活動報告

国際交流活動

名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターは、学術交流協定を結んでいる米国をはじめとする海外の大学の教員や臨床研修生を受け入れ、講義への参加、関連医療施設の見学、ディスカッションを通し、研究・教育の交流を行っています。名古屋大学医学部附属病院における研修では、名城大学薬学部 臨床薬学教育・研究推進センターサテライトセミナー室を拠点として、当部門のアドバンスト学生や配属学生と共に臨床研修を行います。また、アドバンスト学生は病棟・薬剤師外来や関連医局での活動を中心に、臨床研修・症例や研究内容を英語で紹介します。交流を深めるためにも、日米の薬学教育や文化についても議論します。

2026年1月26、27日

米国サンフォード大学薬学部から臨床研修生Logan Guzikさん、Matthew Zbellさんが名古屋大学医学部附属病院および病態解析学Ⅰにて臨床研修

名城大学薬学部では海外から数多くの薬学生や薬学臨床教員・研究者を受け入れ、教育と研究の両面で国際的な役割を果たしています。特に、教員や薬学生が米国の臨床薬学の現状や臨床薬剤師の業務・役割などを理解して国際的な視野を広げる目的で、主に米国のサンフォード大学薬学部およびアリゾナ大学薬学部との間で研究・教育の学術交流協定を結び、学術交流を行っています。
2025年4月1日、2日に引き続き米国サンフォード大学薬学部からLogan Guzikさん、Matthew Zbellさんが日本での臨床薬学教育研修として、名城大学薬学部と関連医療施設などで、5週間(2026年1月6日~2月6日)の臨床研修を行いました。1月26日と27日には名城大学の協定病院である名古屋大学医学部附属病院(名大病院)および病院内に設置された名城大学薬学部 サテライトセミナー室 病態解析学Ⅰにて臨床研修を実施しました。

1月26日(月)
1)臨床研修Ⅰ(薬学教育当室・メンバー紹介):サテライトセミナー室にて、野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授が当室の活動や研究内容、日本の薬学部のカリキュラムについてスライドで説明しました。その後、和やかな雰囲気の中で当室の学部4年生と5年生が自己紹介を行いました。名大病院のアドバンストコースの学部5年生3名は病棟実習で関わった症例についても紹介しました。臨床研修生は熱心な姿勢で症例報告に耳を傾けていました。
2)昼食(日本文化の紹介):昼食にはのり弁当を用意しました。初めて口にするのり弁当やちくわの磯辺揚げに興味を示し、日本のお弁当文化に触れられる良い機会となりました。
3)臨床研修Ⅱ(臨床研修生によるキャンパスライフと症例報告):臨床研修生より、サンフォード大学薬学部での薬学教育やキャンパスライフについて紹介していただきました。在学中の夏期研修として、医療サービスが不足している地域へ研修に行き、健康診断、服薬サポートなどを通じて他国の医療サービスや文化について学ぶmission tripsというプログラムについての紹介が印象的でした。次に、壊死性膵炎の治療および緑膿菌感染症に対する除菌治療の症例報告を行ってもらいました。米国のICUでの薬剤師の関わりとして予防的な抗菌薬の投与は原則行わないなど、日本とは異なる点について活発な議論が交わされ、米国における薬剤師業務について理解を深める貴重な機会となりました。
4)臨床研修Ⅲ(外来化学療法室での研修):薬剤部の宮崎雅之副薬剤部長に外来化学療法室における薬剤師業務や多職種との連携について説明を受けました。日本ではアメリカと異なり、抗がん剤調整を技術者ではなく薬剤師が行っていることに驚いていました。外来で使用頻度の高い薬剤の特徴や副作用への対応についても、積極的に質問していました。
5)臨床研修Ⅳ(消化器内科病棟での研修):アドバンストコースの学部5年生3名、野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授、病棟担当薬剤師の鎌田朋見先生の付き添いのもと、消化器内科病棟における一般的な病棟薬剤師の業務や病棟の特徴について説明しました。持参薬の管理方法や注射剤の払い出しについて説明し、病棟での注射剤の混合及び投与は薬剤師ではなく看護師が行うこと、日米で業務が異なる理由などについての説明を熱心に聞いていました。消化器内科病棟では、入院期間についての質問もあり、疾患や治療内容によって異なるものの、肝炎・膵炎では1〜2週間、化学療法では短期入院の場合2〜3日程度であること、重症例では2か月程度の入院となる場合もあると回答しました。麻薬の保管方法や定数配置薬、救急カートについても関心を示し、積極的に質問をしていました。

