一同も大変嬉しく、笑顔溢れる和やかで楽しいひと時となりました。

2日間という短い期間でしたが、臨床研修や臨床研究体験、日本文化の紹介などを通じて、相互理解を深める貴重な機会となりました。臨床研修生から米国の薬学教育や薬剤師業務について学ぶとともに、当室の学生にとっても今後の実習・研究活動への意欲を高める有意義な経験となりました。臨床研修生のように積極的に実習や研究活動に取り組み、今後の学生生活をより一層充実させていきたいと感じました。

(報告者:安田彩乃、福岡万紘、杉本麻里菜)

2026年7月11日

くすり教室「イオン八事店 愛知」

イオン八事店にて「くすり教室:実験講座」のEプロを開催しました。260711NPO

2026年6月7日

くすり教室「イオン八事店 愛知」

イオン八事店にて「くすり教室:実験講座」のEプロを開催しました。260607NPO