1月27日(火):2日目
1)臨床研修Ⅴ(ICUでの研修):アドバンストコースの学部5年生1名と野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授も同行し、稲垣孝行准教授が関与しているICUにて研修を行いました。ICUではClosedと呼ばれるICUの医師が担当する患者とSemi Closedと呼ばれるICU以外の診療科の医師が担当する患者に分かれていることを説明しました。一般病棟と比べてICUの患者は、病状が急変したり、高頻度で検査が行われたりするため、薬剤師が独自で作成した経過表 (ACSYS) を用いて、患者のバイタルサインや注射剤の流量などをチェックしていることを紹介しました。研修時には小児患者もICUで管理されており、小児患者に対する全身管理や使用薬剤について強い関心を持っていました。全身管理のために抗菌薬を使用されることが多く、TDMの方法や抗菌薬の選択、使用目的について活発に意見交換しました。
2)臨床研究(培養細胞継代・カウント/ジェノタイピングの体験):当室で実施している医薬統合研究について理解していただくために、培養細胞継代(細胞の系統維持)の見学・体験およびジェノタイピングの体験を行ってもらいました。以前に培養細胞の実験を経験していたとのことから、ピペット操作などの手技を思い出しながら行っていました。これらの臨床研究を通して、当室のトランスレーショナルリサーチによる創薬研究について理解を深めてもらいました。
3)昼食(日本文化の紹介):昼食にはちらし寿司を用意しました。錦糸卵や桜でんぶをあしらい、彩り豊かな食事を楽しんでいました。日本のアニメの話題で盛り上がるなど、和やかな雰囲気で交流を深めました。
4)臨床研修Ⅵ(病院内・薬剤部内見学):アドバンストコースの学部5年3名と野田幸裕教授、𠮷見 陽准教授、薬剤部の溝口博之准教授と共に病院内・薬剤部内・医療薬学研究室の見学を行いました。外来受付から、検査、診察、会計までの患者の動線を説明し、1日の外来患者数や院外薬局として敷地内や門前に多数の調剤薬局があることに驚いていました。薬剤部では注射室・調剤室・製剤室・麻薬室・試験室・薬務室を見学しました。調剤ロボットによる注射剤の自動払い出し、バーコードによる調剤監査システム、試験室での薬物血中濃度モニタリング(TDM)業務、麻薬の管理方法などについて説明しました。製剤室では抗がん剤混合調製ロボットについて説明を受け、抗がん薬による曝露汚染軽減対策の有効性について強い興味を示していました。最後に医療薬学研究室の見学をしてもらい、大学院生の朱さんが丁寧に説明してくれました。
5)臨床研修Ⅶ(精神科/親と子どもの心療科での研修):精神科/親と子どもの心療科病棟にて、病棟担当薬剤師の内田美月先生と共に精神科病棟薬剤師の業務や病棟について説明しました。本病棟の特徴である憩いの場や観察室など他病棟にはない病室を中心に見学し、精神科での薬剤師の役割について説明しました。神経性食欲不振症の患者が栄養摂取のために使用するエンシュアにさまざまなフレーバーがあり、特に抹茶味は日本独特であることで興味を示していました。
6)日本文化(書道・けん玉・折り紙):日本文化である書道・けん玉・折り紙をそれぞれ学部生がお手本を見せながら体験していただきました。書道では、複雑な漢字の書き順に「難しい」と苦戦していましたが、勢いよく筆を走らせ、それぞれの好きな漢字を見事に書き上げることができました。折り紙では学部生と一緒に鶴を折りました。けん玉も初体験でしたが、膝を使うことなどコツを教えるとすぐに上達し、成功した際には歓声と笑顔が溢れていました。日本文化を通して、臨床研修生が積極的に挑戦する姿勢や楽しそうな表情に学部生一同も大変嬉しく、笑顔溢れる和やかで楽しいひと時となりました。

2日間という短い期間でしたが、臨床研修や臨床研究体験、日本文化の紹介などを通じて、相互理解を深める貴重な機会となりました。臨床研修生から米国の薬学教育や薬剤師業務について学ぶとともに、当室の学生にとっても今後の実習・研究活動への意欲を高める有意義な経験となりました。臨床研修生のように積極的に実習や研究活動に取り組み、今後の学生生活をより一層充実させていきたいと感じました。

(報告者:安田彩乃、福岡万紘、杉本麻里菜)